マレーシアで軽自動車が人気!? ネオクラからGRヤリスなどコンパクトのカスタムも【東京オートサロン・クアラルンプール2023】

  • マレーシアの人気カスタム調査Part3『軽自動車&コンパクトカー編』【東京オートサロン・クアラルンプール2023】

東京オートサロン・クアラルンプール2023の会場内を見渡すと、チラホラと軽自動車が展示さえていることに驚かされた。というのも、軽自動車は日本独自の規格のため、海外で目にすること自体が珍しいからだ。

現地で調査したところ、ダイハツと現地資本の合弁会社であり、マレーシアの国産メーカー『プロドゥア』が、軽自動車をベースにした車両を生産していることが大きな要因となっているようだ。そのためマレーシアでは、日本の軽自動車に興味を持つユーザーもおり、中には熱狂的なファンも存在している様子。

ちなみにプロドゥアが2023年に販売した『AXIA(アジア)』の2代目モデルは、日本の軽自動車ミライ―スがベース。さらに過去にさかのぼると、ミラをベースにした『カンチル』『ニッパ』『クリサ』『ビバ』といった車種が販売されていた歴史もある。軽自動車というと日本だけの文化のようだが、じつは遠く離れたマレーシアにも根づいているのだ。

ミラシリーズを8台も所有!ミラマニアのTR-XXアバンツァート

  • プロドゥア・カンチル(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

プロドゥアが1994年に初めて販売した自動車『カンチル』は3代目ミラがベース。660ccと850ccという2種類のエンジンをラインアップし、イギリスで『プロドゥア・ニッパ』、インドネシアでは『ダイハツ・チェリア』としても販売。マレーシア国内だけでも2009年までの15年間で約70万8000台が販売された国民車だ。
ちなみにその後、2001年には5代目ミラをベースにした上級モデル『クリサ』、20007年には6代目ミラをベースにした『ビバ』なども販売されている。

  • プロドゥア・カンチルの運転席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • プロドゥア・カンチルのエンジンルーム(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • プロドゥア・カンチルのMiraロゴ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • プロドゥア・カンチルのAVANZATOステッカー(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

この車両も「プロドゥア・カンチルをベースに日本仕様にカスタムしているのかな?」と思ったが、話を伺ってみると日本から輸入した正真正銘『日本仕様』のミラTR-XXアバンツァートだという。ちなみにARC製インタークーラーを装着するなどカスタマイズも施されていた。

当時モノのオプションパーツなどで隅々まで純日本仕様にカスタムされたスタイルが印象的だった。ちなみにドアに貼ってあるグラフィックも純正オプションのアイテムだ。

  • プロドゥア・カンチルのオーナー(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

さらにお話を伺ってみると、オーナーのWan Nor Izhamさんはミラシリーズを8台も所有しているという筋金入りのミラマニア! 貴重な当時モノのアクセサリーカタログなども会場に持参していて「日本の軽自動車は小さくて速いから好き! 気がついたら虜になっていたよ」と話してくれた。

レトロ&アウトドア仕様にカスタマイズされたミラジーノ

  • ダイハツ・ミラジーノ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ダイハツ・ミラジーノ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)のリヤ
  • ダイハツ・ミラジーノ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)説明書

こちらも日本から輸入したと思われるダイハツ・ミラジーノ。キュートなルックスを活かして、ディスクホイールカバーやホワイトリボン、ルーフラックなどでクラシック&アウトドアテイストに仕上げられていた。

日本の働く軽トラも人気!? カスタム仕様のハイゼット

  • ダイハツ・ハイゼット(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ダイハツ・ハイゼットに乗せられたモトコンポ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

グリーンのボディカラーが印象的なダイハツ・ハイゼットは、マレーシアのKZガレージというショップが製作した1台。

荷台にはホンダのモトコンポが3台も積載されていて、スライド式のスロープなども装備。内装もレカロ製シートや追加メーターなどでスポーティな印象にカスタムされていた。

キャンパー仕様も大人気、ジムニー シエラのカスタムマシンを捕獲!

  • ダイハツ・ジムニーシエラ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ダイハツ・ジムニーシエラとルーフテント(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ダイハツ・ジムニーシエラの運転席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

マレーシアでもアウトドアがブームになっているそうで、ルーフテントを搭載したキャンパー仕様も多数展示されていた。中でもこちらは、スズキ・ジムニー シエラをベースにしたカスタム車両。ちなみに日本でも大人気のジムニー&ジムニー シエラだが、マレーシアでは軽自動車規格がないため、日本のジムニー シエラがジムニーという名称で販売されている。搭載されるエンジン排気量も1.5Lと同様だ。

この車両はマレーシア仕様なのか、日本から持ち込まれた車両なのか不明だが、ジムニー シエラのエンブレムが取り付けてあった。また、ルーフテントは、アメリカのアウトドアギアブランドであるYAKIMA(ヤキマ)製となっている。

日本でもあまり見かけなくなったCR-Xデルソルも現役!

  • ホンダ・CR-Xデルソル(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ホンダ・CR-Xデルソル(東京オートサロン・クアラルンプール2023)のホイール
  • ホンダ・CR-Xデルソル(東京オートサロン・クアラルンプール2023)の運転席

電動トランストップを採用したホンダCR-Xデルソルも発見。マレーシアでは、旧車やネオヒストリックカーの人気も高いそうで、日本ではあまり見かけなくなった車種も多数展示されていた。

ちなみにこのCR-Xデルソルは1989年製で、ボディキットや15インチホイールなどでドレスアップされていた。

ABCトリオでおなじみカプチーノもマレーシアの地を走る!

  • スズキ・カプチーノ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

ABCトリオとしておなじみ、1990年代はじめに登場したオートザムAZ-1(A)、ホンダ・ビート(B)、スズキ・カプチーノ(C)。そんな懐かしの軽スポーツカーの1台であるカプチーノも展示されていた。詳細は不明ながら状態も美しく、マレーシアの旧車を大切にする文化と、日本の軽自動車が浸透していることを感じさせられる1台だった。

金と赤でコーディネイトされたエンジンが印象的なシビック フェリオ

  • ホンダ・シビックフェリオ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • ホンダ・シビックフェリオの運転席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

マレーシアをはじめ東南アジアで人気の高いホンダ車。会場内にも新旧ホンダ車がたくさん展示され、屋外エリアのミーティングも大盛況だった。

会場内に展示されていたEG型のシビック フェリオは、ブルーのボディカラーとは対照的に、エンジンルームが金×赤でまとめられていたのが印象的。

マレーシアはマレー系や中華系、インド系などが暮らす多民族国家で、こういった赤×金といった色使いは中華系のオーナーが好んで使う組み合わせとのこと。民族によってカスタムの方向性が違うというのも面白い発見だ。

最新のコンパクトスポーツ、GRヤリスのカスタム仕様も大量展示

  • トヨタ・GRヤリス(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

ここまでは旧車系・ネオクラシック系の軽自動車やコンパクトカーを紹介してきたが、もちろん最新の現行車も多数展示されていた。

その中でも目立っていたのがトヨタのGRヤリス。マレーシアでもGRヤリスを筆頭にGRスープラやGR86、GRカローラ、そのほかカローラ クロスGRスポーツやハイラックスGRスポーツ、ビオスGRスポーツなどが販売されている。

  • バリスのエアロを装着したトヨタ・GRヤリス(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

最新のコンパクトカーはもちろんだが、軽自動車や旧車のコンパクトカーも多数出展されていた東京オートサロン・クアラルンプール2023。日本では見る機会が減ってしまった車種も多く、マレーシアの古いクルマを大切に乗り続ける文化も垣間見ることができた。

(文:三木宏章 写真:平野 陽、三木宏章)

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