【WEC 18/19第7戦】雪も降ったスパ戦で中嶋一貴組が勝利…トヨタのチーム王座獲得決定、日本人初王者誕生も確定的に
世界耐久選手権(WEC)2018/2019シーズン第7戦「スパ・フランコルシャン6時間」の決勝レースが現地4日に行なわれ、LMP1クラスのトヨタ8号車 中嶋一貴組が優勝、最終戦を前にトヨタのチーム王座獲得が決まった。
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)のLMP1マシン「TS050 Hybrid」2台は、開幕戦以来シーズン2度目となるスパ・フランコルシャン(ベルギー)戦に臨んだ。今回のレースは“スパウェザー”という形容でも知られる同地の変わりやすい天候の真骨頂を見るような展開になる。晴れ間もあるのに、雪や「ひょう」まで降るという多彩な天候変化が参戦各車を翻弄していった。
そのなかで中嶋一貴&F.アロンソ&S.ブエミのトヨタ8号車が優勝。これでトヨタは1-2ゴール後にダブル失格した第3戦以外はすべて優勝で、シーズン6勝目となった。8号車は2連勝で4勝目。トヨタは最終戦のルマン24時間レースを待たずにWEC(LMP1部門)チームタイトルの獲得を決定した。
しかしながらトヨタにとっては残念な一面を含むレースでもあった。ポール発進だった小林可夢偉&M.コンウェイ&J-M.ロペスの7号車はレース中盤の首位走行中に突然のセンサートラブルに見舞われてガレージイン、ここで大きく後退してしまうことに。そこから追い上げるも、総合6位(クラス6位)という結果にとどまり、トヨタは今季初めて1-2ゴールを逃すこととなっている。
優勝した中嶋一貴のコメント
「目まぐるしく激変する天候に翻弄されたレースでした。7号車の不運もあって我々が優勝することができ、そこは申し訳なく思っています。何度も困難な場面に直面したことは、次のルマンに臨むための試練だと考えています。今回のひとつの目標だったチームタイトルを決めることができて、ささやかながらお祝いをすることができました。でも次戦に、最大目標のルマン連覇とトライバーズチャンピオン獲得の大仕事が待っています。それがどれだけ困難なものかは、誰よりも心得ているつもりです」
LMP部門ドライバーズタイトル争いに関しても(以下はすべて手元計算に基づく)最終戦を前にトヨタ勢2台(2組)以外からは数字的な可能性が消え、トヨタの2014年シーズン以来“4季ぶり”ということになる2冠制覇が決定した。
8号車と7号車の決着は6月の最終戦ルマン24時間に持ち越されたが、8号車には一貴、7号車には可夢偉がいるので、不測の事態で彼らが欠場したりしない限りは、どちらかが日本人選手として初めてと見られる“サーキットレースにおけるFIA選手権の最高位世界チャンピオン”の座に就くことも確定している。
最終戦を前にしたトップ8号車と追う7号車のポイント差は31点(160対129)。ルマンは決勝得点が通常の5割増で、優勝なら38点(2位27点)、他にポールポジションの1点もあるので最大39点を獲得できるが、7号車 可夢偉組からは自力逆転の可能性が消滅している。
LMP部門のドライバーズポイントはLMP1とLMP2の両クラスを総合した順位に基づき、優勝が逆転戴冠の最低条件となった7号車がポール・トゥ・ウインした場合でも、8号車はルマンで決勝7位なら9ポイント入って逃げ切れる計算だ。リタイアもしくはそれに近い苦境に陥らない限りは一貴とアロンソ、ブエミのドライバーズタイトル獲得が濃厚となっている。
とはいえ、トヨタは今季、8号車と7号車にはかなりの部分まで『レースをさせている』ので、まだまだ予断は許さないだろう。昨年のルマン(18/19シーズン第2戦)では8号車が勝っているが、だからといって『今年は7号車優勝、8号車はしっかり王座獲得』というような想定で最初から動くとも思えない。8号車のクルーとしても当然ルマン連覇という大きな勲章を狙いたいと思うので、シーズン最後もトヨタ同門対決は熱い展開になるはずだ。上記の一貴のコメント然り、アロンソも「ルマン連覇とドライバーズタイトル獲得に向けて全力を尽くしたい」と語っている。
都合1年半の長きに及ぶWEC18/19シーズンの最終戦(第8戦)、2019年ルマン24時間レースは6月15~16日を決勝日程として開催される。
なお、今回のスパ戦を前にTOYOTA GAZOO Racing(TGR)はアロンソが今季(2018/2019シーズン)限りでWEC-LMP1チームからは離脱すると発表した。今年9月1日決勝の英シルバーストン戦で開幕する2019/2020シーズンは既存5名に加えて、2017年までポルシェのWEC-LMP1チームで戦い、2018年はF1トロロッソ・ホンダで走っていたブレンドン・ハートレーを起用することも明らかにしている(ドライバー編成は未定)。
アロンソは「TGRとともに新たなモータースポーツの世界にチャレンジしていきたい」とコメント、元F1王者の近未来の活動に注目が集まる(来季スープラでSUPER GT参戦の可能性も?)。また、アロンソはTGRとは別の活動として、今年5月26日決勝の第103回インディ500にシボレーエンジン搭載車で参戦することが決まっており、ここで勝てばF1モナコGP、ルマン24時間と併せて世界3大レース制覇達成となる。
(レスポンス 遠藤俊幸)
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)のLMP1マシン「TS050 Hybrid」2台は、開幕戦以来シーズン2度目となるスパ・フランコルシャン(ベルギー)戦に臨んだ。今回のレースは“スパウェザー”という形容でも知られる同地の変わりやすい天候の真骨頂を見るような展開になる。晴れ間もあるのに、雪や「ひょう」まで降るという多彩な天候変化が参戦各車を翻弄していった。
そのなかで中嶋一貴&F.アロンソ&S.ブエミのトヨタ8号車が優勝。これでトヨタは1-2ゴール後にダブル失格した第3戦以外はすべて優勝で、シーズン6勝目となった。8号車は2連勝で4勝目。トヨタは最終戦のルマン24時間レースを待たずにWEC(LMP1部門)チームタイトルの獲得を決定した。
しかしながらトヨタにとっては残念な一面を含むレースでもあった。ポール発進だった小林可夢偉&M.コンウェイ&J-M.ロペスの7号車はレース中盤の首位走行中に突然のセンサートラブルに見舞われてガレージイン、ここで大きく後退してしまうことに。そこから追い上げるも、総合6位(クラス6位)という結果にとどまり、トヨタは今季初めて1-2ゴールを逃すこととなっている。
優勝した中嶋一貴のコメント
「目まぐるしく激変する天候に翻弄されたレースでした。7号車の不運もあって我々が優勝することができ、そこは申し訳なく思っています。何度も困難な場面に直面したことは、次のルマンに臨むための試練だと考えています。今回のひとつの目標だったチームタイトルを決めることができて、ささやかながらお祝いをすることができました。でも次戦に、最大目標のルマン連覇とトライバーズチャンピオン獲得の大仕事が待っています。それがどれだけ困難なものかは、誰よりも心得ているつもりです」
LMP部門ドライバーズタイトル争いに関しても(以下はすべて手元計算に基づく)最終戦を前にトヨタ勢2台(2組)以外からは数字的な可能性が消え、トヨタの2014年シーズン以来“4季ぶり”ということになる2冠制覇が決定した。
8号車と7号車の決着は6月の最終戦ルマン24時間に持ち越されたが、8号車には一貴、7号車には可夢偉がいるので、不測の事態で彼らが欠場したりしない限りは、どちらかが日本人選手として初めてと見られる“サーキットレースにおけるFIA選手権の最高位世界チャンピオン”の座に就くことも確定している。
最終戦を前にしたトップ8号車と追う7号車のポイント差は31点(160対129)。ルマンは決勝得点が通常の5割増で、優勝なら38点(2位27点)、他にポールポジションの1点もあるので最大39点を獲得できるが、7号車 可夢偉組からは自力逆転の可能性が消滅している。
LMP部門のドライバーズポイントはLMP1とLMP2の両クラスを総合した順位に基づき、優勝が逆転戴冠の最低条件となった7号車がポール・トゥ・ウインした場合でも、8号車はルマンで決勝7位なら9ポイント入って逃げ切れる計算だ。リタイアもしくはそれに近い苦境に陥らない限りは一貴とアロンソ、ブエミのドライバーズタイトル獲得が濃厚となっている。
とはいえ、トヨタは今季、8号車と7号車にはかなりの部分まで『レースをさせている』ので、まだまだ予断は許さないだろう。昨年のルマン(18/19シーズン第2戦)では8号車が勝っているが、だからといって『今年は7号車優勝、8号車はしっかり王座獲得』というような想定で最初から動くとも思えない。8号車のクルーとしても当然ルマン連覇という大きな勲章を狙いたいと思うので、シーズン最後もトヨタ同門対決は熱い展開になるはずだ。上記の一貴のコメント然り、アロンソも「ルマン連覇とドライバーズタイトル獲得に向けて全力を尽くしたい」と語っている。
都合1年半の長きに及ぶWEC18/19シーズンの最終戦(第8戦)、2019年ルマン24時間レースは6月15~16日を決勝日程として開催される。
なお、今回のスパ戦を前にTOYOTA GAZOO Racing(TGR)はアロンソが今季(2018/2019シーズン)限りでWEC-LMP1チームからは離脱すると発表した。今年9月1日決勝の英シルバーストン戦で開幕する2019/2020シーズンは既存5名に加えて、2017年までポルシェのWEC-LMP1チームで戦い、2018年はF1トロロッソ・ホンダで走っていたブレンドン・ハートレーを起用することも明らかにしている(ドライバー編成は未定)。
アロンソは「TGRとともに新たなモータースポーツの世界にチャレンジしていきたい」とコメント、元F1王者の近未来の活動に注目が集まる(来季スープラでSUPER GT参戦の可能性も?)。また、アロンソはTGRとは別の活動として、今年5月26日決勝の第103回インディ500にシボレーエンジン搭載車で参戦することが決まっており、ここで勝てばF1モナコGP、ルマン24時間と併せて世界3大レース制覇達成となる。
(レスポンス 遠藤俊幸)
最新ニュース
-
-
純正から卒業! オリジナル感を極めるホイール交換完全ガイド~Weeklyメンテナンス~
2024.11.28
-
-
-
「能ある鷹感がいい」ワゴン専用になったVW『パサート』、デザイン、実用性にSNS注目
2024.11.28
-
-
-
激レア車が集結!オーテック湘南里帰りミーティング2024レポート
2024.11.28
-
-
-
キャンピングカーベースの王者『デュカト』、EV版がマイチェンで航続424kmに 商用でも存在感
2024.11.27
-
-
-
日産がEVオーナー5000人に「EV乗り換え後調査」、87%が満足「静かな車内で会話が増えた」
2024.11.27
-
-
-
トヨタ、「GRハイラックス」6台体制でダカールラリー2025に挑む
2024.11.27
-
-
-
ヤマハ、「EVのF1」フォーミュラE初参戦へ「できる限り早く表彰台に」 12月7日開幕
2024.11.27
-
最新ニュース
-
-
純正から卒業! オリジナル感を極めるホイール交換完全ガイド~Weeklyメンテナンス~
2024.11.28
-
-
-
激レア車が集結!オーテック湘南里帰りミーティング2024レポート
2024.11.28
-
-
-
「能ある鷹感がいい」ワゴン専用になったVW『パサート』、デザイン、実用性にSNS注目
2024.11.28
-
-
-
キャンピングカーベースの王者『デュカト』、EV版がマイチェンで航続424kmに 商用でも存在感
2024.11.27
-
-
-
日産がEVオーナー5000人に「EV乗り換え後調査」、87%が満足「静かな車内で会話が増えた」
2024.11.27
-
-
-
アウディ、新型クーペSUV『Q5スポーツバック』発表、「MHEVプラス」で燃費追求
2024.11.27
-
MORIZO on the Road