名門TEAM SPOONがスーパー耐久に復活! メカニックの成長でより魅力的なスプーンブランドへの進化へ
昨年、ST-2クラスはHonda R&D Challengeが新型のシビックタイプR(FL5型)を投入しクラスチャンピオンに輝いたが、そのシビックが新たに2台参戦を開始した。そしてその1台は以前スーパー耐久にも参戦していた名門チームの復活とあって注目を集めている。
「7年かかりました」と感慨深げに話していただいたのは、ホンダ車専門のアフターパーツの開発、販売やチューニングなどを手掛けるスプーンの取締役で、2024年シーズンから復活するTEAM SPOONの監督も務める原剛氏だ。
今回、参戦を再び開始したのは、FL5型のシビックタイプRがデビューし、そのアフターパーツを開発する中で今しかないと感じたからだという。
もともとスプーンでは、レースに参戦することによりメカニックが経験を積み技術や知識をレベルアップすること、そして製品開発へのフィードバックなどを行っていた。しかし、レースへの参戦を取りやめたことで、会社のレベルがダウンしてしまうのではないかという危惧を原監督は感じていたという。
そうした中、FL5型のシビックタイプRのデモカー開発を進める中で、このクルマの素性の良さを感じたという。
「アラインメントや、車高を変更したり、車高調入れたり手をいれることでの効果がこのシビックは素直に出てくれるんですよね。車体が大きいので昔のシビックとはちょっとイメージは違うんですけど、走りとしてはやっぱりホンダのスポーツカーらしさをもろに受け継いだクルマなんだなって感じました。じゃあもう復帰するならここしかないぞっていうことで、復帰することになりました」
ただしスーパー耐久については2016年を最後に中断していたことで、普段メカニックとして活動する若手社員は自発的なレース活動の経験がなかった。
そうしたメカニックにレースを経験することで技術力をアップしてもらうことが、今回の参戦目的の大きな理由の一つだという。
「レースでクルマを走らせると、これまで考えられなかったところが壊れたりするんですが、そういうことをどんどん経験して個人個人のレベルアップをしてほしいと思っています。それをお客様へのアドバイスとしてフィードバックできたらとも考えています。
もちろんレースに参戦するからには勝利を目指すわけですが、だたレースで勝ったりシリーズチャンピオンを獲得するということではなく、彼らの技術力をアップさせたいというのが一番の参戦理由ですね」
そうした中、マシンが仕上がってまだ1か月程度ではあるものの、若手スタッフの成長の早さに目を見張るものがあるという。最初のシェイクダウンの際は、経験がないことで自ら動くことができず指示待ちになってしまっていた状況もあった。しかしサーキットでの走行や会社に戻ってのミーティングなどを重ねることで、この開幕戦では見違えるように自ら考え、動き、さらに整備の確実性も上がっているという。
「やはり最初の頃は経験したことのない作業の連続なので、間違ったりいろいろと教えてもらいながら進めてきました。ただ、前回の公式テストでもそうですけど、徐々に確実性が上がって全て指示を仰がなくても自分たちから率先して次の行動に起こせるようにはなってきていると思います。これからも確実に1つ1つの作業をしっかりとこなしていきながら、指示を待つのではなく自から考えて動ける、あるいは提案していけるようになっていきたいと思います。日頃経験できない環境で揉まれて、人間的にも成長で来ているのではないかなと思います」
こうした個々が成長することで、チーム全体としても雰囲気がだいぶ変わってきているという。そんな現状に原監督は「こうしたメカニックの成長を見られるのはうれしいし今後が楽しみだなと。彼らも彼らで全然やらされている感じではなく自分たちで楽しんでやってくれているというのも感じていて、それも本当にうれしいですよね。こうした経験は間違いなく普段の仕事に生きてくると思います」と、チームの監督というより父親に近いようなまなざしでメカニックを見つめていたのが印象的だ。
スーパー耐久への参戦を経て、スプーンのより魅力的なアフターパーツの開発やチューニング提案が進化することは間違いないと感じられ、これからもより一層ホンダ車乗りのハートをがっちりつかんでいきそうだ。
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