車中泊の下調べから、現地で気を付けること ~安全編~

安心して車中泊するためには、事前の準備が大切です。車中泊候補地の周辺の下調べや現地での過ごし方など、知っておきたい注意点を確認しておきましょう。

車中泊場所の下調べをする

車中泊をするには、まず泊まれる場所が必要です。知らない土地で、行き当たりばったりで場所を探すのは大変です。現地で困らないように、事前に仮眠や車中泊をする候補地を探しておきましょう。

候補地を選ぶ際にポイントとなるのは、トイレなどの周辺施設や街灯の有無など。地図や施設の公式サイトを確認したり、Googleマップのストリートビュー(詳細後述)で現地の画像を見るなど、情報収集をしましょう。候補地をいくつか探しておけば、急な予定変更の時にも柔軟に対応ができます。また、RVパークやオートキャンプ場などは、必要に応じて予約をしましょう。

周辺施設を確認する

車中泊をする上で、24時間利用できるトイレの近くはおすすめです。また、コンビニなども、あると便利ですし、ガソリンスタンドなどは、敷地内になくても、どこにあるか把握しておくと安心です。

■ トイレ

車中泊場所から歩ける距離にトイレがあることを確認しておきましょう。
車中泊場所から歩ける距離にトイレがあることを確認しておきましょう。

■ コンビニエンスストア

食事や飲み物だけでなく、さまざまなものが揃うコンビニは何かと頼りになります。近くにあると、急に何かが必要になった時にも安心です。
食事や飲み物だけでなく、さまざまなものが揃うコンビニは何かと頼りになります。近くにあると、急に何かが必要になった時にも安心です。

■ 飲食店

車中泊する場合、食事をどうするかも事前に決めておくといいでしょう。店が少ないエリアなどでは、店の定休日や営業時間なども調べておきましょう。

■ 入浴施設

旅先での入浴は楽しみのひとつ。できれば地元の温泉施設を事前に調べておくと旅の楽しみが更に広がります。湯冷めしない程度の距離に日帰り入浴施設があると便利です。
写真の「おぶせ温泉 穴観音の湯」(長野県上高井郡小布施町)のように、車中泊スペースが設けられている施設を活用する方法もあります。営業時間やレストランなどの付帯施設についても、調べておくと安心です。

■ ガソリンスタンド

必ずしも近くにある必要はありませんが、燃料には余裕をもっておきたいもの。車中泊候補地の近くにガソリンスタンドがなければ、早めの給油をおすすめします。また、ガソリンスタンドは営業時間と定休日も必ずチェックしておきましょう。

Googleマップのストリートビューを活用する

現地の様子を画像で見られるGoogleマップのストリートビューは、下調べの際に重宝します。日本中の幹線道路はほとんどカバーしており、駐車場の規模や周辺施設の様子はもちろん、地図ではわからない「街灯」があるかどうかも確認することが可能です(※私有地など、詳細が確認できない場所もあります)。
画像の拡大機能を使えば、施設に掲示された看板の文字を読むこともできます。ただし、画像が古い場合もあり、実際の様子とは異なることも。それでも、現地の様子を把握するには十分役に立ちます。

不安を感じたらやめる勇気を

周辺の状況など、下調べをしていても、実際に現地に着いてみたらイメージと違っていたり、慣れない場所で不安に感じることもあります。そんな時は、無理にそこへ留まらず、他の場所へ移動したり、車中泊自体を中止する勇気も必要です。

現地で駐車をする場所の選び方

安心して車中泊するには場所選びが大切です。避けた方がいい場所もあるので、確認しておきましょう。
安心して車中泊するには場所選びが大切です。避けた方がいい場所もあるので、確認しておきましょう。

・暗すぎる場所・ひと気がない場所は避ける

写真のようにひと気がない場所は、静かで寝やすそうに見えますが、防犯の面で不安があります。街灯がない暗すぎる場所も同様です。周囲に適度に人の出入りがあり、車の周りを見渡せる場所を選んで、犯罪やトラブルに巻き込まれるのを防ぎましょう。また、こういった場所は車中泊に慣れていないと、意外と不気味に感じて寝つけないことも。

・傾斜のない水平なところを選ぶ

いっぱい遊ぶためには、良質な睡眠をとることが大事ですよね。できるだけ地面が水平な場所に駐車して、普段の寝ている姿勢に近づけるよう調整しましょう。

・すぐ隣よりも、1台分空けて駐車する

スペースに余裕があるなら、できるだけ隣の車と距離を保って、プライバシーを確保しましょう。先に駐車している車があれば、すぐ隣よりも1台分空けて駐車を。すぐ隣に車が停まっていると、話し声やアイドリングの音が気になるケースもあるため、空けておくと安心です。

・危険な場所は避ける

川や海の近く、崖下など、通常は安全と思われる場所でも悪天候時には危険地帯となるケースも。天候が急変することを考え、危険な場所は避けましょう。

駐車中に気を付けること

安心な車中泊のために、いくつか知っておきたいことがあります。車の状態や車内での過ごし方などを確認しておきましょう。

車のロックをかける

車内で過ごしている間は、ドアはロックしておくと安心です。煩わしく感じることもありますが、犯罪防止のためにも徹底しましょう。

アイドリングしない

アイドリングは音や排気ガスなど周囲に迷惑なだけでなく、自身に危険が及ぶ場合も。風向きによっては排気ガスが車内に進入することもありますし、積雪時は一酸化炭素中毒になってしまう恐れもあります。また、都道府県によっては条例で禁止している場合もあります。極力アイドリングはやめましょう。

ときどき窓を開けて換気する

特に車内で過ごす人数が多い場合、長時間車内にいると二酸化炭素の濃度が上がり、頭痛やめまいなどを起こす可能性があります。窓を数センチでもいいので開けて、ときどき換気をしましょう。新鮮な空気を取り込みましょう。車の窓枠の上部にバイザーがあると、雨の時でも雨が入らず快適です。

携帯電話の電波状態をチェックしておく

山の中など携帯電話の電波が届きにくい場所があります。もしもの時に外部と連絡を取れるよう、携帯電話の電波状況は確認しておきましょう。

スマホの充電は切れないように

いざというときに頼りになるのがスマホです。バッテリーが切れないように、充電状態は常に気にしておきましょう。走行中に充電しておくといいでしょう。

バッテリー上がりに注意

夜、エンジンを切った後に車内灯をつけっぱなしにすると、バッテリーがあがってしまい、翌朝エンジンがかからないという場合も。車内で灯りが必要なら、LEDランタンなどの照明があると安心です。LED照明なら、電池の消費が少なく、電池の交換頻度が少なくて済みます。

危険を感じたら

周囲に、うるさい車や騒がしい人たちがいる場合など、快適に過ごせないと判断したら速やかにその場を離れるのが無難。周囲とのもめごとは避けましょう。

初心者におすすめの季節

快適な車中泊をするためには、車内の温度管理が大切です。真冬なら、保温性が高い寝袋などが不可欠ですし、真夏の暑さを避けるためには、高原など涼しい場所に行くなどの対策が必要です。さらに、それでも耐えられない寒さや暑さの場合は、電気毛布や扇風機などを使用する方法もありますが、持ち運びできるポータブル電源などを用意して電源を確保する必要があり、初心者にはハードルが高いので、車中泊を始めるのは春や秋など気候のいい季節がおすすめです。

暑いときの対処法

■ 高所に行く
一般的には標高が100m上がると気温が0.6℃下がります。計算上は、標高2000mの高原なら、平地より12℃ほど低いことになるので、真夏でも高所なら快適に過ごせます。

■ 停車前に車内を冷やしておく
駐車中はエンジンを切ってしまうので、停車するまでに車内を目一杯冷やしておくといいでしょう。出入りの際は、冷気が逃げないようにドアの開閉は最小限に。

■ 窓を開けて、風通しを良くする
窓をこぶし大くらいに開けて車内に風が入るようにします。そのまま窓を開けてしまうと虫が入ってきてしまうので、車用の網戸があると便利です。最近ではホームセンターなどでも販売されています。無風の場合は、小型扇風機を用意するなど工夫しましょう。

寒いときの対処法

■ 窓からの冷気を遮断

外気が一番入ってきやすいのが窓です。銀マットなどで窓を覆うことで空気の層ができ、外からの冷気の進入を防ぐことができます。また、銀マットはシュラフなどの下に敷くのも温かくなるのでおすすめです。

■ 停車前に車内を温めておく

暑さ対策と同じく、駐車中はエンジンを切ってしまうので、停車するまでに車内を目一杯温めておきましょう。出入りの際は、暖気が逃げないようにドアの開閉は最小限に。

■ 季節にあった防寒具を

寝袋には対応温度が表示されているので、季節にあったものを選ぶといいでしょう。機能的に不安なら、ダウンパーカーなどの防寒具や衣類を重ね着するなど工夫して、寒くない環境を作りましょう。使い捨てカイロを寝袋の中に入れておくのも効果があります。

今回は、事前準備と現地での安全についてご紹介しました。初めて訪れる場所で車中泊をするというのは、楽しさももちろんありますが、想像以上に不安も感じます。日が暮れたら周囲が真っ暗になってしまった、利用しようと思っていたお店の営業時間が短かった、などなど・・・。予定外のことが起こってパニックになってしまうのは避けたいですよね。
実際にその場で一晩過ごすことを想像しながらしっかり準備をしましょう。
特に初めて車中泊に挑戦する人が陥りがちなのは、「思ったより怖いけど、せっかく来たのだからこのまま泊まろう」という思考。たしかに、予定が狂ってしまうことも、準備が無駄になってしまうことも辛いのですが、身の安全が第一であることをぜひ忘れないでください。

初めての車中泊は、車中泊のために設置されているRVパークや、車中泊スポットとして有名で利用者が多いところからはじめてみるのも良いかもしれません。

取材協力
高森裕士(株式会社フロット・モビール http://flott-m.com/)
日本RV協会(https://www.jrva.com/

撮影協力
株式会社オンリースタイル (https://www.shachu-haku.com/
道の駅「北信州やまのうち」(http://www.town.yamanouchi.nagano.jp/michinoeki/index.html
おぶせ温泉「穴観音の湯」(http://www.obuseonsen.sakura.ne.jp/

※記事内のデータは2020年2月現在のものです。おでかけの際には電話等で事前に確認されることをお勧めいたします。

[ガズー編集部]

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