【世界の愛車紹介タイ編】頭文字Dに影響を受けたオーナーが独自のアイデアで作り込むAE86

AE86(日本名カローラレビン/スプリンタートレノ)人気は海外でも健在です。日本のチューニングカー市場やモータースポーツフィールドでの活躍をきっかけに巻き起こった一連のAE86ムーブメント。日本独自のものと思いがちですが、今や地球規模で拡大し、そのストーリーも非常に似ています。

ウィットさんの愛車はAE86(スプリンタートレノ)。日本でもタイでもめったに見ることのない左ハンドルです。タイ国内でのオーナーとしてはウィットさんが2人目。アメリカに留学していた1人目のオーナーがタイに持ち帰ったのを購入しました。

藤原拓海仕様と同じボディ、同じカラーリング。かつてAE86の人気を引っ張っていたのはレビンでしたが、頭文字Dの連載がスタートしてから人気が逆転したと言われています
藤原拓海仕様と同じボディ、同じカラーリング。かつてAE86の人気を引っ張っていたのはレビンでしたが、頭文字Dの連載がスタートしてから人気が逆転したと言われています
非常にレアな左ハンドル。タイは右ハンドルの国ですが、左ハンドル車も走行することができます
非常にレアな左ハンドル。タイは右ハンドルの国ですが、左ハンドル車も走行することができます

AE86を選んだ理由は映画「頭文字D(イニシャルD)」を見て主人公・藤原拓海が乗るAE86のカッコ良さにしびれたから。ウィットさんのAE86がリトラクタブルライトを持つスプリンタートレノの3ドアなのも、白黒ツートンのボディカラーなのも頭文字Dの影響です。頭文字Dはもともと日本のヤングマガジン(講談社)に連載されていた人気マンガ。日本ではAE86人気に火をつけた存在として知られていますが、タイでも同じなのです。

後期のフロントバンパーに前期のリップスポイラーを装着。ナンバーも86です!
後期のフロントバンパーに前期のリップスポイラーを装着。ナンバーも86です!
リアスポイラーは大型のTRD製。マフラーはBULLETのチタンマフラー
リアスポイラーは大型のTRD製。マフラーはBULLETのチタンマフラー

ただ、日本とまったく同じかと言うとそうではありません。日本の頭文字Dファンの大半は忠実に藤原拓海仕様を再現しますが、ウイットさんは違います。その典型がエンジン。購入してすぐにホンダS2000に搭載されたF20C(2.0リッターの4気筒NAエンジン)をスワップ。名機4A-Gを捨て、他メーカーのエンジンを躊躇なく載せました。F20Cを選んだ理由は誰もやらない方法で高性能のエンジンを載せたかったから。組み合わせるパーツも無限のエキゾーストマニホールドやスプーンのコンピューターなど、ホンダ系のブランドでかためられ、212psのパワーを獲得。また、エンジンに合わせてミッションも6速、メーターもデジタル式と、S2000用を流用しています。

高回転型として知られるF20C。1.6リッターの4A-Gと比べるとパワー差は歴然です
高回転型として知られるF20C。1.6リッターの4A-Gと比べるとパワー差は歴然です
AE86のメーターパネルにキレイに収まったS2000のメーター
AE86のメーターパネルにキレイに収まったS2000のメーター

かつて日本においてもF20CをスワップしたAE86がありましたが、異なるメーカーのエンジンを搭載し、きちんと走れるようにするのは大変な手間がかかります。このようなクルマを仕上げられるところにタイの高い技術力を感じます。

ホイールはRSワタナベ。日本でも人気のあるホイールです
ホイールはRSワタナベ。日本でも人気のあるホイールです
クスコのパーツなどで、サスペンションも一通りチューニング
クスコのパーツなどで、サスペンションも一通りチューニング

ウイットさんは月に2、3回ぐらいの頻度でドライブに出かけ、クルマ仲間とメンテナンスや技術的情報などを共有しています。日本のAE86チューニングの最新トレンドや、頭文字Dの話題で盛り上がっているのは想像に難くありません。

日本のムーブメントに影響を受けたオーナーの手によって新たな一歩を踏み出し、独自の進化を続けるAE86。日本と似ているようで似ていないタイのクルマ文化を象徴する1台です。

Pakorn suksamran(パコーン スックサンラーン)
タイのライター兼編集者。普段からクルマ系記事を中心に担当しており、「Option thailand」等でも執筆経験あり。

[ガズ―編集部]