マレーシアのAE86からハイエース、GT-Rまで“正統派カスタム”シーン【東京オートサロン・クアラルンプール2023】

  • マレーシアの人気カスタム調査Part4『正統派カスタム編』【東京オートサロン・クアラルンプール2023】

マレーシアのカスタム&チューニングトレンド調査企画第4弾。『東京オートサロン・クアラルンプール2023』の会場では、ボディカラーこそ日本よりも派手な印象があるものの、カスタムの手法やトレンドは日本とかなり近い雰囲気。インターネットによって世界中の情報をリアルタイムで知ることができる昨今、もはや距離や国境など関係ないのだろうか!?

別記事で『カーボンパーツ編』『ワイドボディ編』『Kカー&コンパクトカー編』と紹介しているので、ぜひあわせて読んでもらいたい。

4A-Gエンジンを搭載したフォード・エスコート・マーク2

  • フォード・フォード・エスコート・マーク2(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

「ド派手なピンク色のサニー?スターレット?」のようにも見えるが、答えは1978年式のフォード・エスコート・マーク2。東京オートサロン2023にも展示されていたので、もしかすると記憶に残っている人もいるかもしれない。

じつはこのエスコート・マーク2は、マレーシアで開催されている最大規模の旧車ショー『レトロ・ハボ・マレーシア』を主催しているアリさんの愛車で、マレーシアから東京オートサロン2023に越境出展していたマシンなのだ。

マレーシアでは日本同様に旧車人気が高いそうで、日英合作の美しいネオレトロマシンに仕上げられた。

  • フォード・フォード・エスコート・マーク2のリヤ(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • フォード・フォード・エスコート・マーク2のエアサスタンク(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • フォード・フォード・エスコート・マーク2に搭載された4A-Gエンジン(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • フォード・フォード・エスコート・マーク2の運転席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

外装は、日本はもとより世界中で人気のエアロメーカーTRA京都の三浦氏が作ったオリジナルのパンデム・ボディキットでドレスアップし、エアサスペンションによってローダウン。
ブレーキまわりもフロントがS13シルビア用、リヤがAE86用に変更されていて、日本の旧車で定番のRSワタナベ製ホイールを履かせていた。

さらにボンネットの中には、トヨタAE86に搭載されていた4A-Gユニットを搭載。4連スロットル化され、エンジン内部もHKS製カムシャフトが組み込まれるなど本格的な仕様だ。
さらにインテリアはFUELTECH製のデジタルメーターをはじめ、スパルコ製ステアリングなどが装備されていた。

マレーシアでも大人気、オーナーズクラブが出展したハイエース

  • トヨタ・ハイエース(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • トヨタ・ハイエースの床(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • トヨタハイエースの2列目席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

商用利用はもちろん、カスタムベースとして日本同様に人気なのがハイエース。こちらのクルマは、マレーシアを中心としたハイエースのオーナーズクラブが展示していた1台。
ちなみにオーナーズクラブのメンバーは2万2000人!そのメンバーには、公的機関からタクシーやスクールバスなどの商用車をはじめ、個人ユーザー以外も含まれているそうだ。

ちなみにハイエースは隣国のタイでも人気だが、オーナーズクラブの方に話を聞いたところ「マレーシアでは、あくまで日本風のカスタムが定番です。日本のカルチャーやアフターパーツブランドに魅力を感じるユーザーが非常に多くなっています」という話だった。

こちらの車両は、ホンダ・オデッセイやトヨタ・アルファードのシートを流用して快適性をアップしているということだった。

  • トヨタ・ハイエースのマレーシア仕様(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • トヨタ・ハイエースのオーディオカスタム(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

そのほか日本仕様との違いとして、マレーシアでは日本のようにリヤ両側スライドドアのモデルが存在せず、片側スライドドアしか市販されていないとのこと。黄色い車両がマレーシアで販売しているハイエースをベースにカスタムした車両している。

いっぽう、上のピンクの車両は日本から輸入して持ち込んだ車両をベースにカスタムしているそうだ。このように日本から輸入した、いわゆる本国仕様もひとつのステータスになっている。

そのほかにもオーディオカスタムを施した車両、エンジンチューンでパワーアップした車両など、さまざまなハイエースが展示されていて、マレーシアでもハイエースカスタムの人気が高いことが感じられた。

アル&ヴェルやノア&ヴォクなどミニバンカスタムも!

  • トヨタ・アルファード(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • トヨタ・ヴォクシー(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

アルファードやヴェルファイア、ノアやヴォクシーといったミニバンをベースにした車両の出展も多数! また、カスタムカーに限らず、街中ではアルファードやヴェルファイア、ノアやヴォクシーもたくさん走っている姿を見かけた。
カスタム内容としては、ハイエース同様に日本製エアロパーツなどが主流になっており、全体的に赤やピンクなどの派手なボディカラーの車両が多かった。

会場内で10台近く展示されていたR35型GT-R

  • バリスのエアロを装着した日産R35GT-R(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • 日産R35GT-R(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

日産のR35型GT-Rも会場内に10台近く展示されていた。ちなみにこちらの2台は、マレーシアの『RS Auto Accessories』というショップが展示していたGT-Rで、ブルーのほうは日本のエアロブランド『バリス』のエアロを装着していた。

そのほかにもリバティウォーク製ワイドボディキットを装着したマシンなども発見することができた。

スプーン仕様のシビックなどホンダ勢強し!

  • ホンダ・シビック(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • マレーシアでもホンダ車にはスプーン仕様が人気(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

東南アジアで人気が高いメーカーといえばホンダ車。とくに東京オートサロン・クアラルンプール2023の会場内はもちろん、会場裏のミーティングエリアにも大挙して押し寄せていたのがイエロー×ブルーのスプーンカラーでまとめたシビックやインテグラ。

スプーンといえばホンダ系チューナーの雄であり、アジアはもちろん北米やヨーロッパでも人気のブランド。そんなスプーン仕様に憧れるユーザーはマレーシアでも多いことを実感できた。

ワイドボディ&極太ホイールで武装したR33型GT-R

  • 日産・R33スカイラインGT-R(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • 日産・R33スカイラインGT-Rのトラックスタンス仕様(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • 日産・R33スカイラインGT-Rの運転席(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

マレーシアで「THE APEX OF CAR CULTURE」というカーショーを行っているオーガナイザーが出展していた『トラックスタンス』仕様のスカイラインGT-R(BCNR33)。
『トラックスタンス』は、明確な定義はないものの、いわゆるシャコタン・ツライチのようなスタイルでありながらサーキットマシンとしての性能も兼ね備えた仕様の総称。日本でも人気になっているカスタムだが、マレーシアでも人気という話だった。

ちなみに「THE APEX OF CAR CULTURE」は、昨年2万人以上の集客を集めたという。

アニメやマンガの影響は万国共通、ハチロクも会場内で発見!

  • トヨタ・スプリンタートレノ(AE86)(東京オートサロン・クアラルンプール2023)
  • トヨタ・カローラレビン(AE86)(東京オートサロン・クアラルンプール2023)

アニメやマンガの影響で人気が爆発し、今では高価な値段で取引されるAE86型のスプリンタートレノ&カローラレビン。その人気はマレーシアでも同様で、高い人気を誇っていた。こちらの2台も美しくレストアされ、日本でも定番のカスタマイズが施されていた。

このように、会場内を歩いているとまるで日本にいるような錯覚を覚えるほど、日本へのリスペクトを感じるカスタムも非常に多かった東京オートサロン・クアラルンプール2023。
そういった意味では、日本のアフターパーツメーカーにとって、マレーシアは大きなマーケットに成長する可能性を強く感じられた。

(文:三木宏章 写真:平野 陽、三木宏章)