スーパー耐久でGRがボイルオフ水素ガスを水素吸蔵合金で有効活用
水素エンジンカローラの燃料は液体水素のため燃料タンク内も-253℃で保管する必要があるわけですが、外部からの熱の影響で常にボイルオフガス(自然気化)が発生している。そのためエンジンが始動している時は水にして車体から排出し、夜間などエンジンが始動していないときは、大気に水素を直接開放していた。今回のトライではエンジンが始動していない時のボイルオフガスを日本重化学工業の水素吸蔵合金を使い水素を吸着させ再利用する仕組みになっている。水素吸蔵合金タンクは清水建設と産総研が共同で開発したもので、清水建設が自社ビルなどで実用に向けた取り組みを行っているものだ。
このタンクは水素を常圧でコンパクトにできる。それも水素吸蔵合金は約1000分の1にまで体積を圧縮して蓄積することができるそうだ。今回使った液体水素吸蔵合金タンクは水素を最大6.8kg(75N㎡)貯蓄でき、気体水素のボンベ約15本分に相当するそうだ。
そして、実際に32号車が一晩で回収したボイルオフ水素ガスは100%回収できており約3kg前後だったそうだ。今回のタンクの半分程度でまだ余裕もあり、液体水素ボンベだと約5本ぐらいになるみたいだ。
そうなると常温で水素を安定的に貯蓄できる理想的な仕組みだと思いがちであるが、水素を吸収させるのは水素吸蔵合金であるため、重量的には不利になるため、車での利用は考えていないそうだ。
GRカンパニーの高橋プレジデントは「水素自動車の進化について軽量化が一番の課題だと思っている。耐久性はもちろん、お客様に市販車として使っていただくにはもっと軽くする必要がある。軽くすると燃費もよくなり、お客様にとって嬉しいことである。そこは愚直に進めながら、法規の話もありますので、車とインフラの整備を進めていくことになります」と話した。
効率のよいCN実現のための将来的に必要不可欠な仕組みになりそうだ。
(GAZOO編集部 岡本)
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