【スーパー耐久第3戦SUGO】ORC ROOKIE GR86 CNF conceptの開発の現在地。「ドライバーと開発陣の方向性が合ってきた」
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ORC ROOKIE GR86 CNF concep
2022年の開幕戦からST-Qクラス(スーパー耐久が認めた開発車両のクラス)への参戦を開始したORC ROOKIE GR86 CNF concept。ROOKIE Racingが目指す「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」への挑戦を行うとともに、同時にデビューしたTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptと同じカーボンニュートラル燃料を使用しての参戦となった。
車両の改良のみならず、BRZは市販車に搭載されている2.4L水平対向エンジンを使用する一方、GR86は1.4L直列3気筒ターボエンジンで参戦するなど、違うエンジン環境でカーボンニュートラル燃料の評価も進めている。
2022年シーズンの開幕戦の鈴鹿ラウンドでは、GR86とBRZがともにハイレベルのバトルを展開、GR86が1分3秒差で先にフィニッシュした。続く第2戦の富士24時間レースではGR86により深刻なミッショントラブルが発生、修復して再出走を果たすもBRZに15周の差をつけられることとなった。
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2022年開幕戦鈴鹿でデビューレースを迎えたORC ROOKIE GR86 CNF conceptとTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept (c)スーパー耐久機構
「トヨタ自動車から第2戦までのレースを受けて、車両素性の把握のために欠場の打診があり、ORC ROOKIE Racing はこれを受諾。残念ながら第3戦は欠場し、第4戦以降の現場でのアジャイルな開発を進めるために、一度立ち止まってさらなる改良を進めることになった」とその理由が語られている。
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28号車ORC ROOKIE GR86 CNF concept
そして、昨年出走を取りやめた第3戦SUGOにも無事に参戦。さらにこのSUGOラウンドに新しい開発領域を設定している。
今回その開発状況を語ってくれたのは開発責任者を務めるGAZOO Racing Company GRプロジェクト推進部 GRZ 藤原裕也主幹。このGR86の開発で一貫して取り組んでいる内容は
(1)気持ちよく曲がれるクルマ
(2)カーボンニュートラルに対する備え
(3)ライトウエイトスポーツとして軽快感をもった走り
という3点だという。
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GAZOO Racing Company GRプロジェクト推進部 GRZ 藤原裕也主幹
「(1)気持ちよく曲がれるクルマ」について、
①リヤのスタビライザー(基本的な構造は前戦と同様)を、ドライバーの要望に応えるべくより細かく調整できるようにした
②新型のリヤウイングを投入し、リヤのダウンフォースを向上。今後の市販化を目指し、機能性に加えデザイン性も追求している
「(2)カーボンニュートラルに対する備え」については、
③エンジンオイルが希釈しにくい改良版のカーボンニュートラル燃料に変更
そして、エンジン関係として、
④排気管を、ガスケットや取り回しの変更などで抵抗が少ない、排圧が低いものに変更
との4点を主に改善してきているという。
新たなカーボンニュートラル燃料については、下記の記事をご覧いただきたい。
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ORC ROOKIE GR86 CNF conceptの新型リヤウイング
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また実際に走り出してみて、ターボエンジンで出力を上げているにもかかわらず、狙い通りにエンジンの出力が出ていなかったという。
金曜日の専有走行の際には、エンジンに取り込んだ空気の量を正確に把握できないといったワイヤーハーネスの問題があったというが、今後は、
・エンジン本体
・カーボンニュートラル燃料への理解
・ワイヤーハーネスなどの周辺機器
・ミッションなどを守るための制御
などの確認や適正化をしていく必要があるという。
また、エンジンの出力が出ていなかったため、必要以上にアクセルを踏み込み過ぎた結果、レース燃費が悪くなってしまう面もあったという。
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持ち込みのセットも決まってきたORC ROOKIE GR86 CNF concept
クルマの素性を調べて、データを一つ一つ見ていくなかで、ドライバーの不満に対して開発者側の打ち手の方向性が合ってくるようになってきたという。その小さな踏み重ねが、マシンの乗りやすさの向上につながってきていると振り返る。
大嶋和也監督からはまだまだ課題があるということも言われているようだが、SUGO戦では調整幅を増やしたスタビライザーの調整変更やスプリングの交換などは行わず、車高調整程度の変更を行ったのみだという。それほどクルマに対する理解が進み持ち込みのセッティング能力が向上しているということが、その方向性が合ってきている証なのかもしれない。
まだまだ進化途上とはいうものの、降りてきたドライバーに笑顔が見られたりいいコメントをもらうことも増えてきたという。藤原主任も「乗りやすい楽しいクルマを作れば結果はついてくる」と、手ごたえを感じさせる笑顔も見せてくれた。
スーパー耐久のST-Qクラス、ST-4クラス合わせて8台のGR86とBRZが参戦しており、どのマシンにも実力派のドライバーが乗っている。そんなレースだからこそ、より負けられないという強い想いを持って「もっといいクルマづくり」に挑むことができているのだろう。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:スーパー耐久機構、GAZOO編集部)
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