ホンダ フィット 新型試乗 頼りがいに満ちた、最先端の“つながる”コンパクトカー…青山尚暉
4代目となる新型『フィット』は親しみやすいエクステリアデザイン、モダンリビング感覚の心地よいインテリア、そして劇的な進化を遂げた前後新シートのかけ心地の良さ、水平基調の薄いダッシュボード&極細Aピラーによる、ロマンスカー最前列のようなすっきりした前方&斜め前方視界の素晴らしさ、もちろん、歴代から継承された、独創のセンタータンクレイアウトがもたらすシートアレンジ性のたくみさなど、ホンダが本気で仕上げた新型らしさ満点のクルマだ。
主力パワーユニットとなるi-MMDを小型化した、1.5リットルエンジン+2モーターハイブリッドシステムの「e:HEV」による、穏やかでいてリニアな走行性能も、売れないはずはないと思えた。
が、個人的に新型フィットで感動したのは、そこだけではない。
◆大幅進化を遂げた「ACC」
まずは大きく進化したHonda SENSING(ホンダセンシング)、それもACCである。先代フィット3、それをベースにしたホンダ『シャトル』のACCは渋滞追従せず、作動車速も約30~115km/hというものだった。しかし新型のACCは渋滞追従機能を持たせ、最高作動速度が135km/hに引き上げられただけでなく、ドイツのアウトバーン、さらには日本国内の高速道路で数万kmテストしただけあって、それこそホンダのテストコースの高速カーブを120km/hで、車線中央をビシリとキープしたまま、ACC走行したほどの実力だ。開発陣に聞いても、120km/h以下でのライントレース性にかなり自信を持っているようである。
これは、単眼カメラの性能(画角が50度から100度にワイド化され、ノイズも低減)が大きく向上し、認識能力が上がったことで、カーブの曲率を手前で認識できるようになったことがその理由だという。結果、車線維持の際、ステアリングが微妙にブルブル動く修正現象も低減しているから、ACC走行は一段と快適になっている。ズバリ、新型フィットのHonda SENSINGは、現時点でホンダ最新、最強なのである(他車に順次、採用されるのはもちろんだ)。
◆生産現場の努力が実を結んだ“足回り”
足回りのセットアップについても、製造現場での取り組みが進化している。具体的には、操縦安定性に直結する、手作業による足回りの締め付けトルクに関して、空車状態(0人乗車状態)で行っていたものを、新型フィットは2名乗車分の荷重をかけて行っているのだ。
そう、日本の平均乗車人数は1.5人であり、実際に乗員が乗車した荷重分を考慮した、実際の走行状態を踏まえたセットアップなのである(大人2人乗車で車高は20mmほど下がる)。新型フィットの走りは、そんな手間のかかる生産現場の努力によってレベルアップしていると言っていい。
◆新型フィット、最大のハイライトは…
最後に紹介するのは、実は、新型フィット最大のハイライトだと“勝手に”確信したアイテムだ。それが、専用車載通信機とともに用意され、対応のホンダギャザスナビゲージョンを装備することで利用できるホンダ・コネクトだ。
SOSコールは、今ではトヨタ、レクサス車を中心に、日産『デイズ』のような軽自動車や、トヨタ『ヤリス』といったコンパクトカーにも採用されつつある、エアバッグと連動し、乗員の意識がない状態ではオペレーターが対応し、警察、消防との連携を行ってくれるだけでなく、あおり運転被害にも有効な先進通信装備。
それを用意しただけでも大いに評価できるのだが、新型フィットでは頭上の赤いSOSコールボタンとともに、青いトラブルサポートのためのオペレーターサービスボタンまで用意しているのだから、カンペキだ。このふたつのボタンを、手の届きやすい前席頭上に用意している実用車を、筆者はほかに知らない。
新型フィットはデザイン、質感、走行性能、視界、室内の静粛性、居住性を始めとする、開発テーマでもある「心地よさ」、依然、ライバルの追従を許さない使い勝手の良さに加え、ドライブの安心までもをフル装備した、最先端の“つながる”コンパクトカーと言うことだ。ドライブに出かける運転者自身や同乗者はもちろん、例えば高齢の親が1人でハンドルを握ってお出かけしても、家で待つ家族が安心していられる、そんな頼りがいに満ちたクルマでもある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
(レスポンス 青山尚暉)
主力パワーユニットとなるi-MMDを小型化した、1.5リットルエンジン+2モーターハイブリッドシステムの「e:HEV」による、穏やかでいてリニアな走行性能も、売れないはずはないと思えた。
が、個人的に新型フィットで感動したのは、そこだけではない。
◆大幅進化を遂げた「ACC」
まずは大きく進化したHonda SENSING(ホンダセンシング)、それもACCである。先代フィット3、それをベースにしたホンダ『シャトル』のACCは渋滞追従せず、作動車速も約30~115km/hというものだった。しかし新型のACCは渋滞追従機能を持たせ、最高作動速度が135km/hに引き上げられただけでなく、ドイツのアウトバーン、さらには日本国内の高速道路で数万kmテストしただけあって、それこそホンダのテストコースの高速カーブを120km/hで、車線中央をビシリとキープしたまま、ACC走行したほどの実力だ。開発陣に聞いても、120km/h以下でのライントレース性にかなり自信を持っているようである。
これは、単眼カメラの性能(画角が50度から100度にワイド化され、ノイズも低減)が大きく向上し、認識能力が上がったことで、カーブの曲率を手前で認識できるようになったことがその理由だという。結果、車線維持の際、ステアリングが微妙にブルブル動く修正現象も低減しているから、ACC走行は一段と快適になっている。ズバリ、新型フィットのHonda SENSINGは、現時点でホンダ最新、最強なのである(他車に順次、採用されるのはもちろんだ)。
◆生産現場の努力が実を結んだ“足回り”
足回りのセットアップについても、製造現場での取り組みが進化している。具体的には、操縦安定性に直結する、手作業による足回りの締め付けトルクに関して、空車状態(0人乗車状態)で行っていたものを、新型フィットは2名乗車分の荷重をかけて行っているのだ。
そう、日本の平均乗車人数は1.5人であり、実際に乗員が乗車した荷重分を考慮した、実際の走行状態を踏まえたセットアップなのである(大人2人乗車で車高は20mmほど下がる)。新型フィットの走りは、そんな手間のかかる生産現場の努力によってレベルアップしていると言っていい。
◆新型フィット、最大のハイライトは…
最後に紹介するのは、実は、新型フィット最大のハイライトだと“勝手に”確信したアイテムだ。それが、専用車載通信機とともに用意され、対応のホンダギャザスナビゲージョンを装備することで利用できるホンダ・コネクトだ。
SOSコールは、今ではトヨタ、レクサス車を中心に、日産『デイズ』のような軽自動車や、トヨタ『ヤリス』といったコンパクトカーにも採用されつつある、エアバッグと連動し、乗員の意識がない状態ではオペレーターが対応し、警察、消防との連携を行ってくれるだけでなく、あおり運転被害にも有効な先進通信装備。
それを用意しただけでも大いに評価できるのだが、新型フィットでは頭上の赤いSOSコールボタンとともに、青いトラブルサポートのためのオペレーターサービスボタンまで用意しているのだから、カンペキだ。このふたつのボタンを、手の届きやすい前席頭上に用意している実用車を、筆者はほかに知らない。
新型フィットはデザイン、質感、走行性能、視界、室内の静粛性、居住性を始めとする、開発テーマでもある「心地よさ」、依然、ライバルの追従を許さない使い勝手の良さに加え、ドライブの安心までもをフル装備した、最先端の“つながる”コンパクトカーと言うことだ。ドライブに出かける運転者自身や同乗者はもちろん、例えば高齢の親が1人でハンドルを握ってお出かけしても、家で待つ家族が安心していられる、そんな頼りがいに満ちたクルマでもある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
(レスポンス 青山尚暉)
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