批判もバネに、「ドルガバ」をまとった新型 クラウン の挑戦…清水和夫
サッカーのW杯が終わって、なんだか寂しい気がする。前評判は高くなかったが、大健闘したサムライ・ニッポンのキャプテンを努めた長谷部選手が帰国後のインタビューで語った言葉が印象的だった。
「無関心なファンが怖かったです。予選を勝ち残るにはあまりにも厳しい組み合わせだったので、決勝に行ける確率は数%もないと厳しい意見がありましたが、実はその厳しさが私たち選手を奮い立たせたのです」
なるほど。批判をバネにしたことで、あの感動を生み出したのだ。
そのW杯開催中、日本代表がグループリーグでセネガル代表と戦った日に、トヨタの事実上のフラッグシップとなる『クラウン』の新型が発表された。
事前に、レクサス『LC』・『LS』のプラットフォームを使うということを知らされていたため、走りへの期待は持っていたが、スタイリングまで刷新して登場した新型クラウンは、想像以上に変貌を遂げていた。
それでも、クラウンといえば、これまで高齢者の高級車と認識されてきた。そこでユーザーの平均年齢を若返させるのが、新型のコンセプト。その若返り作戦の第一弾は一新したスタイリングだ。オッサン臭い保守的でオーソドックスな3ボックススタイルを捨て、4ドアクーペ風のリアスタイルをデザインしたことで、サイドビューは4ドアクーペ風のスタイルに大変身。特に、見事に若返ったクールなリアデザインを見ると、まさかこれがクラウンだとは思わないだろう。バックミラーに映るフロントマスクは紛れもないクラウン顔ではあるが、ダボダボスーツからドルガバ(ドルチェ&ガッバーナ)を纏ったクラウンは、若返りに成功したといえよう。
大きく変わったのはデザインだけではない。走りはFRの醍醐味を感じるほどセクシー。最上級の3.5リットルハイブリッドは、私でも「やり過ぎ」と思うほどホットな走りを披露する。常識的には2.5リットルのハイブリッドが主力だろうが、意外にも2リットルターボ(8速トルコンAT)も魅力的だ。
新型で15代目となるクラウン。トヨタの屋台骨を支えてきた、伝統的なモデルゆえに、時代の変化についていくのが大変なようだが、チーフエンジニアの秋山さんとは、先代モデル登場時に激論を交わしたことがある。その時、芯の強いエンジニアと、頑固一徹のトークバトルはドローに終わった気でいるが、批判がバネになるという長谷部選手の言葉を思い出した。
多くの人の意見を受け入れながら、現状新しいチャレンジを続けた結果が出て、新型クラウンの好調なセールスを続けると聞くと、老若男女、クルマ好きもそうでない人も、新型クラウンには無関心ではいられなかったようである。
清水和夫|国際自動車ジャーナリスト
1977年武蔵工業大学電子通信工学卒
1981年からプロのレースドライバーに転向
1988年本格的なジャーナリスト活動開始
日本自動車ジャーナリスト協会会員(AJAJ)
日本科学技術ジャーナリスト会議 会員(JASTJ)
NHK出版「クルマ安全学」「水素燃料電池とはなにか」「ITSの思想」「ディーゼルは地球を救う」など
NEXCO東道路懇談委員・継続中
国土交通省車両安全対策委員・継続中
国家公安委員会速度取締り見なおし検討委員
内閣府SIP自動走行推進委員・継続中
経済産業省・国土交通省 自動走行ビジネス検討会委員
HFCV用容器検討委員会
(レスポンス 清水和夫)
「無関心なファンが怖かったです。予選を勝ち残るにはあまりにも厳しい組み合わせだったので、決勝に行ける確率は数%もないと厳しい意見がありましたが、実はその厳しさが私たち選手を奮い立たせたのです」
なるほど。批判をバネにしたことで、あの感動を生み出したのだ。
そのW杯開催中、日本代表がグループリーグでセネガル代表と戦った日に、トヨタの事実上のフラッグシップとなる『クラウン』の新型が発表された。
事前に、レクサス『LC』・『LS』のプラットフォームを使うということを知らされていたため、走りへの期待は持っていたが、スタイリングまで刷新して登場した新型クラウンは、想像以上に変貌を遂げていた。
それでも、クラウンといえば、これまで高齢者の高級車と認識されてきた。そこでユーザーの平均年齢を若返させるのが、新型のコンセプト。その若返り作戦の第一弾は一新したスタイリングだ。オッサン臭い保守的でオーソドックスな3ボックススタイルを捨て、4ドアクーペ風のリアスタイルをデザインしたことで、サイドビューは4ドアクーペ風のスタイルに大変身。特に、見事に若返ったクールなリアデザインを見ると、まさかこれがクラウンだとは思わないだろう。バックミラーに映るフロントマスクは紛れもないクラウン顔ではあるが、ダボダボスーツからドルガバ(ドルチェ&ガッバーナ)を纏ったクラウンは、若返りに成功したといえよう。
大きく変わったのはデザインだけではない。走りはFRの醍醐味を感じるほどセクシー。最上級の3.5リットルハイブリッドは、私でも「やり過ぎ」と思うほどホットな走りを披露する。常識的には2.5リットルのハイブリッドが主力だろうが、意外にも2リットルターボ(8速トルコンAT)も魅力的だ。
新型で15代目となるクラウン。トヨタの屋台骨を支えてきた、伝統的なモデルゆえに、時代の変化についていくのが大変なようだが、チーフエンジニアの秋山さんとは、先代モデル登場時に激論を交わしたことがある。その時、芯の強いエンジニアと、頑固一徹のトークバトルはドローに終わった気でいるが、批判がバネになるという長谷部選手の言葉を思い出した。
多くの人の意見を受け入れながら、現状新しいチャレンジを続けた結果が出て、新型クラウンの好調なセールスを続けると聞くと、老若男女、クルマ好きもそうでない人も、新型クラウンには無関心ではいられなかったようである。
清水和夫|国際自動車ジャーナリスト
1977年武蔵工業大学電子通信工学卒
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日本科学技術ジャーナリスト会議 会員(JASTJ)
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