スーパー耐久でGRがボイルオフ水素ガスを水素吸蔵合金で有効活用

  • スーパー耐久オートポリス 32号車  ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept

    32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept

7月28日に大分オートポリスで行われているスーパー耐久で、GRは32号車水素エンジンカローラの夜間停車中水素ボイルオフ対策のトライを試み、ボイルオフの水素でパドックのスポットクーラなどの電力として利用した。

水素エンジンカローラの燃料は液体水素のため燃料タンク内も-253℃で保管する必要があるわけですが、外部からの熱の影響で常にボイルオフガス(自然気化)が発生している。そのためエンジンが始動している時は水にして車体ら排出し、夜間などエンジンが始動していないときは、大気に水素を開放していた。エンジンが始動していない時のボイルオフガスを日本重化学工業の水素吸蔵合金を使い水素を吸着させている。水素吸蔵合金タンクは清水建設と産総研が共同で開発したもので、清水建設が自社ビルなどで実用に向けた取り組みを行っている。

このタンクのポイントは水素を常圧でコンパクトに、約1000分の1にまで体積を圧縮して蓄積することができることだ。今回の液体水素吸蔵合金タンクは大気圧で最大6.8kg(75N㎡)を貯蓄でき、気体水素のボンベ約15本分に相当するそうだ。
実際に32号車が一晩で回収したボイルオフ水素ガスは約3kg前後、ボイルオフは100%回収しており、今回のタンクの半分程度で、液体水素ボンベ約5本ぐらいだそうだ。

常温で水素を安定的に貯蓄できるため理想的な仕組みだと思いがちであるが、水素を吸収させるのは水素吸蔵合金であるため、重量的には不利であり、車での利用は考えていないそうだ。
GRカンパニーの高橋プレジデントは「水素の進化について軽量化が1番の課題だと思っている。耐久性はもちろん、お客様に市販車として使っていただくにはもっと軽く、軽くすると燃費もよくなる、お客様にとって嬉しいことである。そこは愚直に進めながら、法規も話もありますので、車とインフラの整備を進めていくことになります」と話した。

効率のよいCN実現のための将来的に必要不可欠な仕組みになりそうだ。
 

GAZOO編集部 岡本)