テイン モノレーシング 試乗、街乗りからサーキットまで幅広いシチュエーションに対応する車高調ダンパー
スポーツダンパーの製造・販売を行うテインから、新作のダンパー「モノレーシング」ダンパーが登場した。「モノレーシング」は、「スーパーレーシング」と「モノスポーツ」の中間に位置するかなりスポーツ性の高いモデルだ。
基本構造はモノチューブ全長調整式の正立構造。スポーツダンパーは倒立構造としてストラット剛性を稼ぐことが多いが、「モノレーシングダンパー」は正立構造で剛性を稼ぐために3層構造のストロングチューブを採用する。正立構造としたことで減衰力調整を上部から行うことが可能となり、EDFCの装着も楽にできるようになった。
ストラットタイプはピロアッパーマウントを採用。アッパー側でキャンバーとキャスターのアジャストを可能としているほか、ロアブラケット側でもキャンバー調整を可能としている。製品はダンパーとスプリングのセットで、購入時にはセットとなっているスプリングを上下2kg/mmの範囲で無料変更可能となっている。つまり10kg/mmのスプリングがセットとなっている場合、8~12kg/mmの範囲で好きなレートのスプリングが選べるというわけだ。
◆サーキット試乗、走りはどう変わる?
試乗は埼玉県の本庄サーキットで行われた。試乗車として用意されたのはホンダ『シビックタイプR』、スズキ『スイフトスポーツ』、トヨタ『86』の3台。
まずはシビックタイプRで走り始めた。フロントストラット、リヤマルチリンクのタイプRは「モノレーシング」との相性がいい。1.4トンにもなる現行タイプRはサーキットを走るとフロントサスの負担が大きくなる。ブレーキングでフロント荷重となった状態でステアしていく際にストラットが受け止めなくてはならない応力は相当なものとなる。「モノレーシング」の装着によって、フロントまわりの剛性がアップ。全体としてまとまり感のある走りを実現していると言える。ボディがしっかりしているタイプRだけにピロアッパーマウントを介してストロングチューブのダンパーを付けてもそれがしっかり動くのだ。しかも装着されていたタイヤはブリヂストンの「ポテンザ RE-71R」だ。このセットをキッチリと使いこなせるダンパーであるという部分がすごい。
同じFFのスイフトスポーツも基本的なフィーリングは同様だ。スイフトの場合はストックのフロントキャンバーが-0.5度なのに対し、-5度とかなりきつめのキャンバー角が付けられていた。ステアリングの切り始めからグッとインを向くターンインの鋭さは気持ちのいい走りだ。シビックタイプRのリヤサスがマルチリンクなのに対し、スイフトはトーションビーム式となる。またホイールベースも短いので、リヤが粘ってグリップしていくというタイプではない。第2ヘアピンダッシュ時に左→右と切り返す場面で、ブレーキをちょん掛けするとフロントがキュッと向いてくれる。このときにそのまま破綻するのではなく、しっかりリヤのグリップが回復しコーナーをクリアできる。細かいコーナーを軽快に走っていけるタイプのセッティングだった。
FRのトヨタ86もフロントはストラットだ。FFにくらべてその負担は少ないが、やはりサスペンション剛性のアップは効果が大きく、走りの洗練さが増している。FRらしい素直なハンドリングがより正確になった印象で、基本的な動きの部分に無駄がない。試乗車は前後ともに10kg/mmとストックに比べるとかなり高めのレートのスプリングを装着していた。この効果は大きくタイヤをしっかりと押しつけているので、グリップはアップしている。コーナリングが終了する前にアクセルオンするとリヤスライドが始まりトラクションがかからないが、コーナリングが終わってからのトラクションのかかり具合はしっかりしている。
3車ともに車内からダンパーの減衰力を変更できる「EDFCアクティブプロ」が装着されいていた。EDFCアクティブプロの場合、基準の減衰力を設定し、そこからコーナーリングやブレーキングなどの姿勢変化に合わせて減衰力が変わる。細かいセッティングも可能なのだが、試乗時はわかりやすいように強弱のみが変更できるようになっていた。走りがいいフィーリングになったのは、駆動輪を硬く、非駆動輪を柔らかくした状態だった。ただ、これは乗り方や前後の車高バランス、コース特性などによって変わるものだ。
◆中間モデルながら抑えた価格設定
「モノレーシング」の予価はマツダ『ロードスター』の17万円~、トヨタ86の20万5000円といった幅。モノスポーツが15~17万円、スーパーレーシングが30万円といった価格設定なので、中間モデルと言ってもかなりモノスポーツよりの価格設定となっているところがうれしい。また、先述のようにスプリングレートを選べることに加えて、購入時ならば減衰力の設定変更を1万1000円~1万2000円程度(1本あたり)でできるサービスも実施。より自由なセッティングが選べるようになっている。
ハイレートスプリングにハイダンピングフォースのダンパーを組み合わせる「モノレーシング」ダンパーだが、意外なほどに乗り心地はいい。もちろんノーマルのような乗り心地を得ることはできないが、街乗りでも十分に耐えうる乗り心地だ。とくにEDFCシリーズと組み合わせれば、車内から減衰力の変更も可能となるので、さらに快適性は向上する。街乗りから峠、そしてサーキットまでをカバーするという「モノレーシング」のコンセプトは上手に具現化されていると言っていい。
(レスポンス 諸星陽一)
基本構造はモノチューブ全長調整式の正立構造。スポーツダンパーは倒立構造としてストラット剛性を稼ぐことが多いが、「モノレーシングダンパー」は正立構造で剛性を稼ぐために3層構造のストロングチューブを採用する。正立構造としたことで減衰力調整を上部から行うことが可能となり、EDFCの装着も楽にできるようになった。
ストラットタイプはピロアッパーマウントを採用。アッパー側でキャンバーとキャスターのアジャストを可能としているほか、ロアブラケット側でもキャンバー調整を可能としている。製品はダンパーとスプリングのセットで、購入時にはセットとなっているスプリングを上下2kg/mmの範囲で無料変更可能となっている。つまり10kg/mmのスプリングがセットとなっている場合、8~12kg/mmの範囲で好きなレートのスプリングが選べるというわけだ。
◆サーキット試乗、走りはどう変わる?
試乗は埼玉県の本庄サーキットで行われた。試乗車として用意されたのはホンダ『シビックタイプR』、スズキ『スイフトスポーツ』、トヨタ『86』の3台。
まずはシビックタイプRで走り始めた。フロントストラット、リヤマルチリンクのタイプRは「モノレーシング」との相性がいい。1.4トンにもなる現行タイプRはサーキットを走るとフロントサスの負担が大きくなる。ブレーキングでフロント荷重となった状態でステアしていく際にストラットが受け止めなくてはならない応力は相当なものとなる。「モノレーシング」の装着によって、フロントまわりの剛性がアップ。全体としてまとまり感のある走りを実現していると言える。ボディがしっかりしているタイプRだけにピロアッパーマウントを介してストロングチューブのダンパーを付けてもそれがしっかり動くのだ。しかも装着されていたタイヤはブリヂストンの「ポテンザ RE-71R」だ。このセットをキッチリと使いこなせるダンパーであるという部分がすごい。
同じFFのスイフトスポーツも基本的なフィーリングは同様だ。スイフトの場合はストックのフロントキャンバーが-0.5度なのに対し、-5度とかなりきつめのキャンバー角が付けられていた。ステアリングの切り始めからグッとインを向くターンインの鋭さは気持ちのいい走りだ。シビックタイプRのリヤサスがマルチリンクなのに対し、スイフトはトーションビーム式となる。またホイールベースも短いので、リヤが粘ってグリップしていくというタイプではない。第2ヘアピンダッシュ時に左→右と切り返す場面で、ブレーキをちょん掛けするとフロントがキュッと向いてくれる。このときにそのまま破綻するのではなく、しっかりリヤのグリップが回復しコーナーをクリアできる。細かいコーナーを軽快に走っていけるタイプのセッティングだった。
FRのトヨタ86もフロントはストラットだ。FFにくらべてその負担は少ないが、やはりサスペンション剛性のアップは効果が大きく、走りの洗練さが増している。FRらしい素直なハンドリングがより正確になった印象で、基本的な動きの部分に無駄がない。試乗車は前後ともに10kg/mmとストックに比べるとかなり高めのレートのスプリングを装着していた。この効果は大きくタイヤをしっかりと押しつけているので、グリップはアップしている。コーナリングが終了する前にアクセルオンするとリヤスライドが始まりトラクションがかからないが、コーナリングが終わってからのトラクションのかかり具合はしっかりしている。
3車ともに車内からダンパーの減衰力を変更できる「EDFCアクティブプロ」が装着されいていた。EDFCアクティブプロの場合、基準の減衰力を設定し、そこからコーナーリングやブレーキングなどの姿勢変化に合わせて減衰力が変わる。細かいセッティングも可能なのだが、試乗時はわかりやすいように強弱のみが変更できるようになっていた。走りがいいフィーリングになったのは、駆動輪を硬く、非駆動輪を柔らかくした状態だった。ただ、これは乗り方や前後の車高バランス、コース特性などによって変わるものだ。
◆中間モデルながら抑えた価格設定
「モノレーシング」の予価はマツダ『ロードスター』の17万円~、トヨタ86の20万5000円といった幅。モノスポーツが15~17万円、スーパーレーシングが30万円といった価格設定なので、中間モデルと言ってもかなりモノスポーツよりの価格設定となっているところがうれしい。また、先述のようにスプリングレートを選べることに加えて、購入時ならば減衰力の設定変更を1万1000円~1万2000円程度(1本あたり)でできるサービスも実施。より自由なセッティングが選べるようになっている。
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