三菱ジープ L-J37と暮らす。「憧れ」を1台目の愛車に選んだ理由
初めての愛車に選んだのは、長年憧れ続けた一台でした。白じぃさんが乗るのは「L-J37」という型式の三菱ジープ。ロングタイプの「デリバリーワゴン」で、年式は1980年前後といわれている個体だそうです。「このチャンスを逃したら次はない!」と即決した背景には、子どものころから心に残っていた風景がありました。
――白じぃさんの、これまでの車歴は?
実は、今の愛車が1台目なんです。
――そうなんですね! このクルマを選ばれたのはなぜですか?
以前から憧れのクルマだったんです。直接のきっかけは、知人が手放すというのを聞いて「このチャンスを逃したら次はない!」と思って決めました。
――ジープが「憧れ」の存在になった経緯を聞かせてください。
小学生のころまで遡るんですが……私の地元は奄美大島なんです。自衛隊の基地があるので、ジープみたいなクルマがしょっちゅう国道を走っていたんです。軍用車として使われる少しコンパクトなモデルで、見かけるたびに「かっこいい!」って思っていました。表現が難しいんですが、クルマとして「できあがった存在」という印象が強かったのを覚えています。
自衛隊のクルマというイメージだったので、当時は自分で乗れるとは思っていませんでした。その後20数年経って社会人になり、友達が増えていく中でこのジープのオーナーさんと知り合ったわけです。その方も以前のオーナーさんから譲り受けて乗ってらっしゃったんですけど「手放します」っていうタイミングで声をかけていただいて即決しました(笑)。
――愛車の概要を教えてください。
「L-J37」という型式の三菱ジープです。ロングタイプとショートタイプがあって、僕が乗っているのはロングのほうです。一般的には「デリバリーワゴン」と呼ばれているようです。年式はハッキリわからないんですが、詳しい方に見ていただいたときには1980年前後の個体だろうと言われました。
デリバリーワゴンなので、軍用車ではあるんですけど物を運ぶための貨物車です。だから、昔に見ていたモデルそのものではありません。でも「顔」は同じクルマですし「二度と出合えない」と思ったので躊躇しませんでした。
――白じぃさんが購入されたのはいつですか?
2020年ですから、5年ほどの付き合いです。
――実際に愛車となった憧れのクルマ、運転しての印象はいかがでしたか?
パワステが付いていませんから、ハンドルは重いですし小回りは利かないです。しかも、マニュアルミッション(笑)。一般的にはマイナス要素かもしれないですけど、私は機械らしい武骨なものがとても好きなんです。毎回「クルマに乗っている」実感があって、個人的には「乗り心地はとてもいい」と思っています。
――購入されてから、ご自身で「手を入れた」部分はありますか?
一番気に入っているのは内装です。後部座席から荷室部分まで、窓には何もついてなかったので、カーテンを取り付けました。アメリカのビンテージ品が大好きで、趣味のキャンプ用品もビンテージでそろえているんです。それに合うようなカーテンを探したんですが、あまりお金がかけられないので、工夫して作りました。
――カーテンをご自身で作られたのですか?
そうなんです。友達から借りたミシンを使って縫い、その後、手縫いで細かいトコロを補正しました。好みのチェック柄の布は生地屋さんをまわって買いましたし、カーテンレールは量販店で購入して、磁石でボディパネルの内側に付けました。出来は「チョット粗いかな」とは思いますが、ほぼイメージ通りにできたと思います。
――服飾関係のお仕事をされているのですか?
いえ、仕事はIT関係なんです(笑)。
――定期的なお手入れはやはり欠かせないですか?
定期的なメンテナンスを怠ると、今のクルマよりも衰えが出やすくなるし、不具合が出た場合はどんどん悪化していくと思います。一方で、そこさえきちんとしておけば、日頃のメンテナンスは最近のクルマとあまり変わらないと思います。車検が1年ごとなので、必要なことはその時にやっていただくようにしています。
ただ、古いクルマですし日本は湿気が高いので、サビは出やすいですね。致命的なサビになる前に対応するのは大切だと思います。今日も、これから作業するんです。パテ埋めをして、それから削り……。埋めるまでは簡単なんですけど「何時間かけて削るんだろう……」っていう作業が待ってます(笑)。
――パーツはすぐ手に入りますか?
心配はなさそうです。今の軽自動車や商用車で使われている部品が結構使えるらしいです。オーナーズクラブの集まりではパーツのやり取りや情報交換もできまして、私も一度参加したときは、サビ対策など、いろいろとアドバイスをいただきました。
――今後のカスタマイズ計画はありますか?
今のところは予定していません。内外装には、私に譲ってくださった前オーナーさんの手が一部に入っているところがあります。車体の側面とインパネのメーター周りやグローブボックスとかに、ウッドパネルが貼ってあるんです。オーナーズクラブの皆さんに言われたんですが、このパネルはもう手に入らないらしいんです。「貴重だよ」って言われたので、しばらくはこのままで乗っていようと考えています。その後は、できるだけオリジナルに戻すかもしれません。
――貴重なおクルマですが、普段の移動もジープですか?
アウトドアが好きなことから釣りやキャンプによく行きまして、ほとんどジープに乗って出かけています。住んでいる千葉県から琵琶湖に行ったこともあり、片道600km~700kmくらい走ったと思いますが、問題なく無事に帰ってこられましたよ(笑)。あとは、ホームセンターや大きいスーパーなどに行くようなときもジープです。
――このクルマに乗っていることで、白じぃさんの生活に何か変化はありましたか?
信号待ちをしていると、横断歩道の歩行者から “Good!”っていう感じでサムズアップサインを送られたり、話しかけられたりします(笑)。エアコンはついていますが効きが悪いので、窓は開けて運転することが多いですから(笑)。そんなことがきっかけで友達ができたこともあります。「コミュニティが広がったな」と思います。
――愛車が人の縁を繋いでくれるというわけですね。
そうですね。「欲しい!」と言われたり……「乗ってみたいです」とか「友達になりましょう」とおっしゃる方もいます。
――いろいろな縁を結んでくれている愛車と、今後、一緒にやってみたいことはありますか?
一つは、地元にジープで帰ってみたいです。鹿児島港まで陸路で行って、そこから船で奄美大島を訪ねてみたいです。それは実現できると思います。
もう一つは「夢」に近いんですが、もう一台の「憧れのクルマ」を買ってジープと並べたら幸せだろうなーと思います。ずっと見ていたいです(笑)。アメリカの古いクルマで、価格がどんどん上がっているので手が届かないところにいってしまいそうなんですが…。
――その車種とは?
1969年か1970年式のマスタング(フォード)です。それも、できるだけ手が入っていないオリジナルの個体が欲しいんです。子供のころに見ていたドラマや映画、漫画の影響なんです。(劇中では)組織のボスみたいな、個性的なキャラクターの登場人物が乗っていたクルマだったという印象が残っています。アメリカでは、そういう古いクルマがフリーマーケットに出ていたりするんです。いつか、探しに行きたいです!
――そんな白じぃさんにとって「クルマとは?」
普段暮らしている、家の間取りの一つといった感覚です。うまく言えませんが、きちんとした役割をもった部屋というか……。
子どものころ、実は絵描きを目指していたんです。よく、画家だった祖父のアトリエに僕も篭って絵を描いていたんです。落ち着いて集中できる空間でした。今は実家を離れて一人暮らしをしていて2年おきくらいに引っ越すんですが、部屋が変わると、自分が思考を巡らせる空間が固定できなくて落ち着かないんです。
アイデアを出さなきゃいけないとか、問題を解決しなきゃいけないようなときに、静かにものを考える空間が必要なんです。なので、時々、クルマに乗って走りに行って「答えを出す」ようなことをしています。僕にとって、クルマって頭の中を整理するために必要な存在だったり空間だったりするのかなって思ったりします。
――移動の相棒としてだけでなく「心から落ち着ける空間」としても欠かせない存在ですね。
そうですね。「ここにいられるのは自分だけ」っていう感覚があるんです。マニュアル(MT)ですし、最新のクルマのように便利な機能もついていません。だけど、私だけの空間というか「あんまり干渉されないだろう」っていう安心感もあるんです。
――生活の色々な面を支えてくれる、大切なパートナーですね!
まさに!
子どものころに国道で見かけ「できあがった存在」と感じたジープ。いまはその一台が、白じぃさんにとって「きちんとした役割をもった部屋」になっているそうです。走るたびに「クルマに乗っている」実感を与えてくれる三菱ジープ L-J37は、これからも白じぃさんの暮らしの中で、静かにエンジンサウンドを響かせ続けていくことでしょう。
【Instagram】
半世紀 白じぃさん
(文:石川 徹 写真:白じぃさん提供)
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