【トヨタ WRC】第5戦最終日、サバイバルラリーを走破したエバンスが今季2勝目をあげ、ドライバー選手権首位に立つ
- 表彰式
9月20日(日)、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・トルコの最終日デイ3が、トルコ南西部マルマリスのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(ヤリスWRC 33号車)が優勝。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合4位に入りました。なお、朝最初のステージで総合2位につけていたセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(17号車)は、クルマにトラブルが発生しリタイアとなりました。
ラリー・トルコの最終日は、サービスパークを中心に4本のSSが行なわれ、その合計距離は88.86kmでした。サービスパークの北東に展開する全長38.15kmのSS9/11「チェティベリ」は、今大会最長であるだけでなく、非常に路面が荒れているため、最難関のステージになるだろうと考えられていました。実際、オジエとロバンペラを含む多くの上位選手が荒れた路面でタイヤを痛め、交換作業を行ない大幅にタイムを失いました。しかし、エバンスはトラブルフリーで1本目のSS9を走り切り、ベストタイムを記し総合4位から首位に浮上。総合2位のオジエに46.9秒という大きな差を築きました。その後、エバンスはリードを最終ステージまでしっかりと守り、キャリア3勝目を獲得。第2戦ラリー・スウェーデン以来となる今季2勝目をあげたことによって、ドライバー選手権首位に復帰しました。
デイ3最初のSS9でタイヤを痛めたオジエは、素早い交換作業によりタイムロスを最小限に留め、エバンスに次ぐ総合2位につけました。しかし、その再走ステージであるSS11で、エンジンにトラブルが発生しストップ。残念ながらリタイアとなりました。その結果、ドライバー選手権では首位の座をエバンスに明け渡し、18ポイント差の2位に順位を下げました。また、ロバンペラはSS9でタイヤ交換を行ないタイムを失いましたが、それでも総合4位でフィニッシュ。エバンスとロバンペラが獲得したポイントによって、チームはマニュファクチャラー選手権トップの座を守りました。
<<ラリー・トルコ デイ3の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) 2h43m02.7s
2 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +35.2s
3 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +59.4s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +2m35.9s
5 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン (フォード フィエスタ WRC) +4m08.3s
6 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (フォード フィエスタ WRC) +5m36.2s
7 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェック・シュツェパニアック (シュコダ ファビア Rally2 Evo) +12m35.5s
8 ポントゥス・ティディマンド/パトリック・バース (シュコダ ファビア Rally2 Evo) +12m59.7s
9 アドリアン・フォルム−/ルノウ・ジャムール (フォード フィエスタ Rally2) +14m42.6s
10 マルコ・ブラチア/マルセロ・デル・オハネシアン (シトロエン C3 R5) +14m46.4s
R セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC)
チームコメント
<<トミ・マキネン(チーム代表)>>
このような難しいラリーを戦い抜いて優勝することができ、信じられない気持ちです。エルフィンはノーミスで素晴らしい走りを見せてくれましたし、今日のステージも何の問題もなく走り切りました。彼がドライバー選手権をリードし、我々チームがマニュファクチャラー選手権首位を守ったのは素晴らしいことです。また、カッレも経験が少ないにも関わらず、素晴らしいドライビングでチームに貢献してくれました。一方、セブに対しては本当に申し訳なく思います。なぜ、エンジンにトラブルが起こってしまったのか調査する必要があります。今朝は優勝争いをしていたのに、不運な週末となってしまいとても残念です。
<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 17号車)>>
今朝最初のステージは、予想通り本当に大変でした。いたるところに岩や穴がありましたし、ダストも多かったので、自分たちがどこに向かって走っているのかよくわからなくなるほどでした。そのような状況でタイヤを痛めてしまい、クルマを止めて交換しなくてはなりませんでした。そのステージの再走時は、何が起きたのか正確にはわかりませんが、徐々にパワーが落ちていき、残念ながら走り続けられなくなりました。このラリーにはくじ引きのような側面もあり、今週末は当たりを引くことができなかったということです。自分にはどうすることもできませんでしたが、前に進み続けるしかありません。モータースポーツでは、こういうこともたまに起きるので、運がなかったのだと現実を受け入れ、次の戦いに臨みます。
<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>
この厳しいラリーを戦い抜き、優勝できたことをとても嬉しく思います。スタート直後から良いペースで走れていましたし、この週末は最速ではなかったかもしれませんが、そこそこのペースを維持し、厳しい1日になるだろうと予想していた今日のステージに挑みました。とにかく道の真ん中を走り続けることに集中したのですが、それが功を奏したと思います。他の多くの選手が不運に見舞われた結果の勝利なので、心からは喜べません。しかし、それがラリー・トルコの特徴であり、このような展開の週末になるだろうと予想していました。タイトル争いにとって素晴らしい結果となり、良い位置につけることができて満足しています。
<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>
今回も、完走してポイントを獲得するなど良い結果が得られ、嬉しく思います。クルマにとても厳しいラリーだったので、素晴らしい仕事でクルマを終始良い状態に保ち続けてくれたチームに、心から感謝します。今日のロングステージは予想通りとてもタフだったので、特に2回目の走行時はクルマとタイヤを労って走ろうと努力しました。続くパワーステージでは、マニュファクチャラーポイントも確実に得たかったので、あまりプッシュできませんでしたが、それでも良いタイムが出ましたし、パワーステージポイントも獲得できたので、良かったと思います。
次回のイベント情報
WRC次戦は、10月8日から11日にかけて開催される、第6戦ラリー・イタリア サルディニアです。本来サルディニアは6月上旬に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、秋の開催となりました。サルディニア島のステージはグラベルで、全体的にハイスピードながら道幅は狭く、路肩に木々が迫ります。路面は目の細い砂状のグラベルに覆われていますが、何台かのクルマが走行すると下から石が現れ、深い轍(わだち)も刻まれるなど、路面コンディション変化の大きい1戦です。
[ガズー編集部]
WRC 2020 第5戦 ラリー・トルコ レース記事
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