⽇本カー・オブ・ザ・イヤー トヨタ・プリウスに10点を入れた選考委員のコメント(前編)

2023-2024 ⽇本カー・オブ・ザ・イヤーはトヨタ プリウスが3度目の受賞をしました。総評を一言でいうと、ハイブリッドカーの次世代フェーズへの移行と言えるでしょう。そこでプリウスに10点をつけた選考委員のコメントを一気に紹介したいのですが、選考委員60人のうち31人も10点をつけているため、2回にわけてご紹介します。今回ご紹介する選考委員さんのコメントの中には、「青汁をヘルシーコカコーラに進化」「選手会長を若手に譲ったベテランが数年ぶりに活躍した」「古くて新しい存在」などのように面白い表現もありますので是非一読ください

青山 尚暉
世界の量産HVの立役者であるプリウスは5代目で大変身。モノフォルムを継承しつつ、見る者を魅了するスタイリッシュさが秀逸。低重心パッケージとシステム出力増強による歴代最上の動力性能と走行性能も見事。特にPHEVはスポーティカー並みの動力性能と高級車並みの静粛性の持ち主。補助金考慮でHVと価格接近。今年の顔に相応しい。

岡崎 五朗
時代はもはやEV。ハイブリッドは周回遅れ。そんな主張を見事に周回遅れにしたのが新型プリウスだ。エンジン車と同じ使い勝手を持ちながら二酸化炭素排出量を大幅に削減するハイブリッド車は、誰もが無理なく手に入れ、使いこなせる普及型環境車として今後も地球に必要な存在であり続ける。デザインと走りを一新し商品力を大幅に引き上げた新型プリウスは、「古くて新しい存在」として、ハイブリッド車の価値と魅力を多くの人に再認識させるきっかけとなるだろう。充電環境をもっている人にはPHEVもオススメ。

岡本 幸一郎
プリウスは持ち前の燃費のよさにとどまらず、デザインと走りを際立たせることでプリウスとしての価値と存在意義を大きく高めた点を評価します。ハイブリッドカーの開拓者であるプリウスが次に進むべき道を非常に良い形で自ら開拓したように思います。

小沢 コージ
プリウスという1車種のみではなく、ハイブリッドカーの常識を覆したという意味で画期的。それまで健康食品のような効率最重要視だったクルマをデザインと走りにより、愛されるクルマに変えた。へんな話、青汁をヘルシーコカコーラに進化させたようなもの。その技術力と決断力を称えたい

片岡 英明
選考基準は、一般の人が頑張れば買える価格帯で、しかも走らせて楽しいクルマだ。プリウスは、キープコンセプトの新型車が多いなか、デザインを大胆に変え、多くの人を驚かせた。躍動感あふれるエクステリアデザインは、新型プリウスの大きな魅力だ。また、これまでは燃費のよさを売りにしていたが、スポーティな走り味を身につけ、気持ちよく安心感のある走りを楽しむことができる。快適なEVに大きく近づいたPHEVの高いトータル性能も好印象だ。

河口 まなぶ
トヨタ・プリウスは長年に渡って築き上げてきた価値を自ら再生した点が強く私の心を打った。かつて「嫌いなクルマはプリウス」と記したことのある私自身がいま、このクルマを愛車として乗っていることは、選考理由以上にいかにこのクルマが今回大きく生まれ変わったかの証といえる。

日下部 保雄

量産車として斬新なデザインを実現し、CO₂削減に受け入れやすい現実的な解となるHVは運動性能、燃費共に優れ、特にPHEVはバッテリーでの航続距離が長く、通常の走行ではバッテリーだけで移動できる。また低重心がもたらす安定性とバランスシャフトを持つエンジンの静粛性も高く秀逸な快適性をもたらす。

九島 辰也
「クルマには家電とかと違って”愛車”という言葉がある」といったストーリーのもとに企画・製作させただけあり、個性を際立たせたデザインと走りは今年度を代表するだけの素性があります。歴代モデルとこれだけ方向性を変えたモデルは少なく、英断だと思います。しかも結果評判は上々。何年後かに振り返ったとき、「あの新生プリウスが誕生した年ね」と言われることでしょう。

工藤 貴宏
あのプリウスがなんとアバンギャルドな姿に! しかもカッコいい! そしてPHEVの上質感あふれる乗り味も共感を覚えるもの。すべてが予想を超えてきたのです。ハイブリッドが専売特許ではなくなったことで、新しい魅力へとシフトした新型。既成概念を打ち破ったその大胆な方向転換は結果として従来以上にプリウスの魅力を高めるものになったといっていいでしょう。あのプリウスが、再定義でふたたび注目すべき存在、指名買いしたくなる存在となりました。それが推しの理由です。

国沢 光宏
先代プリウスは発表直後からデザインで失敗すると評価しました。一方、新型プリウスを見た瞬間「これは売れる!」と思った次第。クルマにとってのデザインの重要性を見事に証明したという点を高く評価したいと思います。

斎藤 聡
何よりも”走りが楽しい”というのがプリウスを選んだ理由。環境や燃費性能の良さは現代のクルマにとって重要な要件だが、それを世界トップレベルの水準で満たしたうえで、プリウスは走りの性能に楽しさを与えることに成功している。第2世代TNGAプラットフォームと高剛性ボディが作り出す走りの良さに加え、ナロータイヤコンセプトによる大径タイヤがステアリングフィールをさらに高めている。そうした様々な技術や作り込みによって質の高い走りを目指し、実現している点を高く評価した。

佐藤 久実
ハイブリッドカーのパイオニアとしてブランドを確立しているプリウス。今回のモデルチェンジでは、「コモディティ」か「愛車」か、その立ち位置を改めて検討し、「愛車」として使われるクルマを目指し開発された。結果、単に燃費が良いだけでなく、デザイン性や走りのパフォーマンスにもこだわり、ネームバリューに頼ることなく新たな魅力あるクルマとして作り込まれている点を評価しました。

塩見 智
かつてはトヨタの、つまりは日本のハイブリッド技術を象徴する重い役目を担っていたが、他に優秀なハイブリッド車が増えたことで、売れることが必須ではなくなった5代目プリウスは、脱・優等生的なスタイリングをまとい、燃費一辺倒ではなく走らせて楽しい動力性能を備えた現代のスペシャルティカーとして久々に花開いた。選手会長を若手に譲ったベテランが数年ぶりに活躍したかのようだ。

島崎 七生人

右脳で選びたくなる歴代初のプリウスだと思う。先代は理詰めの形だったというが、世の中に溢れるクルマであり、景観の一部を担う責任上、やはりこれくらいの眺めているだけでも気持ちのいい外形でなければ……と思う。ステキさについては初代アリスト、初代カリーナED以来だ。また攻めたデザインながらギリギリのところで実用性を成立させた点にも拍手を送りたい。PHEVに代表される、スタイルに見合った爽快な走りの実現などが1位に推した理由。

島下 泰久
デザイン、走りで幅広く訴求する一方、PHEVの100kmのEV航続距離、ソーラー発電システムといった更に進んだ価値を打ち出すなど、カーボンニュートラル実現に向けた現実解としてのあり方を真摯に追求する姿勢から、プリウスが今年の1台に相応しいと考えました。

清水 和夫
5代目プリウスは、26年の歴史を超えて、エコカーからスペシャリティカーに生まれ変わった。デザインのイノベーションが目立つが、エンジンを2Lとするものの、安価なモデルとして1.8Lも用意する。さらに本格的にEV走行が可能なPHEVもあり、充実したラインアップだ。
 

 

(GAZOO編集部)