2020年シーズン最後の戦いがスタート オジエがSS1でベストタイムを記し首位に立つ

  • 17号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)

12月3日(木)、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・モンツァがイタリアで開幕。ミラノ近郊のモンツァ・サーキットでデイ1としてSS1が行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 17号車)が総合1位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合4位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合5位につけました。

コロナ禍により2020年のWRCは年間開催スケジュールが大きく変わり、全7戦での開催となりました。そして、WRC初開催のラリー・モンツァが新たに最終戦としてカレンダーに加わり、イタリア北部のモンツァ・サーキットを中心にシーズン最後の戦いが始まりました。3日は午前10時過ぎからサーキット内で全長4.64kmのシェイクダウンが行なわれ、ドライバー選手権2位のオジエが3番手タイムを、ロバンペラが4番手タイムを、ドライバー選手権首位のエバンスが9番手タイムを記録。今大会はサーキット内でのステージが多くあるため、シェイクダウンはラリー本番に向けての良いテストになりました。

その後、午後2時過ぎより、サーキット内で最初のステージ「ソットゼロ・ザ・モンツァ・レガシー」が行なわれました。全長4.33kmのステージはレーシングコースのターマック(舗装路)と、その外側にあるグラベル(未舗装路)の両路面を走行。クルマとタイヤはターマック仕様のため、泥の上や草地ではタイヤのグリップが十分に得られず、非常に難しい路面コンディションでしたが、オジエは安定した走りでベストタイムを記録。2位のライバルに0.5秒差をつけ、首位でデイ1を終えました。

ラリー・モンツァ デイ1の結果

順位 ドライバー/コ・ドライバー チーム タイム
1 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア トヨタ ヤリス WRC 3m31.5s
2 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー ヒュンダイ i20クーペ WRC +0.5s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ ヒュンダイ i20クーペ WRC +2.0s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン トヨタ ヤリス WRC +2.7s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン トヨタ ヤリス WRC +3.0s
6 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム フォード フィエスタ WRC +3.7s
7 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ ヒュンダイ i20クーペ WRC +3.7s
8 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン フォード フィエスタ WRC +4.0s
9 ヤリ・フッツネン/ミッコ・ルッカ ヒュンダイ i20 R5 +5.8s
10 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン フォード フィエスタ WRC +6.4s

(現地時間12月3日16時15分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

チームコメント

<<トム・フォウラー(テクニカル ディレクター)>>

モンツァのような、ミックス路面のステージを走るラリーの経験はあまりなかったので、エンジニアとしては非常に難しい1日でした。今大会に向けては自分達の知識を総動員して準備を進めてきましたが、ターマック仕様のクルマで滑りやすいグラベルや泥の上を走ることに慣れていないこともあり、学ぶべきことはまだ多くあります。今後3日間の天気予報を見ると、できるだけ同じタイプのタイヤを使いたいのですが、全チームとも今週末に使える本数は制限されているため不可能であり、ベストな妥協点を探さなくてはなりません。今朝のシェイクダウンはテストの続きとして走り、多くのことを学んだので、それを最初のステージで活用したところ3台ともうまく行きました。明日からの長いステージでも、その知識を活かして戦いたいと思います。

17号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)

<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 17号車)>>

予想していたように、今朝のシェイクダウンでのタイヤのグリップはそれほど高くありませんでした。特に泥が多いセクションは、クルマが通過すれば通過するほどトリッキーになっていきました。ですので、シェイクダウンではフィーリングを調整し、タイヤをマネージすることに注力しました。なぜなら、この週末に使えるベストなタイヤはそれほど多くないからです。午後のSS1で良いタイムを出せたことは素直に嬉しいですが、まだ4kmしか走っていませんし、これからが本番です。とはいえ、今のところフィーリングは良いので、明日もこの調子で戦えることを期待しています。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)

<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>

今朝のシェイクダウン1本目は厳しい走り出しになりました。タイヤのグリップレベルを越え、クルマに少しダメージを負ってしまいました。しかし、チームが修復してくれた後はいくつか異なるタイヤやセッティングを試し、クルマを少し改善することができました。午後のSS1ではやや慎重になり過ぎたかもしれませんが、全体的には問題なく走れたので、今週末はしっかりと戦えるはずです。サーキット周辺のステージはターマックからグラベルに入り、滑りやすい泥の上も走ります。また、ターマックであってもタイヤのグリップレベルは目まぐるしく変化するので、グリップを正しく感じとることがとにかく重要です。明日もきっと難しい1日になるでしょう。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>

シェイクダウンは、走りのフィーリングをつかむいいチャンスでした。そして、SS1はとにかく安全に走り切り、コンディションを確認することに徹しました。サーキットのターマック路面は濡れると非常に滑りやすく、レーシングコースを離れて狭いグラベルに入ると草や泥の上をターマック用のセッティングのまま走ることになるため、本当に注意しなくてはなりません。明日は、雨が降るかどうかも気になります。経験が多くない自分にとっては難しい挑戦になると思いますが、可能な限り速く走り、チームのためにポイントを獲得できるように頑張ります。

明日のステージ情報

競技2日目となる4日(金)のデイ2は、モンツァ・サーキットの敷地内で5本のSSが行なわれます。午前中は全長13.43kmの「スコーピオン」を2回走行。午後は全長16.22kmの「チントゥラート」を2回走行した後、ナイトステージとして全長10.31kmの「ピーゼロ・グランプリ」を1本走ります。5本のSSの合計距離は69.61km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は77.24kmとなっています。

[ガズー編集部]