日本ではまずお目にかかれない!? マレーシア車&現地生産車カスタム【東京オートサロン・クアラルンプール2023】
海外に行くと、トヨタや日産、ホンダ、マツダなどの日本車がたくさん走っていてなんとなく誇らしく感じる人も多いだろう。とくに東南アジアは、日本の自動車メーカーが生産拠点を設け、積極的に生産・販売を行っている地域も多いため、その比率も高くなっている。
そんな東南アジアで国産自動車メーカーを有する数少ない国のひとつがマレーシアだ。
『PROTON(プロトン)』は、1980年代に当時の首相であったマハティール氏が発案した国産車構想のもと、三菱自動車との技術提携により、マレーシア国産車第1号となる『SAGA(サガ)』を発表。ま
た、日本でもクスコブランドでおなじみのキャロッセがスポーツモデル『サトリアネオ』の正規輸入・販売を行ってラリー参戦車両として使用したこともあるので、記憶に残っている人もいるだろう。
そして、もうひとつのマレーシア国産自動車メーカーである『PERODUA(プロドゥア)』は、日本のダイハツ工業とマレーシア資本の合弁会社で、主にコンパクトカーの製造・販売を行っている。
例えば、日本の代表的な軽自動車であるミラをベースにした『カンチル』『クリサ』『ビバ』をはじめ、ブーンをベースにした『マイヴィ』、ミライ―スをベースにした『アジア』、ロッキーをベースにした『アティバ』などがマレーシアで走っているのだ。
今回は『東京オートサロン・クアラルンプール2023』会場で見つけたマレーシア車や、日本メーカーが現地で販売している日本では未発売の独自車種たちを紹介していこう。
カスタム内容から日本愛を感じるプロトン・サトリアネオ(PROTON Satoria Neo)
プロトンのスポーツモデル『サトリアネオ』。初代のサトリアは、1995年に三菱のミラージュをベースに誕生。1.3Lや1.5L、1.6Lなど、エンジンバリエーションも豊富に揃っている。
そして、オートサロン会場で注目を集めていたこちらのマシンは、サトリアの後継車として2006年に登場したサトリアネオがベースになっている。
フロントバンパーやリヤバンパー、ウイングなどもすべてカーボン製に交換し、特徴的なルックスに。足もとはメイドインジャパンのK1レーシング製ホイールが装着されていた。
INTERIORもダッシュボードやドアパネルなどをカーボンファイバー製に交換。シートはレカロ製を装着するなど隙のないカスタム。
そして、なんといってもこのマシンの凄いところがエンジン。
もともと搭載されているエンジンから、三菱のミラージュに搭載されている4G92エンジンのシリンダーブロックに、可変バルブタイミング機構MIVECが採用されたランサーエボリューションの4G63エンジン用シリンダーヘッドを組み合わせて搭載。
ちなみにオーナーさんに話を伺ったところ「サトリアネオはベースが三菱車なので、エンジンの載せ換えも意外と簡単にできるんですよ!」とコメントをいただいた。
さらにエンジン本体も日本のチューニングパーツメーカーHKSのパーツなどを組み込んで強化してタービンも交換するなど“日本車カスタム愛”を感じるスペックとなっている。
軽量コンパクトなボディにパワフルなエンジンはかなり速そう!
ただ、オーナーさんいわく、走る用ではなく、ショーカーとして製作したという話だった。
マレーシア流のミニバン&SUVカスタム プロトン・イグゾラ(PROTON Exora)/三菱・エクスパンダ―(MITSUBISHI X PANDER)
こちらもプロトンのモデルで、MPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)の『イグゾラ』。
1.6Lエンジンを搭載した7人乗りで、いわゆるミニバン的なモデル。マレーシアのほか、シンガポールやインドネシアでも販売されている。
ちなみにこの展示車両は、フェンダーにラッピングを施したり、リヤバンパーにダクトをあけたり、スポーティで少しヤンチャな雰囲気にカスタムしていた。
主にインドネシアで製造され、東南アジアを中心としたエリアで販売されている三菱のミニバン『エクスパンダ―』。現在はマレーシアやベトナムでも生産されている。
さらにクロスオーバーSUVの『エクスパンダ― クロス』という車種もあり、マレーシアでも人気のモデルとなっている。
また、各種ラリー競技などのモータースポーツでも活躍している車種でもある。
ピックアップトラックのカスタムも定番 三菱トライトン(MITSUBISHI TRITON)/いすゞ D-MAX(ISUZU D-MAX)
メインステージ横に展示されていた三菱のトライトン。強烈なワイドボディと、透明なアクリルで作られたボンネットから飛び出したエンジンがインパクト大! 詳細は不明ながらマレーシアのトライトンオーナーズクラブ『Project Shop CP Johor.』の車両だと思われる。
ボンネットから飛び出たスーパーチャージャーを見る限り、タービンとスーパーチャージャーを装着した『ツインチャージャー仕様』と思われる。荷台のほか、助手席にもNOSが搭載され、オープニングセレモニーではド派手なパフォーマンスを披露していた。
こちらは三菱自動車のブースに展示してあったトライトンのカスタム仕様。全身から攻撃的なオーラがムンムン!?
こちらも三菱自動車ブースに展示されていたトライトンのラリーアート仕様で、正統派のラリー仕様といった雰囲気だ。東南アジアと言えば、トヨタのハイラックスをはじめ、いすゞのD-MAXなどのピックアップトラックがたくさんあるが、その中でもマレーシアではトライトンが人気という話だった。
日本では商業トラックのみをランアップしているが、東南アジアでは乗用車メーカーとして高い人気を誇るいすゞ。その中でもピックアップトラックのD-MAXは、いすゞを象徴するモデルとなっており、ワンメイクレースなどが開催されるほど。
こちらはタイから遠征してきたと思われるD-MAXのチューニングカー。東京オートサロン・クアラルンプール2023の会場には、タイやシンガポールなどの隣国からの参加車両もチラホラと見かけた。
オフロード車向けのサスペンションなどを取り扱うブランド『レッド スプリングス(red springs)』のブースには、アウトドア仕様にカスタマイズされたD-MAXが展示されていた。
かなり巨大なオーニングにルーフトップテントなどを装備。日本と同様、マレーシアでも最近はキャンプやアウトドアを趣味として楽しむユーザーが増えているそうだ。
日本では見かけない日本車メーカーのクルマたちも!
日産ブースに展示されていたコンパクトセダン『アルメーラ(NISSAN ALMERA)』。マレーシアをはじめとした東南アジアを中心にオーストラリアなどのオセアニアで販売されているモデルで、日本では未発売となっている。
日本でいうところのパルサーやブルーバードシルフィ、ラティオなどに該当するモデルだ。ちなみに現行モデルは4代目で、日産車を象徴するVモーショングリルを取り入れたフロントマスクが特徴的。現地価格は8万3888マレーシアリンギットからで、日本円に換算すると約258万円になる(1リンギット=30円にて計算)。
ホンダも日本で未発売の『シティ(HONDA CITIY)』というセダンおよびハッチバックを東南アジアで販売。ホンダのシティと聞くと、昔あったコンパクトカーを思い浮かべるかもしれないが、どちらかと言えばシビックフェリオやフィット(ジャズ)のセダン版という立ち位置。
ちなみにマレーシアでの価格は、7万7600マレーシアリンギットからで、日本円に換算すると約238万円になる(1リンギット=30円にて計算)。この車両は、さらにボンネットやフェンダーをカーボン製に変更していた。
こちらも同じくホンダのシティをカスタムした車両。このように日本の自動車メーカーだけど、日本未発売のモデルがあるのも海外カーショーの面白いところ。
このほかにもマレーシアでは、例えばトヨタならクロスオーバー車の『イノーバ ゼニックス(INOVA ZENIX)』やSUVの『ラッシュ(RUSH)』『フォーチュナー(FORTUNER)』、セダンの『ビオス(VIOS)』、MPVの『ヴェロッツ(VELOZ)』『イノーバ(INOVA)』など日本ではお目にかかれないモデルも販売されている。
国や地域によって、日本にはない車種が多数あるので、海外に出かけるときには道ゆくクルマをよ~くチェックしてみると面白いだろう。
(文:三木宏章 写真:平野 陽、三木宏章)
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