⽇本カー・オブ・ザ・イヤー トヨタ・プリウスに10点を入れた選考委員のコメント(後編)
2023-2024 ⽇本カー・オブ・ザ・イヤーはトヨタ プリウスが3度目の受賞をしました。しかも選考委員60人のうち31人も10点をつけています。総評を一言でいうと、ハイブリッドカーの次世代フェーズへの移行と言えるでしょう。プリウスに10点をつけた選考委員のコメント16人分を前半として先週紹介しましたので。今回は残りの15人のコメントを紹介します。
今回ご紹介する選考委員さんのコメントの中には、「これに乗ると…コレでいいじゃん!と思っちゃう」「4ドアクーペと呼びたい」「クルマの原点とは何か、自身の価値観を見つめ直すきっかけになった」「エンジンの音色以外、痒いところに手が届いています」「天井の低いボディは、80年代のトヨタ車で大ヒットしながら廃れて、欧州車で増殖したト4ドアハードトップを思い出させる。
」などのように面白い表現もありますので是非一読ください。
瀬在 仁志
電動化が急速に進んでいく中で未だインフラ整備は十分とは言えない。長期的に見れば主力はエンジンからモーターへとシフトされるだろうが、過渡期に必要とされるパワーユニットを振り返ってみると、プリウスに搭載されるトヨタのストロングHVは極めて高効率で、経済性と環境性能を高い次元で両立させた優れたシステムであることが分かる。プリウスにおいてはシャシの徹底した強化により高い安定性と操縦性の良さを実現。次の100年に向けて環境性能だけで無く、総合力のある日本車代表モデルとして高く評価した。
世良 耕太
カッコイイ。走りがいい。そして、燃費がいい。きちんとプリウスに見えながら、新しさを感じる。「カッコイイクルマを作りたい」とデザインを優先し、「スポーツカーを作りたい」と走りを徹底して鍛え上げた。燃費を割りきり、デザインと走りに軸足を置いたはずだったが、相変わらず、対他競争力の高い燃費を実現している。気持ち良く走って燃費がいいクルマ。安心・快適な走りに寄与する進化した4WDも新しいプリウスの魅力だ。
高橋 アキラ
トヨタ・プリウスを1位に。インパクト十分なエクステリアデザインで登場し話題性は十分。コンセプトモデルではないかと思わせるほどの大胆なAピラーの傾斜角で、多くの人を驚かせました。そして環境性能に応える技術も投入し満足度の高い燃費性能を提供しています。さらにHEVとPHEVではダイナミック性能に違いを持たせ「愛車」選択にも幅を持たせる商品企画力も素晴らしい。求められる性能、機能、ユーティリティを持ちながら価格も魅力的であり、今年一番ベストな量販モデルだと思います。
竹下 元太郎
トヨタ・プリウスは、みずからの価値を見つめ直し、新しいクルマに生まれ変わろうとしている姿勢を評価しました。他の日本車にも必ずや関係してくるテーマではないかと思います。
谷口 信輝
ルックスもさることながら、快適で使いやすくて、運転が上手くなったと思うほど。痒い所に手が届くと言うか、痒いところがない。そして燃費も良い。これに乗ると…「コレでいいじゃん!」って思っちゃう。発進する、曲がる、止まる。日常で使う1番基本的な事を高いクオリティで用意してある。文句のつけどころがない。
千葉 匠
人々が具体的には表明できない暗黙の期待に、デザインがどう応えられるか? 例年と同じ視座で10台を吟味し、プリウスを選んだ。ワンモーションを極めたシルエットと「4ドアクーペ」と呼びたいほどスポーティで官能的なフォルム。この大胆なデザインを実現させた企業としての総合力も素晴らしいが、それが人々の暗黙の期待を顕在化させ、多くのユーザーを獲得して日本の景色を変えつつあることを何より嬉しく思う。日本人のデザインリテラシーの潜在的な高さを、プリウスが証明してくれた。
鶴原 吉郎
新型プリウスの、特にPHEV仕様は、EVが環境車として台頭する中で、次世代のハイブリッド車がどうあるべきかを追求した結果だ。床下に大容量のバッテリーを搭載するEVでは難しい、スポーツカーを思わせるようなデザインを採用しながら、日常走行をほぼカバーできるEV走行距離と両立。バッテリーに膨大な資源を費やすことなくCO2排出量を抑え、運転の楽しさも高次元で達成した、環境車の現実解と判断した。
テリー 伊藤
プリウス、最近のトヨタのデザインコンセプトハンマーヘッドの完成形では。道ですれ違うと思わず目で追っている、美しいデザイン、湘南の住宅街に本当に似合う。デザインチームはいい仕事しました。少し気になったのはドライバー席からの見切りの悪さ、鎌倉夫人には苦労するかも。
西村 直人
1)振り返りたくなる斬新な外観と、2)「エコカー≒プリウス」という1997年から続く世界観を一新させる走行性能を手に入れたこと、この2点からCOTYに推挙。燃費数値だけでトップを狙うのではなく、ガマンせず楽しく走らせることができて、けれども燃費数値が良いという新たな電動化車両のあり方も評価しました。プラグインハイブリッドモデルでは、通常モデルに走りの要素をたくさん加えて潜在的ユーザーへの選択肢を増やしています。クルマの原点とは何か、自身の価値観を見つめ直すきっかけになりました。
ピストン 西沢
発売以来ハイブリッドカーの先駆けとして、多くの販売台数を誇ったが、その後数多の優秀なクルマ、技術に埋もれていた。いつの間にか可もなく不可もないクルマになっていた。しかし、そんな状況を打破すべく、思い切りのよい新しいコンセプトで生まれ変わったのが、このプリウス。スポーツカーのようなフォルムと、低重心の走り、そして低燃費。みんなが欲しくなるクルマを個人的には選びたいので、文句なく満点。
松任谷 正隆
ハイブリッドの先駆者でありながら、守りではなく、常に先鋭であり続ける意思を今回のモデルチェンジでは感じます。デザインもそうですが、サーキットでの走りがここまで磨き込まれていたのには驚きました。とにかくトータルバランスが素晴らしい。エンジンの音色以外、痒いところに手が届いています。
松本 英雄
最も相応しいと選んだのがプリウスである。まず洗練されたデザインだ。キープコンセプトで守りの姿勢も考えられたが、未来を見据えたフォルムは世界的な量産として唯一である。そして走りの質が一気に向上した。走り出す喜びを感じるに違いない。特にハンドリング、静粛性、スタビリティは素晴らしい。今までの実用ハイブリッドとは一線を画した新しい時代のプリウスに仕上げた。この部分を高く評価したい。そして何よりも給油すればどこまでも充電時間や場所を気にせずにこの質の高い性能を楽しめるのである。
山田 弘樹
「ハイブリッドの普及」という役目を終え次のフェイズに突入し、アグレッシヴなデザインで市場の評価を獲得したプリウスを1位に。先進安全技術ではプロアクティブドライビングアシストがこれからの時代には特に有効。ラインナップも層が厚く充実している。
山本 シンヤ
スーパーカー顔負けのデザイン、スポーツカー顔負けのハンドリングを備えたフットワーク、それでいながら燃費は先代同等と、消去法ではなく積極的に選択したくなるクルマに仕上がっています。そういう意味では、トヨタの「もっといいクルマづくり」が最もわかりやすく表現された1台だと思います。PHEVはインフラ不要のBEVとしても使える点も高く評価しました。
渡辺 陽一郎
今は大半のトヨタ車にハイブリッドが搭載され、専用車のプリウスは役割を終えた。登録台数も最盛期の10分の1に減った。しかし伝統ある車種でもあるから存続すべきだ。そこで新型は低燃費ではなくハイブリッドの付加価値に力を入れた。モーター駆動による優れた加速力、駆動力の綿密な制御と安定性、静粛性はさらに進化して、5ドアボディの外観も一層洗練された。天井の低いボディは、80年代のトヨタ車で大ヒットしながら廃れて、欧州車で増殖したト4ドアハードトップを思い出させる。
(GAZOO編集部)
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