モリゾウがスーパー耐久の理事長に就任! 伝統を守りつつ未来と世界に通ずるレースに向け新組織「STMO」が発足
2024年のスーパー耐久はレースフォーマットと予選方式の変更が行われている。開幕戦となるスポーツランドSUGOのレースは昨年に続き2レース制となるが、1レースの時間が4時間レースとなった。そのため、4月20日(土)にグループ2の予選と決勝、4月21日(日)にグループ1の決勝レースが行われる。
また、そのグループ分けも、
グループ2がST-Z、ST-Q(#12、#55、#92)、ST-1、ST-5
グループ1がST-X、ST-Q(#28、#32、#271)、ST-2、ST-3、ST-4
とそれぞれのグループが速度差があるクラスとの混走とすることで、よりスリリングなレース展開を演出している。
予選方式も、これまでのAドライバーとBドライバーの合算タイムから、ノックアウト方式に変更となったり、第2戦富士24時間からはマルチアングル配信が開始するなど見どころも多い。
スーパー耐久は、1991年に創設されたスーパー耐久機構(STO)により、国内参加型モータースポーツの最高峰としての歩みを始めた。リーマンショックの直後には参戦台数が低迷した時期もあったが、そこからは右肩上がりに参戦台数を増やしてきた。
そしてST-XクラスやST-Zクラスなどの世界的にジェントルマンレースで使用されるFIA GT3、FIA GT4車両のクラスができたことで、プロのレーシングドライバーの参戦も増え、見る人にも参戦する人にもより魅力的なレースへと進化することに。
さらに、2021年には賞典外ではあるもののメーカーの開発車両が参戦可能なクラスとしてST-Qクラスが新設され、トヨタ、マツダ、SUBARU、日産、ホンダという自動車メーカーが、モータースポーツを起点としたクルマづくりや仲間づくり、水素や合成燃料などによるカーボンニュートラルに向けた取り組みなど、課題解決に向けた仲間として参戦をしている。
そうした流れを加速させ、新たなテーマとして「チームやファンに未来を見せたい!!」というコンセプトを実現するべく、一般社団法人 スーパー耐久未来機構(STMO)が新設されることとなった。
「一緒に自動車産業を盛り上げていく、そしてモータースポーツ業界の明るく楽しい“未来”をつくっていきたい。この“M”には自動車産業にとってこんなにも素晴らしい場をつくってくださった(スーパー耐久の)創始者、充さん(故・桑山充(みつる)氏)へのリスペクトの気持ちも込めさせていただきました」
発表会見の中で“モリゾウ理事長”は、これまでのスーパー耐久を「村祭り」に例え、「手作り、顔なじみ、誰でも参加できる」レースとしてスーパー耐久の良さは残しながらも、アジアを代表するレースとして他のアジア地域での開催や、アジアのチームが参加したいと思えるようなレースにしていきたいと語る。その先にはニュルブルクリンク24時間など、ヨーロッパのモータースポーツにつながる道も作っていきたいという。
さらには、ST-Qクラスで取り組むカーボンニュートラルやもっといいクルマづくり、モータースポーツのファンづくりなども、一つのエントラントとしての活動以上に推し進めていくことになるだろう。
その桑山氏は数年前より「レースを守っていくために、未来のために、個人の会社が運営をしていていいのかと悩んでいた」という。そうした中、思い浮かんだのはお金や名誉のためではなく未来のモータースポーツ、クルマ業界のために尽力するモリゾウ理事長だったという。
桑山副理事長は、これまでのスーパー耐久を守りながらも、「新たなタスクがたくさんあるので肩の荷が降りた気はしない」というように、かねてから取り組んできたスーパー耐久をより楽しめるレースにするための活動やアジアでのレース開催に向けて尽力していくこととなりそうだ。
この会見には、SUPER GTを運営するGTアソシエーションの坂東正明代表も訪れ、「STMOは今後SUPER GTと仲良くしていただけますか?」と質問し笑いを誘う場面も。
それに対し、モリゾウ理事長は「“スーパー”と名の付いた3つのレース(SUPER GT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久)は日本のレース業界を盛り上げるという共通の山(目的)は一緒だと思います」と、今後開催スケジュール面も含め連携をとっていきたいと答えている。
だが、自らチームオーナー、選手としてレースに参戦していることやアジア各地での仲間づくりとモータースポーツイベントの開催、さらにはFIAの評議委員を務めるなど、多方面での実績やつながりを持つことは、今後のスーパー耐久、さらには日本のモータースポーツの発展の大きな力になるに違いない。
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