【ホンダ インサイト 新型試乗】快適性に寄与する、変わらない“エンジンの存在感”…御堀直嗣
3代目の新型ホンダ『インサイト』は、シリーズ式のハイブリッド方式を基本に、高速走行時などではエンジンでも走行する独特なハイブリッドシステムを搭載する。シリーズ式とは、エンジンは発電を担い、走行はモーターによるものだ。日産のe‐POWERも同様の方式となる。ただe‐POWERは、高速走行でもモーター走行を続ける。
◆エンジン音が気にならず静粛性も高い
新型インサイトの走行モードは、EVドライブ/ハイブリッド・ドライブ/エンジン・ドライブの3種あり、搭載されているリチウムイオンバッテリーに十分な電力がある場合はモーターのみの走行ができる。だが、試乗した際には、発進後間もなくエンジンが始動した。しかし、そのエンジン音はそれほど大きくなく、また気に障るような雑な音質でないため違和感は少ない。
そこから加速していった際、とくに強い加速を求めたときには発電量を増やすためにエンジン回転数が高くなるが、そのことに気づいても嫌なエンジン音でないため、気に障ることはない。このエンジンの存在感は、高速でのエンジン走行になっても大きな変化がなく、低速からのハイブリッド走行と高速でのエンジン走行を通じて、その存在感が大きく変わらないのが新型インサイトの一つの特徴だ。そのことは、全体的に静粛性が高いと思わせる快適性にも寄与している。
◆運転感覚や前席の質感は十分だが…
乗車した際の内装の仕上げも上質さがあり、新型インサイトが開発の狙い通り本質的な魅力を備えたハイブリッドセダンに仕上がっていると感じた。運転感覚は、操作に対し落ち着きのある挙動を示し、上級セダンの走り味であると納得させられた。実際、セダン好きの私を魅了した。
しかしながら、その印象は前席でのことであり、後席に座ると様相が一変する。『クラリティPHEV』などと同じように、リアウィンドウ下の客室と荷室の間が鉄板むき出しの状態で、そこから騒音が侵入してくる。タイヤからのロードノイズはもちろん、エンジン回転が上下した際の排気音もはっきり耳に届く。前後の席での快適性の落差に驚かされるほどだ。また後席の座面は、床との差が少ないため、腿が浮き気味となって腰が落ち着かない。その点、クラリティPHEVは後席の座り心地も配慮したバッテリー搭載法を採っている。
荷室は、高さ方向のゆとりが少なく、荷物の出し入れで腰をかがめなければならないだろう。ハイブリッド車でも我慢することがないクルマを目指したとのことだが、セダンとしての使い勝手が十分に磨かれていない印象である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★
御堀直嗣|フリーランス・ライター
玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。
(レスポンス 御堀直嗣)
◆エンジン音が気にならず静粛性も高い
新型インサイトの走行モードは、EVドライブ/ハイブリッド・ドライブ/エンジン・ドライブの3種あり、搭載されているリチウムイオンバッテリーに十分な電力がある場合はモーターのみの走行ができる。だが、試乗した際には、発進後間もなくエンジンが始動した。しかし、そのエンジン音はそれほど大きくなく、また気に障るような雑な音質でないため違和感は少ない。
そこから加速していった際、とくに強い加速を求めたときには発電量を増やすためにエンジン回転数が高くなるが、そのことに気づいても嫌なエンジン音でないため、気に障ることはない。このエンジンの存在感は、高速でのエンジン走行になっても大きな変化がなく、低速からのハイブリッド走行と高速でのエンジン走行を通じて、その存在感が大きく変わらないのが新型インサイトの一つの特徴だ。そのことは、全体的に静粛性が高いと思わせる快適性にも寄与している。
◆運転感覚や前席の質感は十分だが…
乗車した際の内装の仕上げも上質さがあり、新型インサイトが開発の狙い通り本質的な魅力を備えたハイブリッドセダンに仕上がっていると感じた。運転感覚は、操作に対し落ち着きのある挙動を示し、上級セダンの走り味であると納得させられた。実際、セダン好きの私を魅了した。
しかしながら、その印象は前席でのことであり、後席に座ると様相が一変する。『クラリティPHEV』などと同じように、リアウィンドウ下の客室と荷室の間が鉄板むき出しの状態で、そこから騒音が侵入してくる。タイヤからのロードノイズはもちろん、エンジン回転が上下した際の排気音もはっきり耳に届く。前後の席での快適性の落差に驚かされるほどだ。また後席の座面は、床との差が少ないため、腿が浮き気味となって腰が落ち着かない。その点、クラリティPHEVは後席の座り心地も配慮したバッテリー搭載法を採っている。
荷室は、高さ方向のゆとりが少なく、荷物の出し入れで腰をかがめなければならないだろう。ハイブリッド車でも我慢することがないクルマを目指したとのことだが、セダンとしての使い勝手が十分に磨かれていない印象である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★
御堀直嗣|フリーランス・ライター
玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。
(レスポンス 御堀直嗣)
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