周囲の強力なサポートにより、総合優勝を目指す【学生フォーミュラ -同志社大学編-】

全国の大学や専門学校などのフォーミュラチームにおじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、3年連続学生フォーミュラ大会3位の実績を持つ同志社大学のフォーミュラチーム「DUFP」を訪問してきました。

★​同志社大学フォーミュラプロジェクトDUFP プロフィール
●部員数 :21名   ※部員数は2015年2月時点
●活動内容:毎週月曜と木曜に全体ミーティング。毎週火曜は休日としているため、それ以外の6日間が週の活動日。毎月1回はデザインレビュー・月例会を開催し、先生やOBに活動状況のチェックを受けている。プロジェクトリーダー、総務部長、技術部長の3人を三幹部としてチームを編成。
●活動実績:2014年度 第12回全日本学生フォーミュラ大会 総合3位
2013年度 第11回全日本学生フォーミュラ大会 総合3位 など

いま、注目されるフォーミュラプロジェクトチーム

取材に対応してくれた、2015年度のプロジェクトリーダーを務める林さん
現在はOBとして定期的にチームをサポートしている2014年度リーダーの池下さん(右)と、2014年度チームの総務部長を担当した新野さん(左)
部室の奥には工作機械がそろった工場があり、メンバーは自由に使用できる便利な環境がそろう
2015年2月時点で女性メンバーは、理工学部にいる阿瀬さんと城戸さんの2名が在籍している

福沢諭吉と並んで“明治六大教育家”に数えられる、新島襄によって1875年に創立された同志社英学校。それが前身となって誕生した私立大学が同志社大学です。現在は今出川校地に今出川、室町、新町、烏丸の4キャンパスを、京田辺校地に京田辺、多々羅、学園都市の3キャンパスを擁しています。

その、京田辺キャンパスを拠点として活動しているのが、同志社大学フォーミュラプロジェクト(Doshisha University Formula Project)、通称DUFPです。

2014年度のプロジェクトリーダーを務めた池下さんは、「他校よりも恵まれた環境でプロジェクトに取り組めていると思います」と話します。部室には基本的にいつでも使用できる工場が隣接しており、申請して許可を受ければ校内の駐車場でテスト走行ができる。また、学校からの金銭的なサポートに加えて、最近では新しいスポンサー企業も増えている。チームにはたくさんの期待がかけられているというわけです。

DUFPには期待されるだけの理由があります。○○年 第1回学生フォーミュラ大会から参加を続けているDUFPですが、当初は大きな結果を出せない状況が長く続いていたものの、2012~2014年度は3年連続で総合3位。特に静的審査のコスト部門では2年連続で1位を獲得しています。まさに急成長。長年続けてきた蓄積が実り、遂に待望の芽が出たというわけです。

同志社大学は、理系が京田辺キャンパス、文系が今出川キャンパスと分かれています。そのため、京田辺キャンパスを拠点にするDUFPのメンバーは理系100%。しかしメンバーは「もっと文系の人たちとも一緒にやりたい」と考えているそうです。大会での優秀な成績という、同じ志を持つメンバーならばいつでも大歓迎。新入生勧誘も含めて、新しい仲間とさらなる好成績を目指そうと、チーム全体からは明るく前向きなムードが感じられます。

体制を整え、学生フォーミュラ大会に挑む

サスペンション、アップライト、ステアリングなど、担当する部分によって班長がおり、力を合わせて製作を進めている
2014年度のマシンDF14は、徐々に解体されDF15に生まれ変わる。エンジンからエキゾーストパイプを外す作業
設計図どおりにフレーム用のパイプを切断していく、技術部長の長村さん
取材時は製作が本格的にスタートしたタイミング。その一角ではフレーム溶接のための準備が進められていた

学生フォーミュラ大会に参加するチームのなかには、修士生も活躍しているチームが少なくありません。しかし、DUFPの場合は伝統的に1~3回生がメンバーとなり、大会を終えた3回生は引退ということになっています。つまり、比較的若いメンバー構成ということになりますが、それが弱点にならない体制がしっかり組まれています。

チームの活動状況は、定例の月例会によって先生やOBに報告されており、必要に応じてOBなどから指摘が入り、プロジェクトの進行が滞りなく行われるよう調整が入ります。今回、取材に応じてくれた2015年度のプロジェクトリーダーである林さんは、「月に1回、誰かに見て頂けるというのは、良い区切りにもなっています」と話します。引き締めるべきところはOBたちの力も借りて、最優先となる大会を見据えているというわけです。

チームの編成には三幹部制を導入しています。プロジェクトリーダーを筆頭として、その補佐と書類作成を主に担当する総務部長、そして技術全般を指揮する技術部長です。また、技術部門では主に担当するものに応じて班分けがされており、それぞれにも班長が据えられています。

全体を指揮するプロジェクトリーダーの仕事には、企業などとの対外的な交渉役もあります。現リーダーである林さんは今まさにそれを担っており、その中で新しい発見もあったようです。

「もとは機械やものづくりが好きでエンジニアになりたいと思いチームに入りましたが、外の人と話す機会を経験したことで、つくられたものの良さを理解し、しっかりと伝えられる、売り込める役割も重要だということを感じています」と。林さんはリーダー就任前の2014年大会で静的班のプレゼンを担当しており、そこで悔しい想いをしたと振り返ります。作り手としての成長だけでなく、ものづくりの全般に関わる視点が、活動のなかで芽生えてきたようです。

コーナリング性能を追求し、動的審査の好成績を目指す

参加メンバーは、ものづくりが好きで入った人と、クルマが好きで入ったひとが半々程度の構成らしい
2014年大会での動的審査の様子。これまでに蓄積されたデータをもとに、2015年はコーナリング性能に注目する
学園祭ではブースに実車を展示し、フォーミュラプロジェクトチームの活動を宣伝している
2014年大会が終わった後に、当時2回生だったメンバーだけで撮影したもの。このメンバーたちが2015年の中心だ

池下さんは「審査員の方からは、毎年よく似ているね、と言われていますが、実は見えにくい部分を重点的に変えています」と話します。

ここ3年は全日本学生フォーミュラ大会で連続総合3位。池下さんの代までは大きな改革を目指すのではなく、マイナーチェンジのように細かな改善を繰り返し、好成績を勝ち取ってきたというわけです。

そして、それを受け継いだ2015年度チーム。リーダーである林さんは、ここ数年の慣習から脱け出し、各班が理想に描くクルマを追求して形にする、大改革を目指しました。

「エンジンやデフなど、ガラッと変えることに挑戦した部分があります」と力強く話す林さん。続けて「ある程度進めたところでスケジュールが苦しくなり、ガクッと頓挫してしまったものもありますけど(笑)」とも。

「2015年度の目標は、もちろん総合優勝です!」と、新リーダーは改めて力強く目標を話してくれました。「1位・2位とは大きな隔たりがあると言われていますので、決して簡単ではありませんが……」とも続けますが、もちろん具体的な作戦はあるのです。

それは、動的審査への取り組みです。これまで、静的審査は好調なDUFP。その維持と向上はもちろんとして、弱点になっているのが一方の動的審査。

「動的性能が全般的に伸び悩んでいる理由を考えたとき、コーナリング性能に注目してみました。今年はそれを向上できるよう、大きなテーマにして取り組んでいます」と林さん。この大テーマを全員が共有できるよう、部室には「コーナリング性能の追求!」と掲示されています。

林さんは最後に、「ここ数年、良い成績が続いていることで知名度が上がり、高い志で参加してくれるメンバーが増えました。2015年大会でも良い成績を勝ち取って、この流れを続けていきたいと思います」と話します。

マイナーチェンジを重ねて遂に芽吹いたDUFP。ひとつひとつ歩みを進めるように成長するこのチームは、将来さらなる栄光に到達するよう歩き始めています。

関連サイト
【Facebook】DUFP Doshisha University Formula Project
【Twitter】 D.U.F.P. 同志社学生フォーミュラ

[ガズー編集部]