【WRC 第11戦】王者オジェが久々の優勝…トヨタは連勝が3でストップも2-3位、メーカー王座争いのリードを拡大

WRC英国戦、優勝はMスポーツのフォード・フィエスタを駆るオジェ(中央左)。中央はMスポーツを率いるM.ウィルソン、右はコ・ドライバーのJ.イングラシア。トヨタ勢が2-3位。
世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ウェールズ ラリーGB」が現地4~7日に開催され、前年王者のセバスチャン・オジェ(フォード・フィエスタWRC)が7戦ぶりの今季4勝目をあげた。トヨタ勢は4連勝ならずも2-3位、メーカー部門のランク首位を守り、リードを拡大している。

グラベル(非舗装路)が主体の英国戦、TOYOTA GAZOO Racing WRTの「ヤリスWRC」はこのところの好調を持続し、競技2日目の金曜を終えた段階では1-3-4と上位寡占状態をつくった。しかし土曜、自身4連勝に向けてトップを快走していた#8 オット・タナクがデイリタイアを喫してしまう(原因はラジエターの破損)。

これで首位に立ったのが#1 オジェ。2番手に上がったトヨタの#7 ヤリ-マティ・ラトバラとの戦いをしのぎきって、オジェは第4戦フランス以来7戦ぶりの優勝を飾る。オジェは「タフな戦いだった。トヨタはとても強かったからね」と振り返りつつ、久しぶりの勝利を喜んだ。

#1 オジェはドライバーズポイントランキングで3位から2位に浮上。今回のラリーで5位だったポイントリーダー #5 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)に7点差と迫っている。自身6連覇の可能性が再び現実味を帯びてきた(なお、オジェは現在所属するMスポーツ/フォードから来季はシトロエンに移籍することを発表済み)。

一方、トヨタの#8 タナクは最終日に再出走し、今回のラリーを入賞圏外の19位で終えた。独立したポイントが与えられるパワーステージ(今回は最終ステージではなかった)で4点を獲得するにとどまり、ランク2位から3位へと後退。優勝していればランク首位浮上の公算が高かっただけに無念の度合いは大きい。そして残り2戦で21点差、これは小さくない。タナクも「状況はかなり厳しくなった」と語る。だが、それでも「決して簡単ではないけれど、最後まであきらめることなくタイトルに挑み続ける」と、目下WRC最速といってもいい男は望みを捨てずにチャレンジを続ける決意を示している。

先頭を走っていた#8 タナクの脱落は痛かったトヨタ。しかし、その後も#7 ラトバラが最終日に一時はトップに立つ局面もあるなど、勝利の可能性は最後まであった。最終的には#1 オジェとの接戦に敗れ、#7 ラトバラは2位、トヨタの連勝は3でストップ。とはいえ、#7 ラトバラに続いて#9 エサペッカ・ラッピが3位に入り、これでトヨタは4戦連続のダブル表彰台である。マニュファクチャラー(チーム)部門のランキング首位をキープし、2位のヒュンダイに対するリードを20点へと拡大した。

トヨタのチーム代表 トミ・マキネンは以下のコメントで今回の英国戦を総括している。

「今日(最終日)、ヤリ-マティ(ラトバラ)は素晴らしい戦いをし、力を出し切って走りました。ただし、今回に関してはオジェの方が一枚上手だったようです。それでも、今回もまた我々の2台が表彰台に立てたことはとても嬉しく、マニュファクチャラー選手権においても大きなプラスとなりました」

「もちろん土曜日のオット(タナク)のトラブルは残念です。ドライバーズタイトルの獲得が少し難しくなったことも否めません。しかし、まだ大量得点の可能性はありますし、オットは現在最強のドライバーですので、状況が大きく変わる可能性もあります。最終戦オーストラリアまで、チャンスは充分にあると思っています」

2018年のWRCも残すは2戦。ラスト前の第12戦スペインは今月25~28日に、最終戦である第13戦オーストラリアは11月15~18日に、それぞれ開催される。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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