【WRC 第10戦】トルコで1-2フィニッシュ、トヨタ3連勝で今季4勝目…マニュファクチャラー王座争い首位に浮上

WRC第10戦トルコ、優勝はトヨタの#8 タナク組。
世界ラリー選手権(WRC)第10戦「ラリートルコ(Rally Turkey)」が現地13~16日に開催され、トヨタが1-2フィニッシュで3連勝、今季4勝目を飾った。優勝ドライバーはオット・タナクで、同じく3連勝の今季4勝目。トヨタは“メーカー王座”争いのポイント首位に浮上している。

8年ぶりとされるWRC開催を迎えたトルコ。以前とは異なる場所で開催されるグラベル(未舗装路)ラリーが、今季WRC全13戦中第10戦の舞台である。トヨタのワークスチーム(TOYOTA GAZOO Racing WRT)は今回も3台の「ヤリスWRC」をスタンバイし、#7 ヤリ-マティ・ラトバラ、#8 オット・タナク、#9 エサペッカ・ラッピの布陣で戦いに臨んだ。

このラリーでは、勝負ごとにおける“流れ”、この得体の知れない何かの存在がまざまざと感じられることになった。上位を走る他陣営のマシンが次々とアクシデントやトラブルに見舞われていき、気がつけば最終日を前に目下2連勝中の#8 タナクが首位、#7 ラトバラが2位と、トヨタの1-2態勢になっていた(#9 ラッピはリタイア)。

最終日、#8 タナクと#7 ラトバラは1-2を保ってゴールを迎え、トヨタは昨年のワークス復帰以降では初の1-2フィニッシュを達成。トミ・マキネン チーム代表は「今週もまた、素晴らしい週末になりました。最後まで集中力を絶やさず、まったくミスをしなかったオット(タナク)とヤリ-マティ(ラトバラ)に感謝します」と喜びを語っている。

また、チーム総代表である豊田章男トヨタ社長は「どのマシンも終始万全ということはありませんでしたが、ドライバーやコ・ドライバーたちはトラブルを補うよう運転に神経を使ってサービスにクルマを戻し、エンジニア、メカニックとともに改善して、再び道に戻る、その繰り返しで到達したゴールです。努力した全てのチームメイトを誇りに思います」とコメントしている。

#8 オット・タナクのコメント
「本当に難しいラリーだった。最初の時点で、『このラリーで勝つためには速さよりも賢さが必要だ』と確信したよ。そして我々は誰よりも安定した走りをしていたと思うし、ラリー全体を通して(致命的な)トラブルとは無縁で、ステージ上で止まるようなこともなかったからね。チームの素晴らしい努力が実を結び、本当に強いクルマに仕上がったと思う。これでドライバーズタイトル争いに関しても可能性がさらに広がった。このままプッシュし続けるつもりだ」

タナクが言うように、残り3戦、タイトル争いは風雲急な様相となってきている。

まず、ドライバーズタイトル争いだが、今季これまでは#5 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)と#1 セバスチャン・オジェ(フォード・フィエスタWRC)の争いだったところに、#8 タナクが割り込んできた。

今回“トップ2”は波乱に飲み込まれ、#5 ヌービルが16位(0点)、#1 オジェが10位(1点)に終わった。最終パワーステージで#5 ヌービルが5点、#1 オジェが4点を加え、ともにトルコでは計5点ずつを得たわけだが、いわば足踏み状態だ。そこで28点(25点+3点)を稼いだ#8 タナクが間に入り、#5 ヌービル/177点、#8 タナク/164点、#1 オジェ/154点という状況に変化している。

さらにマニュファクチャラーズ(チーム)タイトル争いでは、ついにトヨタ(TOYOTA GAZOO RACING WRT)がトップに立ち284点、ヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS WRT)を5点リードすることとなった。

次戦第11戦は英国へ転戦、「ウェールズ ラリーGB」が10月4~7日に開催される。トヨタがこのまま勢いに乗って押し切るのかどうか、伝統の英国戦最大の焦点はそこに尽きる。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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