ル・マン24時間レースを彩った懐かしの名車たち

世界の三大レース、三大耐久レースに数えられ、長い歴史を誇るル・マン24時間レース。日本からは今年もTOYOTA GAZOO Racingが挑戦する伝統の一戦は、今週末6月16日(土)午後3時(現地時間、日本時間では午後10時)にスタートを迎えますが、その過酷過ぎて走り続けることすらままならない「道」に挑んだ数々のクルマの中には、馴染み深い「市販車」をベースとしたクルマでの挑戦もありました。

第1回は1923年(大正12年)。それから幾度かの中断はあったものの、長きにわたって耐久レースの「頂点」であり続けてきたル・マン24時間レース。近年は世界耐久選手権(WEC)の一戦に組み込まれ、LMP(Le Mans Prototype)と呼ばれるスポーツプロトタイプカーと、LM GTE(Le Mans Grand Touring Endurance)というグランドツーリングカー(GTカー)が混走で「耐久No.1」の座をかけた激戦を繰り広げています。

あの名車がベース。ル・マンに挑んだ日本車たち

MAZDA RX-7 252i | マツダ・サバンナ RX-7(SA22C型)

日本勢のル・マン挑戦開始は1970年代。その挑戦が活発になっていく1980年代の直前の1979年に、マツダの市販車「サバンナ RX-7(初代)」をベースとして、ロータリーエンジンの名機「13B」を積んで登場したのが「MAZDA RX-7 252i」。海外レース挑戦の先駆者 生沢徹と、国内でミスタール・マンと呼ばれることになる寺田陽次郎らがドライブしたがトラブルに見舞われて決勝への出走はならなかったものの、その後の787Bでの日本車初制覇につながる挑戦でした。
<77号車戦績 予選:4分18秒880(予選落ち)、決勝:未出走>

NISMO GT-R LM | 日産・スカイラインGT-R(BCNR33型)

前年までル・マンを席巻していたグループCカーが禁止となった1995年に、ニスモにより22号車(福山英朗/粕谷俊二/近藤真彦)、23号車(星野一義/鈴木利男/影山正彦)と、2台のR33型スカイライン GT-Rをベースとして登場。後述する国内2メーカーとともに海外メーカーに挑戦し、前半速さを見せた23号車は明け方に無念のリタイアを喫したものの、粘り強く周回し続けた22号車が総合10位で完走を果たし、GT-Rのル・マン初挑戦を飾りました。
<22号車戦績 予選:4分14秒430(予選34位)、決勝:総合10位/272周/GT1クラス5位>

Honda NSX GT2 | ホンダ・NSX(NA1型)

ホンダはF1挑戦の第2期と第3期の間となる1994年から1996年に、耐久仕様に仕立て上げた国産スーパーカー NSXでル・マンの地に登場しました。2年目の1995年はGT1クラス3台、GT2クラス2台という体制で挑み、GT2クラスにエントリーしたチーム国光(高橋国光/土屋圭市/飯田章)の84号車が総合8位、GT2クラス優勝という好成績を記録しました。
<84号車戦績 予選:4分15秒550(予選36位)、決勝:総合8位/276周/GT2クラス優勝>

TOYOTA Supra GT-LM | トヨタ・スープラ(JZA80型)

トヨタのル・マン初挑戦は1985年のトヨタ・トムス 85C。以降、スポーツプロトタイプカーによる総合優勝を狙った挑戦が、今週末のTS050 HYBRIDまで脈々と続いてきていますが、1995~1996年の2年間だけ市販車の「スープラ」をベースとしたGTカーでの挑戦がありました。1995年は、当時の全日本F3000選手権や全日本GT選手権で活躍していた海外勢からジェフ・クロスノフ/マルコ・アピチェラ/マウロ・マルティニの3名が抜擢され、総合14位で完走を果たしました。
<27号車戦績 予選:4分10秒360(予選30位)、決勝:総合14位/265周/GT1クラス8位>

<番外編>TOYOTA TS020 GT-One | トヨタ・GT-One

1990年代後半のGTカー規格が発展して生まれたのが、実態はプロトタイプレーシングカー、TS010の流れを汲んだ「TOYOTA TS020 GT-One」です。当時のル・マンではメルセデス・ベンツやポルシェ、日産が同様のコンセプトのクルマを投入して激しいトップ争いが繰り広げられましたが、1999年には片山右京/鈴木利男/土屋圭市という日本人トリオが、最速ラップを連発しながらトップを走るBMWを追い詰め逆転優勝かと思われたものの一歩及ばず、しかし強く印象に残る2位表彰台を獲得しました。
<3号車戦績 予選:3分34秒755(予選8位)、決勝:総合2位/365周/GTPクラス1位>

[ガズー編集部]

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