絶対欲しくて妻に内緒で購入したトヨタ・86。憧れのFRスポーツは僕の人生のモチベーションに

  • トヨタ・86と桜

「10年間乗っているのに、86への熱が全く冷めないんです」

そう力強く語るのは、今回お話を伺うkohkiさん35歳。
初めて買ったトヨタ・アルテッツァ RS200には約5年間乗り、その後、今の愛車である86 GT(ZN6型)に乗り換えたと言います。それからの10年間は、正に86に夢中な毎日だったと話してくれました。

86と過ごすカーライフの中身は初めてのことだらけで、kohkiさんの人生に大きな影響を与えてくれたそうですが、一体どんなカーライフを送られてきたのでしょう。

今回は、kohkiさん×86のお話です。

――86を愛車にしようと思ったきっかけは何だったのでしょう?

まだ86が発売される前、雑誌やニュースでFT-86っていうコンセプトモデルを見たのがきっかけでした。当時「こんなクルマが出るんだ!」ってすごく気になったのを覚えています。

その後、発売されてすぐ、妻と一緒にディーラーに実物を見に行ったのですが、さらに「欲しい」ってなっちゃって(笑)。予算オーバーだったためか、妻は全然乗り気じゃなかったので「欲しいなー」ってさり気なくアピールをしたのを覚えています(笑)。

――奥様的には他のクルマが良かったのでしょうか?

実は、この86はちょうど結婚した年に買ったのですが、普通だったらファミリーカーを視野に入れるべきじゃないですか。でも、僕は全然興味が無くて、スポーツカーが欲しかったんです(笑)。

結局、どうしても欲しくて、妻に内緒で86の購入を決めたんです。

――内緒でですか!?奥様の反応はどうでしたか?

納車日前日に報告したのですが、こっぴどく怒られて、当たり前ですがボコボコにされました(笑)。

  • 納車当時のトヨタ・86

――そりゃそうでしょうね……。その後は認めてくれたのでしょうか?

認めたというか『諦めた』の方が正しいかもしれません(笑)。「アンタは86がないとどうにかなっちゃいそうだから、もうしょうがないよね」って感じで思ってくれているのだと感じます。

というのも、妻はその後、リヤスポイラーやスロットルコントローラーなどを買ってくれたんですよ。独断で86を購入しちゃったのもあり、妻には今でも罪悪感の気持ちがあるのと同時に、感謝の気持ちで一杯です。

――kohkiさんがそこまでスポーツカーにこだわる理由は何故なんでしょう?

“走りを楽しめる”っていうのが愛車に求める条件だからですね。

あとはFR車に昔から憧れていたのも大きな理由です。スポーツカーってFFやFR、4WDなど様々なタイプがあるのですが、僕の個人的な好みは、FR車のスポーツカーだったんです。FR車を自分でコントロールして走行を楽しみたいっていう願望が強かったんですよ。

  • トヨタ・86の運転席

――86に初めて乗った時のフィーリングはどうでしたか?

アルテッツァよりもボディが軽いっていう感覚は最初に感じましたね。

それと、重心が低くてステアリングを切った瞬間にフロントが入って曲がってくれる、あの感覚は興奮しましたね。リヤは柔らかい感覚があったので、足回りはイジりたいと思いましたが、初めて運転したその時は、総じて良いクルマだなって、テンションが上がりましたよ!

――86に乗られてきた10年間で、一番印象的だった出来事は何ですか?

正直、86との出来事はどれも思い出になっているので順序がつけ難いですね……。

人生の転機となった出来事はあって、7年くらい前、ドライブでよく通っていた道に展望台があったのですが、そこに僕が好きだったロータス・エキシージが停まっていたことがあったんです。

「うわ!カッコ良い!」って思って、そのオーナーさんに声をかけたのですが、そうしたら意気投合して仲良くなって、サーキットに誘ってもらえるようになりました。それ以降は、一緒にサーキットに行く仲になったのですが、そのオーナーとの出会いは、僕の人生をかなり変化させましたね。

  • トヨタ・86とロータス・エキシージ

――初めてのサーキットはどうでしたか?

最初に走った時は楽しいというよりも、疲労困憊という感じで、ヘロヘロでした(笑)。だけど、何回か走っているうちに慣れてきて「あそこのコーナーがダメだった」とか「ここがうまく走れなかった」っていうのが段々わかってきました。

クルマのチューニングをこうした方が良いっていうアドバイスもそのオーナーが教えてくれて、徐々にタイムが上がっていくのですが、それが本当に楽しくて、サーキット走行ってめっちゃ面白いなって思いましたね。

――今でもサーキット走行はよく行っているんですか?

  • サーキットでのトヨタ・86

年に4回ほど、主に冬場にですが、定期的に行っています。大体1年の内に1回は、何処かをイジったりメンテナンスをするので、例えば足回りを変えたら、その効果がどのくらい出るかを確認したいんですよね。

どのくらい86が速くなったのかをサーキットで試して、タイムが上がれば成功として捉えてっていうのは今でもやっています。

サーキットって「次はこのタイムを目指そう」っていう新たな課題や目標が生まれるのも、また楽しいんですよ。僕ってそういう課題がある方が燃えるタイプなので(笑)、私生活のモチベーションにもつながっていると思います。

――サーキットはkohkiさんのカーライフの中の楽しみの1つになったんですね!

そうですね。サーキットで走ってタイムが上がった時は本当にうれしいです。他にも、クルマ仲間と一緒に箱根にツーリングに行ったり、道の駅で集まってクルマの話をしている時もめちゃくちゃ楽しいんですよ。どれも楽しさの種類が違うだけで、本当に充実した瞬間です。

86って1人でドライブしている時も楽しいし、楽しい瞬間って本当に順位付けができないです(笑)。多分、86ベースのカーライフであれば、どの瞬間も楽しいのかもしれません。だから10年間飽きずに乗り続けることができたんじゃないかなって、最近は思っています。

  • トヨタ・86で参加したオフ会の様子

――今後は86と、どういうカーライフを送っていく予定なんでしょう?

乗り換えてから今年で10年になると言いましたが、更にもう10年くらい、あと10万キロは一緒に走っていきたいですね。この先不調が出てきて、例えば壊れたとしても後継のGR86のパーツも流用できるので、寿命は長く乗れるんですよ。あとはお金の問題なので、そこさえクリアできれば、ずーっと乗って行きたいなって現状は思っています。

――今のkohkiさんにとって86ってどういう存在になっていますか?

うーん…。上手く言えないですが、僕の人生の相棒になっていると思います。絶対必要なものっていうのは間違いないですね。通勤から趣味のサーキットまで全部86で1本につながっているので、本当に必要不可欠な存在。それ故に、僕のモチベーションに繋がっているのだと思います。

  • ピットロードとトヨタ・86

ミニバンやSUVが人気の昨今、「直感ハンドリングFR」というコンセプトを持つ86を25歳から10年間、存分に楽しむkohkiさんのお話を聞き、往年のスポーツカーファンだけでなく、スポーツカーに憧れる若者、クルマを愛する若者のカーライフを後押ししてくれる存在なんだということを改めて感じました。

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Kohkiさん

(文:秦 悠陽 写真提供:kohkiさん)