50周年を迎えるTOM’Sが、新たなるプロジェクトを始動・・・・・・東京オートサロン2024

今年で50周年を迎えるTOM'S(トムス)。発足以降、常にトヨタと共に闘ってきたレーシングチームであり、市販車においてはトヨタのオフィシャルチューナーとして、日本国内だけでなく、世界中に多くのファンがいるブランドとなっている。
そんなトムスが、次なる50年に向けた新たなる試みを東京オートサロン2024で発表した。そのひとつが、旧車のレストアサービスを開始するというもの。その第1弾として再生されたのが、グリーンにペイントされた『TRD3000GT』である。
TRD3000GTは、今から30年前となる1994年の東京オートサロンで、TRDが発表したA80スープラをベースにしたコンプリートカー。レーシーなディテールを備えながら、もともと抑揚のあるA80スープラのボディをよりグラマラスに仕上げるボディキットを装着したものとなる。このボディカウルは、TRD3000GTで使われた他、1994年から始まったJGTC(スーパーGTの前身)のスープラにも使用された。
初年度よりスープラでJGTCに参戦していたトムスのガレージには、レースマシンのスペアだったのかは定かではないが、未使用のTRD3000GT用のボディカウルがデッドストックされていたことから、それを使用してレストアサービスのデモ車両を製作することになったという。
レストアというと、新車時の状態に再生するものを指すことが多いが、トムスは世界的に旧車の仕上げ方として人気を博しているレストモッドを採用。ちなみにレストモッドとは、レストアと同時に現代風にカスタマイズしてクルマを仕上げるというもの。これはモータースポーツや、トヨタのオフィシャルチューナーとして様々なチューニングのノウハウを有するトムスの独自性を活かした選択と言えるだろう。

  • ゴールドのホイールはポテンザRW007。ブレーキシステムは、トムスがブレンボとコラボレーションした真っ赤なキャリパーが覗く。足まわりも最新スペックのアイテムをチョイスしているのもレストモッドならでは。

  • 1990年代初頭に流行ったゲート形状(門型)のリヤウイングも、TRD3000GTのカウルキットの特徴となる。ウイングの角度を調整する機構も備わっている。

  • この角度で見ると、前後のフェンダーがワイド化しているのが判るだろう。ちなみにTRD3000GT用のボディカウルキットは、未使用であったが経年劣化は進んでおり、使用に耐える補修を施してボディに組み込まれたそうだ。

これまでの50年は、スポーツカーや高級セダンのカスタマイズに限定してきたが、これからの50年ではミニバンやハイブリッド車もTOM’Sらしいカスタマイズを施していくというトムス。そのイメージリーダーとなるのが、東京オートサロン2024でワールドプレミアとなった、ミニバン型のショーファーカーとなるレクサスLMへのカスタマイズ。
エクステリアは得意のエアロパーツを装着せず、ミニバンではあまり見かけない2色で塗り分けるバイカラーを採用し、トムスらしさを表現。注目すべきはインテリアで、特に後部座席の作り込みなどにより新たなるトムスのスタイルを表現。和のイメージで作り込んだという、ショーファーカーに相応しい贅を尽くしたものとしている。

  • 単なるホワイトレザーではなく、組子細工をモチーフとした紋様が配された、上品な本革で張り替えられたリヤシート。両サイドのアームレストに備わるエアコン吹き出し口は、最高級木材である木曽檜を使って、組子細工の職人さんの手によって作られた逸品だ。

  • カーペットは山形緞通の特注品。緞通(だんつう)とは、ペルシャ絨毯と共に長い歴史を有する世界最高級絨毯のことだそうで、山形緞通で初めてクルマ用を製作したという。

  • オーバーヘッドコンソールの照明部には、日本の伝統工芸となる組子細工を採用。TOM'Sの地元である御殿場の組子細工職人さんの手で作られたものとなる。

  • 前席と後席の間に完全なる隔壁が備わるのがLEXUS LMの特徴のひとつ。その隔壁部は、ホワイトレザーで張り替えられる。またそこに組み込まれる、ノーマルではカッパーゴールドの枠は、後席全体の配色バランスを考慮しホワイトに塗装されている。

  • TOM’SオリジナルホイールとなるTWF01。クローム系の輝きでドレスアップ効果が高いのは言うまでもないが、なんと走行性能にもこだわって鍛造で製作しているという。

  • アルファードのパーツもワールドプレミアとして発表された。『自己満足』をテーマに開発されたというだけに、例えばエアロは下部に光り物のないアルファードを、より輝かせるメッキモールを巧みに配したデザインを採用。またLEXUS LM同様に上下を塗り分けるバイカラーを採用し、イメージを大きく変化させている。

  • プリウスもトムスが今まで手を掛けてこなかった車両のひとつだったが、ついに5代目でトムスの魂を注入。こちらも今回の東京オートサロン2024でワールドプレミアとなった1台で、スポーツカーに匹敵するスポーティな5代目プリウスを専用エアロ等でモータースポーツイメージに仕立てている。足まわりはトムス拘りのサスキットとして市販化しているAdvoxが装着される。

文章・写真:坪内英樹
[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road