トヨタ クラウン 新型、秋山チーフエンジニア「外観一本化で保守的イメージ脱却」

発表イベント
トヨタ自動車は6月26日、『クラウン』を5年半ぶりに全面改良し、発売した。先代までマジェスタ、ロイヤル、アスリートと顧客層に応じて3つのタイプが設定されていたが、15代目となる新型クラウンは、スポーティな外観に一本化された。

秋山晃チーフエンジニア(CE)は「これまでショーファーユースの『マジェスタ』、法人ユースの『ロイヤル』、そしてパーソナル向けには『アスリート』と、違う価値観のラインアップを揃えてきたが、これこそがクラウンの保守的なイメージを脱却できない一因と考えた」と、一本化した背景を明かす。

秋山CEは14代目の開発にも携わっており、「クラウンは14代目でかなりチャレンジしたつもりだった。デザインのイメージも大きく変えて、アスリートも稲妻グリルといわれて、かなりチャレンジした。さらにピンクや空色、若草色など、いろんなことをやって若返りを狙った」ものの、「残念ながらクラウンのお客様の中でグルグル回っていただけで、外のお客様が来てくれなかった」との反省がある。

「これは非常に残念だったので、買ってくれなかったお客様の意見をずっと伺ってきた。そうすると『クラウンはタクシーでしょ』、『パトカーでしょ』、『法人のクルマでしょ』、『パーソナルに私が乗るクルマではない』という意見がものすごく多かった」と秋山CEは振り返る。

そこで「クラウンをひとつにして『ザ・クラウン』ということで、スポーティでエレガントなセダンに変えていこうと決めた」というわけだ。

その結果、15代目では「クラウン初となる6ライトウィンドーを採用し、タイヤを70mm前出しすることにより、サイドシルエットは今までにない伸びやかで流麗なフォルムを実現した。フロントはセンターの水平な押し出しとタイヤに巻き付くフェンダーの造形を用いて、従来の分厚く威圧的な顔を改め、ワイド&ローの引き締まった表情とした。リアコンビランプはヘッドランプと同じモチーフを用いシャープでエレガントな雰囲気を醸成している」と、秋山CEは解説する。

このように15代目クラウンは、「スポーティでエレガントなセダン」に一本化することで、先代までの「保守的なイメージを脱却」を目指したわけだが、そこで気になるのがクラウンの主要ユーザーである法人客の反応だ。

「クラウンの中でロイヤルからアスリートに流れるお客様がたくさんいて、すでに全体の60%がアスリートになっている。法人ユースもアスリート化されていて、今や時代はパーソナルも法人ユースもない。格好良くてスポーティなセダンを法人で使っても何ら問題ないということから、ひとつにまとめて造り込んだ」と、秋山CEは自信を示していた。

(レスポンス 小松哲也)

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