「プロポーズはチェイサーで」いつまでも完成させたくない1分の1サイズのプラモデル
22歳の時に買った、91年式のJZX81チェイサー GTツインターボに、約6年間乗り続けているというFさん。
購入した当初の外装はオリジナルだったが、内装はアバンテG仕様だったという。それを見たFさんは、Fさん自身のこだわりとして更に工夫を施したとのこと。
「チェイサーは今では、特別な時にしか運転しないんです。」
そう語るFさんはチェイサーと、6年間どんなカーライフを送られてきたのでしょう。今回は、Fさん×チェイサーのお話です。
――Fさんはこれまで、どういうクルマに乗られてきたんですか?
チェイサーに乗る前は、カリーナEDに乗っていました。その後、増車という形で念願だったチェイサーを購入することができて、それからはチェイサー+1台というスタイルでカーライフを送っています。
――2台体制の理由は何なのでしょう?
チェイサー以外のクルマは、通勤用や普段乗り用として使っているんですよ。最近では特にイベントや特別な時にチェイサーに乗って行くスタイルになっています。
――大事に乗られているということですね!さっき、念願だったとおっしゃっていましたが、ずっとチェイサーを探されていたんですか?
最初にマイカーを買ったのが大学1年生の時だったんですけど、その時は東京の大学に通っていたんですよね。実家が愛知県なのですが、帰省することも多いだろうなと思い、ランニングコストが安く、且つハードトップのクルマを探していたんです。
ただ、チェイサーはなかなかピンとくる個体が無くて、その時はカリーナを選んだんです。
――チェイサーに求めていた条件が、明確に決まっていたんですね?
はい。今乗っているパールツートンのサンルーフの付いたGTツインターボが条件だったんですよ。当時、ずっと探していたんですけど、なかなかサンルーフまでついているものが無くて…。
それで、大学4年生になった時に知り合いから、チェイサーを持っていて、ナンバーを切って2、3年置いているということを聞いたんです。しかも探していたグレードのGTツインターボでした。
その後「チェイサーを置いている駐車場を引き払うことになったから、乗ってくれないか」と言ってくれて。「もし貰い手がいなかったら解体に出そうと思っている」というお話も聞いたので、矢も盾もたまらず「買います!」と言って譲り受けたんです。
――すごい巡り合わせですね!当時のチェイサーも純正仕様だったんですか?
外装はフルノーマルだったのですが、内装がアバンテG仕様という、少し変わった状態だったんです。
屋外保管だったせいかトランクの塗装がはがれていたので、どうしようか考えてたんですが、トランク丸々、アバンテGのモノと交換しようと思ったんです。
ただ、そうするとトランクのエンブレムだけ変わっちゃうので、せっかくだしエンブレムを全部揃えて、アバンテGに統一しちゃおうって思ったんです。なので、厳密にいうと今も完璧なアバンテGにはなっていないんですよ。
――知ってる人が見たら、その些細な変化に気付くのでしょうか?
気付くと思います。他にも、アバンテGだとドアハンドルがカラードになるはずが、GTツインターボのメッキになっている、とかもあるので。知ってる人が見たら「あ!」って気付く仕様に、今は敢えてしてあるんです。
――面白い工夫ですね!結構気付かれる人はいるんですか?
昔乗っていた方だと、気付く人はいらっしゃいますね。
あと、GTツインターボはマフラーが2本出しなので、それを見て気付く人もいるんじゃないかな。こういう違和感を残すのは、今では僕のこだわりになってます。
――チェイサーに初めて乗った時の印象はどうでしたか?
本当に高級車だったんだなっていう、乗り心地の良さを感じました。あとは、静かですよね。エンジンの音がほとんど車内に入ってこないような、遮音性の高さに驚きました。
運転もしやすくて、真四角なボディをしているので端が見やすいですし、3ナンバーですが、取り回しがすごく良いんですよ。日本で乗るにはぴったりだなっていうのを乗っていて常に感じています。見た目に反するエネルギッシュな感じというか、乗った時に感じるパワフルさも最高です。
――内装のお気に入りポイントも聞かせてください!
アバンテG仕様って布張りの部分が多いんです。例えば、ダッシュボードのインパネの下半分がファブリックになっていたり、ドア内側も他のグレードはビニールのところが、ファブリックになっていたりとか。
よく見ないと分からない部分ではあるんですが、そういう風に、グレードによって絶妙に差別化されているところが気に入っています。
――Fさんがチェイサーに乗っていて、幸せを感じる瞬間ってどんな時ですか?
やっぱり、遠出している時ですね。運転し始めるとほぼノンストップで行けちゃうんですよ、チェイサーって。この間も横浜で開催されたイベントに参加して、横浜から愛知に帰った時は、休憩を1回は取ったものの、ほぼノンストップで行けました。
ツボにハマるとどこまででも運転できちゃう感じ…。チェイサーが発する勢いを体感出来るのが楽しいです。
――6年間色々あったと思うのですが、1番記憶に残っているチェイサーとの思い出は何ですか?
実は僕、チェイサーの車内で今の奥さんにプロポーズをしたんですよ。
――チェイサーの車内でプロポーズ!?めちゃめちゃ素敵じゃないですか!!!
彼女と僕にとって何が1番印象に残るんだろうか、何が自分らしいんだろうって考えた時、やっぱりこのチェイサーだよなって思ったんです。
当日、別れ際のタイミングでプロポーズをしました。
指輪はその日ずっと、グローブボックスの中に隠していたんですよ(笑)。僕にとってはそれが1番の思い出かな。
――奥様のリアクションはどうでしたか?
まさか、そんなシチュエーションでプロポーズされるとは思っていなかったみたいで、かなり驚いてましたよ(笑)。
その時のリアクションとか空気感とか、人生に1度しかない瞬間の思い出がチェイサーにはあるので、このクルマは特別な存在でもあるんです。
――結婚式の前撮りのお写真をSNSで拝見しましたが、その時もチェイサーが写っていましたよね!
元々、前撮りとか結婚式のタイミングでチェイサーと一緒に撮りたいなと思っていたんですよね。記憶に残るものにしたかったんです。
――今後、チェイサーをこう乗っていきたいなど予定はありますか?
僕の中でチェイサーって、1分の1サイズのプラモデルみたいな存在で、そのプラモデルを、いつまでも完成させたくないんですよね(笑)。
「次はこれをやりたい」っていう目標をいつまでも持っていたくて、そういうのが楽しかったりするんです。
ずっと未完成な状態が良いっていうか。やりたいことは色々あるんだけど、敢えてやってないことって実はまだあるんですよ。
――この機会にチェイサーに気持ちを伝えるとしたら、何を伝えたいですか?
「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えます。チェイサーがいるから頑張れるっていうのもありますからね。「これからも引き続きよろしく!」みたいな感じかな(笑)。
チェイサーって自分を正してくれる存在なんですよ。乗るとビシッと気が引き締まるというか。冠婚葬祭時やイベント時にクルマを出すなら、必ずチェイサーに乗って行きます。名刺のような、自分を象徴してくれている存在でもあるんです。
「なんだかんだ、1番しっくりくるのはチェイサーですね。」
この6年間、チェイサーに奥様を乗せて、数々の場所へ一緒に行ったという。きっと奥様にとっても特別なクルマになっているのではないでしょうか。
チェイサーに乗る特別な時間はこの先、“3人”にとって、さらに価値のあるものとして積み重なっていくことでしょう。
【みんカラ】
Fさん
(文:秦 悠陽)
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