楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催

  • 防災ファミリーフェスの電光掲示

2024年9月28日~29日、茨城県のトヨタ販売店7社とトヨタモビリティパーツ茨城支社が運営する「茨城ワクドキクラブ」の主催による「防災ファミリーフェスbyそなラボ」が、茨城県水戸市にあるアダストリアみとアリーナで開催された。

今年で3回目を迎える防災ファミリーフェスは、お子様向けのさまざまなアトラクションが用意され、楽しみながら子供も大人も防災について学べるイベントして年々拡大している。
トヨタ販売店が関わっているイベントというとクルマの展示や顧客の囲い込みが目的に感じる方も多いかもしれない。だがこのイベントにはほとんどトヨタ色がなく、展示の一部としてトヨタ車が使用されているものの、販売店のノボリやノベルティの配布など行われていない。まるで自治体が実施している防災イベントのように感じるほどだ。

このイベントを主催する「一般社団法人茨城ワクドキクラブ」が設立された目的や活動については先日掲載した記事をご覧いただきたいが、この記事では防災ファミリーフェスを通じて、茨城ワクドキクラブが目指す社会貢献活動への想いをご紹介していこう。

子どもが楽しめるアトラクションや体験が盛りだくさん

  • 「防災ファミリーフェスbyそなラボ」の会場の様子

    「防災ファミリーフェスbyそなラボ」の会場の様子

今年の防災ファミリーフェスは、土日の2日間でそれぞれ午前の部、午後の部と分かれ、事前の登録制でイベントが行われている。これは来場者が午前の早い時間に押し寄せないようにという配慮があるという。
そのため、会場内も混雑せずに小さいお子様でもゆったりと楽しめる雰囲気がとても好印象だ。
(ただし、人気のアトラクションはそれぞれの部の早い時間で予約がいっぱいになってしまっていた)

会場は大きく3つに分かれており、どのエリアでも来場したお子さんの笑顔にあふれていたのが印象的だ。
・お子さんがアトラクションで遊んで楽しめるエリア
・外の駐車場を使った警察、消防、救急、JAFなどの車両展示、乗り込み体験のエリア
・防災を体験しながら学べるエリア

まずはアトラクションの様子と外の会場の様子を写真でお届けしよう。

防災に役立つ展示や体験も盛りだくさん

もちろん「防災ファミリーフェス」というイベントであるため、防災への意識を高められる展示や体験コンテンツも充実していた。

水戸市の防災・危機管理課による防災の展示では、簡易的な避難スペースや段ボールベッドを体験できたり、仮設トイレの展示では排泄物の処理方法のデモンストレーションも行われていた。
また水戸市の備蓄や非常持出バッグも紹介されるなど、いざというときの取り組みを分かりやすく説明してくれていた。

それ以外にも、新聞紙でつくるスリッパの体験や普段から役立つロープワーク、災害時の防災マイマップづくりなど、体験しながら防災意識を高めるコンテンツもあった。

  • 避難用の簡易ファミリールーム
  • 避難用の簡易ファミリールームと段ボールベッド

水戸市の防災展示の模擬避難所体験ブースでは、ファミリータイプの簡易ルームや段ボールベッドの体験ができた

防災ファミリーフェスを運営するのはトヨタ販売店の社員

この防災ファミリーフェスを主催する「茨城ワクドキクラブ」は、茨城県の全トヨタ販売店7社とトヨタモビリティパーツ茨城支社が加盟し運営を行っている。
クルマのファンづくりのための活動はもちろん、近年では社会貢献活動にも力を入れているが、そうしたイベントを運営するのは、加盟するトヨタ販売店の社員のみなさんだという。

今回も60人程度の販売店の社員の方が運営にあたっているというが、「茨城ワクドキクラブ」の活動に対してどのような想いを持っているのだろうか。会場で3名の方にお話を伺ったので、その活動や想いをご紹介しよう。

  • ネッツトヨタ水戸 商品企画グループ 安藤寛高さん

    ネッツトヨタ水戸 商品企画グループ 安藤寛高さん

まずお話を伺ったネッツトヨタ水戸の安藤寛高さんは、店舗の営業から現在は本部に移り自社のファンづくりに向けた業務を行っているという。
そのファンづくりの活動において、「茨城ワクドキクラブ」のコンテンツやツテを活用し、次につながる店舗イベントを実施していきたいという。

「これまではイベントをやってそれで満足していたところがありましたが、単発で終わるのではなく次のイベントにも来ていただいたり、もちろん店舗での販売にも繋げられるようなことを見据えてイベントをやっていこうという考え方に会社がなってきています。

茨城ワクドキクラブの活動は目的がしっかりしているので、それを参考にして誰に何を伝えたいのか明確にしたうえでイベントを行うようにしています。例えば、これまではお子様向けやファミリー向けというイベントが多かったのですが、最近は高齢者の方向けだったり、現在ガソリン車にお乗りの方にハイブリッド車を訴求するなどといったターゲットを絞り込んだイベントを企画したりしています」

安藤さんはこの防災ファミリーフェスでタイヤボーリングのエリアを担当し、お子さんが倒すボーリングのピンを笑顔で直しているのが印象的だったが、その想いを次のように語ってくれた。
「もちろんベースには防災の啓発というのがありますが、『楽しかった』と思ってもらわないと防災についての印象も残らないと思うので、まずはお子さんに楽しんでもらうのが大事だと思います」

  • ネッツトヨタ茨城 車両部 U-carグループ 主任 後藤栞里さん

    ネッツトヨタ茨城 車両部 U-carグループ 主任 後藤栞里さん

次にお話を伺ったのはネッツトヨタ茨城の後藤栞里さんだ。以前は茨城ワクドキクラブの販売店側の窓口を務める実行委員会の経験もある後藤さん。現在は中古車を扱うグループに所属しその担当からは外れているというが、この防災ファミリーフェスにスタッフとして参加してとても勉強になっているという。

「会社の方針として、若いファミリー層を取り入れたいということがあり、お子さんたちに何が受けるか、こういうふうにやると人が集まるんだというところはけっこう勉強になりますよね」

実際に店舗でも防災のイベントなどを実施した経験があるものの、最初は「自社でこうしたイベントを開催することは全く現実的とは思えませんでした」という。だが茨城ワクドキクラブのノウハウを活用することで無事にイベントも開催でき、今後も機会があれば茨城ワクドキクラブの活動に参加したいという。

  • トヨタカローラ南茨城 新車部 業務課 次長 加藤木弘司さん

    トヨタカローラ南茨城 新車部 業務課 次長 加藤木弘司さん

もうお一方、トヨタカローラ南茨城の加藤木弘司さんにもお話を伺った。加藤木さんは茨城ワクドキクラブの創設時から実行委員会を担当しており、この防災ファミリーフェスのようなイベントにも多数の参加経験を持っている。

トヨタカローラ南茨城でも茨城ワクドキクラブのノウハウを活用し、さまざまな自社イベントを実施しているというが、そうしたイベントを行うことはとても価値があることだという。

「店長や営業スタッフと違い、サービス部門のスタッフは整備や車検、特別な修理であればお客様へのご説明はしますが、それ以外ではお客様に関わる機会はあまりありません。そこで、店舗でのイベントがあると、お客様とコミュニケーションする機会が生まれることで、お客様との接し方が成長しています。そして茨城県下の販売店は全社的にそういう傾向があるだろうなという風には思っています」

現実としては、店舗の体制や規模などがさまざまであり店舗イベントを全社的に実施するのは難しい。また各社の社内のポータルサイトなどで告知が行われているというが、まだ茨城ワクドキクラブの想いが全部の販売店の社員に届いているとは言えない状況もあるいという。
だが、各社とも茨城ワクドキクラブやそのノウハウは、自社でのイベント展開のしやすさ、そしてイベントを通じたお客様の誘引など、とてもありがたいと感じているようだ。

中学生が職業体験でスタッフとして参加

実はこの防災ファミリーフェスでは、中学生の職業体験も行われていた。自ら参加を希望した生徒は、それぞれのコンテンツに割り振られていたが、それぞれが「お手伝い」というわけではなくそのコンテンツを任され、自らお子さんはもちろん大人の来場者ともコミュニケーションをとっている姿が印象的だった。

これも、普段から販売店スタッフによる職業体験や中学校への出張授業を行っている茨城ワクドキクラブらしさを象徴する一つだろう。

  • タイヤボーリングブースの生徒
  • 的当てゲームブースの生徒
  • ロープワークブースの生徒
  • ソープボックスカーブースの生徒
  • 防災マイマップ作りブースの生徒
  • 防災ファミリーフェスに参加した生徒たち

今回ご紹介した防災ファミリーフェスのように茨城ワクドキクラブを通じて、販売店が手を取り合うことで大々的にクルマ好きを増やすためのイベント、地域を盛り上げるための社会貢献イベントを行えることは、茨城ワクドキクラブの発足前から茨城県トヨタ会の幡谷浩史会長を中心に各社の代表が定期的に会合を開き活発にコミュニケーションが取られてきたことが大きいという。

だたそれ以上に、茨城ワクドキクラブの発足から10年が経ち、さらに活動を継続していることは、各販売店にもその活動の成果がフィードバックされているからなのだろう。
引き続き活動を続けていくことで、茨城ワクドキクラブのイベントがきっかけでクルマ好きなる人は増えていくだろうし、そうした子供たちが親となることでさらに次の世代に想いがつながっていく、そんなイメージを取材しながら感じることができた。

(文:GAZOO編集部 山崎 写真:GAZOO編集部)