【WEC 第1戦】決着は残り13分、トヨタ8号車 中嶋一貴組が勝利…ポルシェ勢が2-3位
世界耐久選手権(WEC)開幕戦の決勝レースが現地16日、英国シルバーストン・サーキットで行なわれ、トヨタの中嶋一貴組(8号車)がポルシェとの接戦を制して優勝を飾った。トヨタの優勝は昨季富士戦以来。
雨が時折絡むシルバーストンらしい微妙さを伴った天候推移下での今季オープニングレースには、全クラス総計27台が出場。トヨタ対ポルシェのLMP1-Hマシンによる今季頂上対決の第1章は、セーフティカー導入タイミングの影響等もあり、最終的には6時間レースの残り13分ほどでのコース上のオーバーテイクで決着がつくという接戦になった。
最後のピットインでタイヤを換えなかった#2 ポルシェ「919ハイブリッド」(T. ベルンハルト&E. バンバー&B. ハートレー)が、先にラストピットを終えていた#8 トヨタ「TS050ハイブリッド」(中嶋一貴&S. ブエミ&A. デビッドソン)を逆転、首位に浮上してコース復帰したのが残り30分の時点だった。
そこから#8 トヨタのブエミが猛追を敢行し(#8は最後のピットでタイヤを換えていた)、約8秒あった差をグングン詰める。そして残り13分を切ったところで#2 ポルシェをパスすることに成功、#8 トヨタがシーズン初戦を劇的に制した。
優勝した#8 中嶋一貴のコメント
「アンソニー(デビッドソン)、セバスチャン(ブエミ)とともに勝ち取ったこの勝利を本当に嬉しく思います。2015年に彼らとのトリオを組んで初めての勝利だから、なおさらです。やっと勝てたという気分です。決勝レースは降雨やセーフティカーの導入など不測の事態があり、予想以上に困難でした。我々はTS050ハイブリッドに満足していましたが、ライバルのペースも良く、厳しい戦いを強いられました。最後はセバスチャンが素晴らしい走りを見せてくれました。我々は彼を信じていましたが、最後は本当にエキサイティングでしたね」
2位は#2 ポルシェ。3位にも#1 ポルシェ919ハイブリッド(N. ジャニ&A. ロッテラー&N. タンディ)が続き、ポルシェは2-3フィニッシュ。ポール発進だった#7 トヨタTS050ハイブリッド(小林可夢偉&M. コンウェイ&J-M. ロペス)はレース中盤、ロペスのドライブ中にコースアウト~クラッシュがあり、ピット帰還後に長時間の修復を受けてコース復帰、総合23位(クラス4位)だった。
トヨタの勝利は昨年の富士戦以来。幸先良い勝利には違いない。だが、7号車の残念な展開と“対ポルシェの内容面”を考えた場合、喜んでばかりはいられない開幕勝利ともいえそうだ。
マシンの空力パッケージに関して、ライバルのポルシェは開幕戦にロー・ダウンフォース(DF)仕様で臨んできた。現在のシルバーストンのコース特性を考えれば、一般的にはハイDF仕様が適しており、トヨタはそちらで戦った。
ポルシェが“奇策”を用いてきた理由が、ローDF仕様で戦う6月のルマン重視のためなのか、あるいはシーズン中盤までハイDF仕様の開発を継続するためなのか、そのあたりの真相は分からない。ただ、これも一概には言えないながら、今回のレースに関してトヨタは有利な条件を得ていたはずだ。実際、予選では先制の1-2グリッド占拠を演じても見せた。
ところが、決勝では結局のところ接戦となってしまった。トヨタ陣営も、決勝の展開を「異なる空力仕様で臨んだライバルに思わぬ苦戦を強いられることとなった」と自評。敗れたポルシェ側は、開幕戦決勝の結果と内容を「期待以上の強さ」と自己分析している。
勝ったことはトヨタにとってなにより重要で価値も高いが、思わぬ苦戦だっただけでなく、#7が前半からリヤサスペンションのトラブルを抱えての走りとなるなどの芳しくない状況も今回はあった。やはりルマン初制覇と3年ぶりのシリーズタイトル奪還に向けての道は平坦でないことがあらためてハッキリした、緊張感一層高まる開幕戦でもあったといえよう。
第2戦スパ・フランコルシャン6時間(ベルギー、5月6日決勝)では国本雄資らの9号車も戦列に加わり、トヨタは3台体制で第3戦ルマン24時間(フランス、6月17~18日決勝)を目指す。両陣営の戦いは、ここからさらにヒートアップしていくことになる。
なお、もうひとつのメーカートップバトルであるLMGTE-Proクラスでは、#67 フォードGT(A. プリオール&H. ティンクネル&L. デラーニ)がフェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンを破って開幕戦勝利を達成。またLMGTE-Amクラスでは、日本人ドライバーの澤圭太が乗り組む#61 フェラーリ488GTE(W. モク&澤&M. グリフィン)が優勝を飾っている。
(レスポンス 遠藤俊幸)
雨が時折絡むシルバーストンらしい微妙さを伴った天候推移下での今季オープニングレースには、全クラス総計27台が出場。トヨタ対ポルシェのLMP1-Hマシンによる今季頂上対決の第1章は、セーフティカー導入タイミングの影響等もあり、最終的には6時間レースの残り13分ほどでのコース上のオーバーテイクで決着がつくという接戦になった。
最後のピットインでタイヤを換えなかった#2 ポルシェ「919ハイブリッド」(T. ベルンハルト&E. バンバー&B. ハートレー)が、先にラストピットを終えていた#8 トヨタ「TS050ハイブリッド」(中嶋一貴&S. ブエミ&A. デビッドソン)を逆転、首位に浮上してコース復帰したのが残り30分の時点だった。
そこから#8 トヨタのブエミが猛追を敢行し(#8は最後のピットでタイヤを換えていた)、約8秒あった差をグングン詰める。そして残り13分を切ったところで#2 ポルシェをパスすることに成功、#8 トヨタがシーズン初戦を劇的に制した。
優勝した#8 中嶋一貴のコメント
「アンソニー(デビッドソン)、セバスチャン(ブエミ)とともに勝ち取ったこの勝利を本当に嬉しく思います。2015年に彼らとのトリオを組んで初めての勝利だから、なおさらです。やっと勝てたという気分です。決勝レースは降雨やセーフティカーの導入など不測の事態があり、予想以上に困難でした。我々はTS050ハイブリッドに満足していましたが、ライバルのペースも良く、厳しい戦いを強いられました。最後はセバスチャンが素晴らしい走りを見せてくれました。我々は彼を信じていましたが、最後は本当にエキサイティングでしたね」
2位は#2 ポルシェ。3位にも#1 ポルシェ919ハイブリッド(N. ジャニ&A. ロッテラー&N. タンディ)が続き、ポルシェは2-3フィニッシュ。ポール発進だった#7 トヨタTS050ハイブリッド(小林可夢偉&M. コンウェイ&J-M. ロペス)はレース中盤、ロペスのドライブ中にコースアウト~クラッシュがあり、ピット帰還後に長時間の修復を受けてコース復帰、総合23位(クラス4位)だった。
トヨタの勝利は昨年の富士戦以来。幸先良い勝利には違いない。だが、7号車の残念な展開と“対ポルシェの内容面”を考えた場合、喜んでばかりはいられない開幕勝利ともいえそうだ。
マシンの空力パッケージに関して、ライバルのポルシェは開幕戦にロー・ダウンフォース(DF)仕様で臨んできた。現在のシルバーストンのコース特性を考えれば、一般的にはハイDF仕様が適しており、トヨタはそちらで戦った。
ポルシェが“奇策”を用いてきた理由が、ローDF仕様で戦う6月のルマン重視のためなのか、あるいはシーズン中盤までハイDF仕様の開発を継続するためなのか、そのあたりの真相は分からない。ただ、これも一概には言えないながら、今回のレースに関してトヨタは有利な条件を得ていたはずだ。実際、予選では先制の1-2グリッド占拠を演じても見せた。
ところが、決勝では結局のところ接戦となってしまった。トヨタ陣営も、決勝の展開を「異なる空力仕様で臨んだライバルに思わぬ苦戦を強いられることとなった」と自評。敗れたポルシェ側は、開幕戦決勝の結果と内容を「期待以上の強さ」と自己分析している。
勝ったことはトヨタにとってなにより重要で価値も高いが、思わぬ苦戦だっただけでなく、#7が前半からリヤサスペンションのトラブルを抱えての走りとなるなどの芳しくない状況も今回はあった。やはりルマン初制覇と3年ぶりのシリーズタイトル奪還に向けての道は平坦でないことがあらためてハッキリした、緊張感一層高まる開幕戦でもあったといえよう。
第2戦スパ・フランコルシャン6時間(ベルギー、5月6日決勝)では国本雄資らの9号車も戦列に加わり、トヨタは3台体制で第3戦ルマン24時間(フランス、6月17~18日決勝)を目指す。両陣営の戦いは、ここからさらにヒートアップしていくことになる。
なお、もうひとつのメーカートップバトルであるLMGTE-Proクラスでは、#67 フォードGT(A. プリオール&H. ティンクネル&L. デラーニ)がフェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンを破って開幕戦勝利を達成。またLMGTE-Amクラスでは、日本人ドライバーの澤圭太が乗り組む#61 フェラーリ488GTE(W. モク&澤&M. グリフィン)が優勝を飾っている。
(レスポンス 遠藤俊幸)
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