[まるわかり会場レポート]2024年のジャパンモビリティショーは夢の実現や課題解決への「ビジネス共創」がテーマ。200社以上の企業が出展
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ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024の会場
2014年10月15日(火)、千葉県千葉市にある幕張メッセで「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」が、10月18日(金)までの4日間の日程で開幕した。
2023年に東京モーターショーから名称が変更となり、「豊かで夢のあるモビリティ社会を創りたい、という想いのもとに、様々な仲間が集まり、未来を提示するイベント」として初開催されたジャパンモビリティショー2023。
これまでの東京モーターショーのように、各自動車メーカーによる未来を感じるコンセプトモデルや最新市販車モデルの展示に加えて、「こんなモビリティがある未来があったらいいなを感じる、未来の東京ツアー」をコンセプトにした「Tokyo Future Tour」や、日本のモビリティの未来について語り合うトークセッション「Japan Future Session」など新たな試みが盛り込まれた。
さらに、2023年のジャパンモビリティショーの大きな特徴の一つは、多くのスタートアップ企業が参加していたことだ。
豊田章男会長(当時)は「タイのバンコクのモーターショーではクルマを売ったりできるんですね。ここでは何を売ろうかなということで、みんなが考えついてくれたのが、モビリティで未来を創っていくためには、日本のスタートアップ企業が投資家の方々とマッチングをして、新しいビジネスへの第一歩としてもらうためのイベント」とその意図を語っていた。
そして、隔年開催ではビジネスの進化するスピードから取り残されてしまうため、毎年開催したいという意欲を見せていた。
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日本自動車工業会の片山正則会長
そうして迎えた2024年のジャパンモビリティショーは、「モビリティ関連企業と次世代を担うスタートアップによる、ビジネス共創を生み出すビジネスイベント」として行われ、隔年でモビリティの展示を中心とした大規模なイベントとビジネスマッチングに特化したビジネス向けのイベントを交互に開催していくこととなった。
また、今回はデジタルイノベーションの総合展である「CEATEC 2024」と併催することで、より産業やテクノロジーの枠を超えた連携にも期待されている。
初日となる10月15日にメインステージで行われた未来モビリティ会議(有識者によるトークセッション)において、片山正則会長は開催スピーチの中で、「今回のイベントでは、モビリティの価値や体験を拡張させる大きなポテンシャルをお持ちのスタートアップ企業の皆様とも一緒に、生活者を中心に据えた豊かな夢のあるモビリティ社会を共創していきたいと考えております。こうした視点で、次世代を担うスタートアップの皆様やこれまで接点がなかったさまざまな産業の皆様とともに、未来に向けた事業共創の重要性とその可能性について共有する現場となり、新たな発想があちらこちらに生み出されるきっかけになることを願っております」と、このイベントへの想いを語っている。
日本自動車工業会の展示エリア
会場は、これまでの東京ビッグサイトではなく幕張メッセの西1号館にて開催され、200社以上(募集出展者数:事業会社58社、スタートアップ企業が150社)がブースを並べている。
会場の一番奥のステージ周辺には、日本自動車工業会の14社が、「電気自動車」「カーボンニュートラル燃料」「プラグインハイブリッド」「水素燃料電池/水素燃料」に分けられ各社の車両を展示している。
電気自動車
「電気自動車」エリアでは、商用車両も多く展示され、三菱ふそうトラック・バスが展示する自動追尾型EVごみ収集車のコンセプトモデル「eCanter SensorCollect」には多くの来場者が足を止めていた。
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ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024の電気自動車展示エリア
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自動追尾型EVごみ収集車のコンセプトモデルeCanter SensorCollect
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ヤマハのHonda Mobile Power Pack e:」を搭載したコンセプトモデル「DIAPASON(ディアパソン)C580
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いすゞのフルノンステップBEV路線バス 「エルガEV」
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いすゞの小型バッテリーEVトラック 「エルフミオEV」
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ダイハツのUNIFORM Truck
カーボンニュートラル燃料
「カーボンニュートラル燃料」エリアでは、SUBARUがスーパー耐久にカーボンニュートラル燃料を使用し参戦していた「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」や、マツダのCX-80のバイオフューエル車、またスズキはインドで販売中の牛糞や食品廃棄物等からつくられるバイオガスを精製した燃料を使用するワゴンR CNG(天然ガス)仕様も展示している。
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ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024のカーボンニュートラル車両展示エリア
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スーパー耐久でカーボンニュートラル燃料を使用するTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept
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10月10日に発売したばかりのマツダCX-80を改良したバイオフューエル車
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インドで販売しているバイオガスを精製した燃料を使用するワゴンR CNG(天然ガス)仕様
プラグインハイブリッド
「プラグインハイブリッド」エリアは三菱自動車のアウトランダーPHEVが展示されている
水素燃料電池/水素燃料
「水素燃料電池/水素燃料」エリアでは、ホンダは水素を燃料とするFCEVながらプラグイン充電機能も持つ「CR-V e:FCEV」を展示。トヨタは、スーパー耐久で研究開発を進める液体水素エンジンGRカローラを展示し、その技術的な説明を行う。さらに、水素タンクを人の手で運べるサイズに小型化してさまざまな生活シーンで活用するコンセプトモデル「ポータブル水素カートリッジ」も展示と実演を行っていた。
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ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024の水素燃料電池/水素燃料の展示エリア
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ホンダのFCEVながらプラグイン充電機能も持つCR-V e:FCEV
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スーパー耐久で実証実験を進めるトヨタの液体水素エンジンGRカローラ
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トヨタの液体水素エンジンGRカローラの燃料タンクは、2024年に真円から楕円にバージョンアップ
150社のスタートアップ企業とのビジネスマッチングの機会
今回のイベントのメインとなるビジネスマッチングでは、スタートアップ企業が、「カーボンニュートラル」「トランスフォーメーション」「サプライチェーン」「モノづくり」に分かれて、それぞれの技術をピーアールしている。
そして会場の中心には「ビジネスマッチングエリア」として打ち合わせスペースが設けられている。
また会場での出展以外にも、企業のニーズ・事業課題を事前に把握できるオンラインコミュニケーションツール「Meet-up Box」も用意され、スタートアップ企業214社、事業会社332件(ともに9月16日時点)が登録しているという。
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ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024のビジネスマッチングエリア
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オープンな雰囲気の商談スペースが設けられたジャパンモビリティショー ビズウィーク2024
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カーボンニュートラルをテーマにしたスタートアップの出展エリア
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トランスフォーメーションをテーマにしたスタートアップの出展エリア
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サプライチェーンをテーマにしたスタートアップの出展エリア
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モノづくりをテーマにしたスタートアップの出展エリア
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日本自動車部品工業会の会員企業の出展エリア
自動車メーカーや事業会社も色とりどり
日本自動車工業会の企業、出展企業のブースも並び、それぞれがモビリティを中心とした課題解決のためのソリューションの展示や解説を行っている。
ここでは自動車メーカーのブースや一部の事業会社の展示ブースをご紹介しよう。
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トヨタが燃料電池自動車(FCEV)開発で培った技術を活用し、人の手で運ぶことができるサイズに小型・軽量化した「ポータブル水素カートリッジ」の展示ブース。ポータブル電源や水素を使った調理器具など、水素を安全なエネルギーとして多様な生活シーンで活用できるように開発が進められている。
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BEVの車載電池をリユースするために、トヨタが開発した大容量スイープ蓄電システムの展示ブース。性能や劣化、容量の差が大きかったり形状が異なる使用済みバッテリーを混合した状態で蓄電、使用することができるシステム。スイープ機能とは、直列に繋いだ各電池の通電と非通電(バイパス)をマイクロ秒で切り替えることで、充放電量を任意に制御することができる
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日産ブースでは、バッテリーを蓄電池として充放電制御を行う日産独自のエネルギーマネジメントを活用したサービス「ニッサンエナジーシェア」、日産の車両データを活用し、ビジネスの効率化に貢献する法人向けサービス「Nissan Biz Connect API」、子どもの車内置き去り事故を防止する機能「マダイルヨ」の展示を行っている
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ホンダブースでは、独自の車輪機構「Honda Omni Traction Drive System(オムニ トラクション ドライブ システム)」とバランス制御技術を採用し、着座型で両手が自由に使えるパーソナルモビリティ「UNI-ONE」と、さまざまなタイプの自転車を電動アシスト化・コネクテッド化することができる、日本初というスマートフォンアプリと自転車に取り付ける電動アシストユニットで構成される「SmaChari」を搭載した電動アシスト自転車「RAIL DISC-e」を展示している
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マツダは2023年のジャパンモビリティショーでも人気だった2/3スケールのロードスターや、「2030VISION」、「ひと中心」の思想や研究開発を紹介するパネルの展示などを通じて、新しい仲間づくりの場となるブースを展開している
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スバルは、what3wordsやアイサイト×AIなど革新的なアイデアを生み出す「SUBARU Lab(スバル ラボ)」を紹介する「SUBARU Lab Zone」と、従来のカーナビでは出てこない特別なドライブコースを提案する新体験ドライブアプリ「SUBAROAD」を紹介する「Drive-Community Zone」で、スバルの新たな「価値づくり」をアピールしている
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三菱自動車は、三菱商事株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社と3社で共同設立した新会社が運営する、BEVに関する情報・サービスを集約し課題解決やスムーズなBEV化を目指すオンラインプラットフォーム「EVNION(イブニオン)」や、博報堂と協業し「自然と生きる力を、取り戻す」をコンセプトとしてアウトドアに特化した複合的なサービスを提供する「NOYAMA」、電動車のコネクティッド技術を活用して充電制御を行う日本初のスマート充電サービス、アウトランダーPHEVの使用済み電池を活用した自律型街路灯のモックアップ、ゼンリンらと協業した電動車の走行・充電データと地図情報を活用した「EV行動分析レポート」など、盛りだくさんの展示を行っている
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スズキのブースでは、水素燃料電池(FC)荷役運搬車(写真奥)と電動パーソナル/マルチユースモビリティ「SUZU-RIDE/SUZU-CARGO」(写真手前)の展示と合わせて、スズキが開発中の燃料電池の事業アイデアや新たなモビリティを活用した協業先の募集などを行っている
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ダイハツブースでは、「地域が抱える課題に対する研究開発」のパネルを展示。自動運転やカメラ付ウェアラブルによる「移動の困りごと解決の支援」、自動運転技術を活用した自動誘導型搬送車(AGV)による「人手不足の解決の支援」、軽コンテナやDXサービスを活用する「地域の関係人口増加・人流創出」、「持続可能な社会を目指したエネルギーの地産地消」などを説明している
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三菱ふそうトラック・バスは、2024年10月1日より開始し、脱炭素社会の実現に向けてBEVを取り巻くすべての人、モノ、コトをつなぐプラットフォーム「EVNION PLACE(イブニオンプレイス)」のサービスを説明するブースを展開する
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いすゞやUDトラックなどいすゞグループブースでは、いすゞグループが創造していく未来の姿である「ISUZUの未来社会マップ」や、レベル4の自動運転へのロードマップ「自動運転ソリューション」、商用車情報基盤(GATEX)を活用した「コネクテッドサービス」商用車バリューチェーン「カーボンニュートラルソリューション」の3つの柱となるテーマについてのブースを出展している
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タイヤに関する顧客の使用条件に合わせた最適な提案や提供を行うTPP(トータルパッケージプラン)を説明するブリヂストンの展示ブース
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特殊車両を手掛けるトノックスは、東京工業大学と産学連携で開発した自動搬送ロボット「TRAT(型式:TX-UGV01)」を展示
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工具のデジタル化によりボルト締結や各種測定に関連する課題解決を実現するTRASASシリーズとソフトを展示するKTCのブース
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ADB(Adaptive Driving Beam:ハイビーム可変ヘッドランプ)普及に向けたバリエーション展開・高精細ADBなどを展示する小糸製作所のブース
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オフグリッド型(自立電源(ソーラーパネル+蓄電池)や自立通信(衛星インターネット)を装備し、災害対応も可能な形式)モビリティを手掛けるオフグリッドフィールドと竹中工務店のブース
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都市型小型EV「Ride Roid Lean3」を展示するリーンモビリティのブース
初のビジネスマッチング特化のイベントとして10月18日(金)まで開催される「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」。CEATECとともに事前登録すれば入場が無料となるため、導入が期待されるテクノロジーや課題解決のための各企業のアプローチなど、未来に向けたさまざまな取り組みを体験してみてはいかがだろうか。
(GAZOO編集部 山崎)
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