【WEC2021】第3戦モンツァ6時間 小林可夢偉組7号車トヨタがトラブル続出のレースで今季初優勝!

  • 第3戦モンツァ6時間レースで優勝したGR010 HYBRID 7号車の小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス

7月18日(日)イタリアのモンツァ・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦モンツァ6時間レースの決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(以下トヨタ)の7号車GR010 HYBRID(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス組)が今季初勝利、トヨタは開幕から3連勝を挙げることに成功した。
8号車GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー組)は再三のテクニカルトラブルに見舞われ33位に終わった。
LMGTE Amに参戦している777号車Dステーション・レーシング(星野敏、藤井誠暢、A.ワトソン組)はクラス3番手でフィニッシュし、参戦3戦目にして初の表彰台を獲得した。

WEC第3戦モンツァ6時間 決勝結果(総合順位)

1位 No.7 HYPERCAR
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
204Laps

2位 No.36 HYPERCAR
アンドレ・ネグラオ
ニコラス・ラピエール
マシュー・バキシビエール
アルピーヌ・エルフ・マトムート/アルピーヌ A480-Gibson
204Laps/1:00.908

3位 No.22 HYPERCAR
フィリップ・ハンソン
ファビオ・シェーラー
フィリペ・アルバカーキ
ユナイテッド・オートスポーツ USA/Oreca 07-Gibson
200Laps/4Laps

4位 No.709 HYPERCAR
ロマン・デュマ
フランク・マイルー
リチャード・ウェストブルック
グリッケンハウス・レーシング/グリッケンハウス 007 LMH
200Laps/4Laps

5位 No.31 LMP2
ロビン・フラインス
フェルディナンド・ハプスブルク
シャルル・ミレッシ
チームWRT/Oreca 07-Gibson
200Laps/4Laps

21位 No.777 LMGTE Am
星野敏
藤井誠暢
A.ワトソン
Dステーション・レーシング/アストンマーティン・バンテージAMR
187Laps/17Laps

33位 No.8 HYPERCAR
セバスチャン・ブエミ
中嶋一貴
ブレンドン・ハートレー
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
161Laps/43Laps

トラブル続出の乱戦をトヨタ7号車が制す!

  • 第3戦モンツァ6時間レース

WEC初開催となる超高速のモンツァサーキットで行われる第3戦、予選では7号車ロペスがポールポジションを獲得、8号車ハートレーが0.07秒差2番手につけ、トヨタがフロントロウを占めた。しかし、3番手の36号車アルピーヌも0.2秒差、708号車グリッケンハウスも1秒以内につけるなど、決勝での激しいバトルを予感させた。

現地時間12時にスタートが切られた決勝レースは、序盤コンウェイの7号車とブエミの8号車、2台のトヨタ勢が後続をじりじりと引き離していく展開。
しかし、スタートから1時間半ほどが経過し、8号車がピットインしハートレーへと交代した直後に状況は一変、コースに復帰した直後にスロー走行に。燃圧系統のトラブル修復のため再びピットに戻りガレージに収まった。コースに復帰した後も、左フロント部の破損で再度ピット作業を強いられたり、さらにその後、燃料系の部品の交換も行うこととなり完全に戦線を離脱することとなった。

順調にレースを進めているかと思われた7号車トヨタにも試練が。レースが残り2時間を切るころ、小林可夢偉のドライブで首位走行中にコース脇にストップ。システムの再起動で再びレーシングスピードでの走行が可能になったが、後続との差が詰まり次のルーティンピットの際にグリッケンハウスの709号車が首位浮上する。
しかし、その709号車もルーティンのピット作業を終えたかと思われた際に、そのままガレージに入れられマシンの修理に時間を費やすこととなった。

再び首位に立った7号車トヨタだが、今度はタイヤのパンクで予定外のピットイン、アルピーヌに首位を明け渡す。

最終盤、36号車アルピーヌが最後のピットの際に首位に浮上した7号車トヨタは、残り34分に出たフルコースイエローのタイミングで最後の給油でのピットインを行い、トップでチェッカー! 今季初優勝を挙げるとともに、トヨタが開幕から3連勝を飾った。

この結果、マニュファクチャラーズランキングで、トヨタはアルピーヌとのポイント差を30ポイントに拡げ、ドライバーズランキングでは、8号車を7号車が6ポイント差で追いかける展開となっている。

次戦、8月21日(土)-22日(日)に開催されるシーズン最大のイベント、ル・マン24時間レース。各チームともにトラブル対応に迫られる忙しい1か月となるが、HYPER CARクラスの初のル・マンウィナーはどのチームになるのか注目だ。

  • WEC第3戦モンツァ6時間レース

豊田章男チームオーナー コメント

可夢偉、マイク、ホセ、優勝おめでとう!
新しいクルマでの、7号車の初勝利、嬉しいです!
そして、やっと勝てたこと、少し安心しました。

しかし、その7号車もノートラブルで走りきれた訳ではありません。
もう1台の8号車は様々なトラブルでたくさんの時間をロスしてしまいました。
安心して走れるクルマを用意できずにいること、ドライバーのみんなに申し訳なく思います。

ただ、GR010 HYBRIDは今まさにレースで鍛えはじめたクルマです。
この段階でトラブルが出るのは当たり前かもしれません。

トラブルの中にも“良いトラブル”と“悪いトラブル”があると思います。
“悪い”ものは、1ヶ月後のル・マンまでに必ず改善してほしいと思います。
ただ、いくら準備を重ねてもレースでは“想定外”が必ず起こります。
ゴール目前で止まった一貴、ピットロード出口でまさかのトラブルが起きた可夢偉…
このチームは、イヤという程、想定外を経験してきました。

クルマと道と会話をしているドライバーの声にチーム全員で耳を傾けていってください。
クルマをもっと強くしていくためにはそれしかありません。
「少しでも走りやすいクルマで戦わせてあげたい」という気持ちで、ドライバーのための
“もっといいクルマづくり”をお願いします。

一貴、セブ、ブレンドン、
可夢偉、マイク、ホセ、
みんなの声が、このクルマを強くしていきます。
どんなに小さい声でもクルマから聞こえてきたらメカニックやエンジニアに伝えてください。
みんなで、このクルマをもっと強いクルマにしていきましょう。

TOYOTA GAZOO Racing チームオーナー
豊田章男 

[ガズー編集部]