【WRC2021】第1戦モンテカルロ 3日目、難関ステージで圧倒的な速さを示したオジエが首位に エバンスは総合2位に、ロバンペラは総合3位につける

  • 1号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)

1月23日(土)、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの競技3日目デイ3が、フランス南部のギャップを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が総合1位に順位を上げました。また、前日首位のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合2位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合3位につけ、ヤリスWRCがトップ3を占めました。

ラリー・モンテカルロのデイ3は、サービスパークの東側で3本のステージが行われ、その合計距離は57.10kmでした。前日に続き、デイ3も最初のステージは日の出前にスタート。路面は全般的に前日よりも雪やアイスバーンが多く、WRカーは全車が金属製のスパイクが埋め込まれたスタッドタイヤを装着してステージに臨みました。

オープニングのSS9では、オジエが2番手タイムのエバンスに17.8秒という大差をつけるベストタイムを記録。エバンスを逆転して首位に立ちました。続くSS10は凍結したセクションがさらに増え、クルマが走れば走るほど路面はタイヤでツルツルに磨かれ滑りやすくなっていきました。そのため、出走順が後方だったオジエはスタッドタイヤのグリップを十分に得られず、ベストタイムを記録したライバルよりも約42秒遅くフィニッシュ。また、オジエの後方からスタートしたエバンスは約46秒の遅れをとりました。しかし、直前のステージまでに大きなリードを築いていた彼らは、首位と総合2位の座を堅守。続くSS11ではエバンスがベストタイムを、オジエが1.3秒差の2番手タイムを刻み、ふたりの順位は変わりませんでした。また、デイ2で総合4位につけたロバンペラはSS9で総合3位に浮上。その後も安定した走りを続けて順位を守り、チームのトップ3独占に貢献しました。

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元は、デイ1、デイ2と着実にペースを上げていき、デイ3でも確実な走りを続けつつSS10では5番手タイムを記録。前日の総合8位から、総合6位へと順位をふたつ上げました。

ラリー・モンテカルロ デイ3の結果

順位 ドライバー/コ・ドライバー チーム タイム
1 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア トヨタ ヤリス WRC 2h16m31.9s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン トヨタ ヤリス WRC +13.0s
3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン トヨタ ヤリス WRC +56.8s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ ヒュンダイ i20クーペ WRC +1m03.8s
5 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ ヒュンダイ i20クーペ WRC +2m11.3s
6 勝田 貴元/ダニエル・バリット トヨタ ヤリス WRC +4m43.1s
7 アンドレアス・ミケルセン/オーラ・フローネ シュコダ ファビア Rally2 Evo +5m22.7s
8 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン フォード フィエスタ WRC +6m14.6s
9 アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール フォード フィエスタ Rally2 +7m36.5s
10 エリック・カミリ/フランソワ-クサビエ・ブレジ シトロエン C3 Rally2 +7m54.1s

(現地時間1月23日14時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

チームコメント

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>

ここまで、我々のドライバーたちのパフォーマンスにこれ以上ないくらい満足していますし、チーム全員が本当に素晴らしい仕事をしてくれています。万事順調といえますが、ここはモンテカルロです。驚くようなことが起き得ることを、忘れるべきではありません。SS10では、スタート順が後方だったクルマはグリップ不足に苦しみました。しかし、それ以外の2本のステージは本当に良かったと思います。明日の最終日は、非常に厳しい戦いになるでしょう。特に、パワーステージは急なダウンヒルと凍結路面の両方が重なる可能性があり、私が知る中でもっとも難しいステージのひとつになるのではないかと思います。何が起きても不思議ではないので、最後まで冷静さを保ち続けなくてはなりません。

1号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)

<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)>>

完璧とはいえませんが、良い1日でした。最初のステージは非常にトリッキーなコンディションでしたが、とてもうまく走れました。かなり攻めたので、あのような速いペースで走りながらも無事フィニッシュラインを通過できて良かったです。2本目のステージは、さらに大変でした。路面コンディションは非常に悪く、グリップが全くなかったので、出走順が早い選手たちに対し大きく遅れてしまいました。また、タイヤのマネジメントも完璧ではなかったと思います。新しいタイヤについては、まだまだ学んでいる状況です。最後のステージは、1回目に走った時とも、ステージのスタート前にグラベルクルーが走行した時とも、コンディションは大きく変わっていましたが、私自身はクリーンに走ることができました。重要なのは我々がトップに立っているという事実ですし、最後まで首位の座を守り続けなくてはなりません。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン))

<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>

今日は少し悔しさを感じる1日でした。今朝の最初のステージはスタートが今ひとつでした。1度リズムを掴んだ後はタイムはそれほど悪くなかったのですが、セブは本当に速かったです。2本目のステージは路面がツルツルに磨かれて滑りやすく、スタート順が後方の選手は十分なグリップを得られなかったと思います。また、ヘアピンでエンジンが少しストールしてタイムを失いましたが、それでもセブと同じようなタイムでした。最後のステージは、グラベルクルーからの情報を盛り込んだノートによると、路面コンディションは見た目よりもさらに悪いようだったので難しかったですが、トラブルが起きないようにクリーンに走ったので大丈夫でした。今日は、本当はもっと攻められたはずですし、少し勇気が足りなかったとも思いますが、このような状況ではバランスを見つけることも大事です。明日も、引き続きセブにプレッシャーをかけていきます。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>

今朝は良いスタートをきり、最初のステージはとても上手くいきました。難しいコンディションの区間はかなり注意して走りましたが、他の選手と比べてタイムは良かったです。2本目のステージは本当にトリッキーでした。フィーリングは良かったのですが、路面は磨かれてどんどん滑りやすくなっていき、タイムを失ってしまいました。そして、最後のステージではイヤホンに問題が起きました。ヨンネが叫ぶような大声でペースノートを読んでくれたので何とか聞き取れましたが、大変でした。それでも、自分よりも後からスタートした選手よりも速く走れたので、良かったです。

明日のステージ情報

ラリー最終日となる1月24日(日)のデイ4は、モナコを基点にフランス山中で2本のステージを各2回走行します。最終日はサービスの設定が終日なく、大きな修理やサスペンション交換等のセッティング変更を施す機会はありません。なお、最終ステージの「ブリアンソネ-アントルヴォー2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4本のSSの合計距離は54.48km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は272.63kmとなります。

[ガズー編集部]