「トヨタ・マークⅡは私の出発点」14年間魅了され続けた、替えが効かない存在


今年34歳になる ばりけろさん は18歳で免許を取得し、2年後に初めての愛車として1989年式、マークⅡ 3.0グランデG (MX83)を購入。乗り始めてから今年で14年目だという。

マークⅡの購入後は、トヨタ・イプサム、ウィッシュを増台し、現在は3台体制でカーライフを楽しんでいると言うが、中でもマークⅡには特別な思いを持っているのだとか。

今回は、マークⅡ×ばりけろさんのお話です。

――マークⅡとはどういう出会いだったんですか?

実は、マークⅡを購入するまでは、父のクルマだったトヨタ・レジアスエースに乗っていたんですよ。そしたら、自分のクルマが段々と欲しくなってきたので、中学生の時から80系マークⅡにどうしても乗りたかったのもあり、ネットで中古車を探し、購入しました。

――中学生の時からマークⅡに憧れていたんですね!

自分がまだ物心がつく前、父が新車のマークⅡを買って乗っており、のちにそれを知り、ネットでマークⅡのCMを調べた時があったんです。その時「こんなに良いクルマだったんだ」と思ったんですよ。マークⅡを舐めまわすように、いろんな角度から映すようなCMだったんですが、それがとても印象的で、マークⅡにどんどん興味が湧いていったのを覚えています。

――そのCMがきっかけとなり、愛車をマークⅡにしようと決めたんですか?

そうなんです。それと、ネットで調べていた時、80系クレスタの歴史を紹介しているホームページを見つけたんですよ。そこの管理人が80系クレスタに乗っていたみたいで、マークⅡも含めた3兄弟の紹介がすごく丁寧にされていたんです。

そのサイトを見ているうちに、さらにのめり込んでいっちゃって…。父が乗っていたマークⅡってこんなにすごいクルマだったのかと知り、さらに魅了されちゃって「将来乗ってみたい!」って思い始めたんですよね。

――具体的にはマークⅡのどこに惹かれたんですか?

デザイン的なカッコ良さで言うと、外装の薄い形っていうんでしょうか。現代のクルマに比べて背が低くて、長く見えるようなボディにカッコ良さを感じました。

あとは、内装のデザインですね。80系マークⅡ三兄弟の仲間の間ではG内装って言ってるんですけど、運転席の膝回りとか助手席のグローブボックスの周りが、シートと同じ生地がふんだんに使われているんですよ。バブル景気っていうのもあるんでしょうけど、高級感の演出のされ方に衝撃を受けました。

――外装や内装以外で、気に入ったポイントはありますか?

さっき言ったホームページでさらに興味深いお話が紹介されていたんですよ。というのは、開発を率いた渡辺さんが、かなり苦労して作られたらしいんです。70系マークⅡから正常進化をさせる方向で開発を進められていて、その中で色々な試行錯誤をして、完全なものを作り上げたという流れなのですが…。そういうふうに、しっかり作り込まれたクルマっていうのが、当時、写真や文面を見るだけでも伝わってきたんですよね。そういうマークⅡが作られた背景も、とても感動しました。

――マークⅡに初めて乗った日のことは覚えていますか?

前オーナーさんが丁寧に乗られていたのもあり、購入当時は21年落ちだったんですが、それを感じさせないくらい、とても綺麗な状態だったんですよ。それで、中に乗った時に「G内装ってこんなにも豪華なのか」と感動したのを覚えています。
初めての運転に関しては、見切りがすごく良くて、乗りやすく感じました。あとは、ハンドルが軽くてビックリしたのを覚えています。

――ほぼフルノーマルで乗られているのは、ばりけろさんのこだわりなのでしょうか。

カスタムするにしても、自分のセンスに自信がないっていうのと、カタログに載っている状態が好きなんですよね。なので、購入後はそのままの状態で乗りたいって、当時からずっと思っていました。基本的にはあまり手を加えないというポリシーで、どのクルマに対しても接しているのですが、特にマークⅡは元々のデザイン性の良さがあるんです。
パッと見てカッコ良いなって思えるクルマだったのもあり、手を加えなくても良いなって確信したんですよ。

――14年間乗られてきた今、1番気に入っているポイントはどこですか?

3Lのエンジンのトルクの力強さはかなり気に入っています。クラウンで設計されているエンジンが、車重の軽いマークⅡに乗っているので、ものすごくトルクを感じるんですよ。ちょっとだけアクセルを踏むだけで、高速や山道などで、全く変速せずにスルスルって上っていく感覚が、気持ち良くて魅力的ですね。

――エンジン音の印象はどう感じましたか?

MX83ってエンジン音が重たいんですよ。野暮ったい音なのにスルスル走る感じ…。重たいなりに力強く持ち上げるみたいなそういう感覚というか。小気味よくて、走っていてとっても気持ち良いんですよね。

――そういった独特な操縦感覚がクセになってくるんでしょうか?

おっしゃる通り、癖になっちゃってますね(笑)。このクルマに替わるものは無いなって思います。4速ロックアップのままスルスル登っていく感覚は、現代のクルマだとあまりないなって思うんですよ。あってもマツダのディーゼルくらいなんじゃないかな…。

――マークⅡに長年乗られている理由は、そういったクセになる感覚があるからなんでしょうか。

他にもいろんな理由があるんですけど、1番大きいのは、自分が最初に手に入れたクルマっていうことなのかもしれないですね。それが、維持し続けたい気持ちにつながっているんだと思います。マークⅡは今後も、手放す予定は全くないですね。

――マークⅡに乗られてきた中で、1番の思い出は何ですか?

人生で初めての北海道にマークⅡと一緒に行ったことですかね。最終的には本州、四国、九州と全部周れたんですよ。このマークⅡで日本の4つの島を走りたいっていう目標を元々持っていたので、達成感もあり、とても感慨深かったです。

――振り返ってみて、マークⅡはやっぱり大きな存在なんでしょうか?

マークⅡは自分の原点なんですよね。クルマを知ったり、好きになるきっかけでもあったというか…。多分、父がマークⅡに乗っていなかったら、出会えてなかったですし、違う未来が待っていたと思います。クルマ自体の魅力も、もちろん詰まっていますが、初めて自分が買ったクルマという意味でも特別なので、ずっと手放せないと思います。

マークⅡに乗り始めてから14年間、日本全国のあらゆる場所へ一緒に行ったというばりけろさん。「ずっと大切に保持していきたい」という思いから、今では月に1度乗る程度になったという。

「このクルマは一生手放さないと思います。」

彼がそう言い切れるのは、マークⅡとの長年の思い出が、まるで土台のように、自身を形成する一部となっているからなのではないだろうか。

(文:秦 悠陽)