【ルマン24時間】トヨタ“悲喜交々”の2年連続1-2…中嶋一貴組が連覇で王座も獲得、可夢偉組は残り1時間でまさかの首位陥落
2019年のルマン24時間レースが日本時間の16日22時に終了し、トヨタが2年連続となる総合1-2でのゴールを果たした。先頭は8号車で、中嶋一貴ら3人は2年連続のルマン勝利、WEC王座も獲得。小林可夢偉らの7号車は残り1時間でスロー走行があるなどして、首位から陥落している。
(*本稿はすべてゴール時の順位、状況、手元計算等に基づくもの。のちに発表される正式リザルトとは異なる点が生じる可能性もある)
第87回ルマン24時間レースの決勝(現地午後3時にスタート/ゴール)は、夜を迎える前に一時的な雨が降る場面もあったが、ほぼドライコンディションに恵まれ続ける流れとなった。LMP1クラスで戦うトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)の「TS050 HYBRID」2台は、24時間レースという尺度で見ればトラブルらしいトラブルやアクシデントがないまま、約23時間経過まで戦っていた。
予選でタイム的に接近してきたLMP1クラスのノンハイブリッド勢に背後を脅かされることもなかったトヨタ勢は、同門でルマン総合優勝を争った。7号車の小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ-マリア・ロペス組と8号車の中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミ組の戦いは、セーフティカー導入やフルコースイエロー等の外乱要素による運、不運で差が縮まったり開いたり、それが首位交代につながったり、あるいはコース上で順位が入れかわることもありはしたが、概ね7号車が主導権を握っての推移に。
レース終盤、ジリジリとトップ2の差が開いていく。ほぼ2分以内だった8号車の遅れが、残り4~3時間頃には2分以上になる。勝負あったかと思われた。しかし、残り1時間前後のところで、トップ7号車に悲劇が起きる。
7号車(ロペス)は予定外と見られる早いタイミングでピットイン、スローパンクチャーでもあったのだろうか、右前だけタイヤ交換してコース復帰する。しかし翌周、スローダウンしてしまうことに。もう一度ピットへと向かう7号車を、ピットロード入口近くで8号車(一貴)がパスして首位に立つ。
7号車は今度は4輪交換したと見られる模様、そしてコース復帰する。この段階でトップ8号車との差は約1分。その後は7号車も通常のペースで走り、さらにはロペスがスパートに転じて8号車を追うが、勝利の栄光は2年連続で8号車の頭上に輝くこととなった(残り30~20分の最終ルーティンピットを8号車が先に行なったため、7号車が見た目の首位になる場面はあったが、残り約1時間での出来事以降、実質のトップは常に8号車だった)。
7号車を襲った状況の詳細は現段階で不明だが、トヨタ陣営にとっては2年連続1-2なのに、どこか喜びきれないゴールになってしまったことだろう。なにより、可夢偉、コンウェイ、ロペスには辛い結果(2年連続2位)である。
ちなみにフランスのルマンで7号車が悲劇に直面したのは日本時間の16日21時前後だが、その少し前にはイタリアのサルディニア島で開催されていた世界ラリー選手権(WRC)第8戦で、優勝目前だったトヨタのオット・タナクが最終ステージでスロー走行、ラリーの総合順位を5位まで落としてフィニッシュするという逸勝劇が起きていた。トヨタにとっては国際的な規模での悪夢の数十分間であった(ルマンの1-2は逃していないが……)。
トヨタは昨年の初制覇に続く2年連続のルマン総合優勝、2年連続の1-2達成。今年のルマンは世界耐久選手権(WEC)の2018/2019シーズン最終戦でもあり、トヨタはチーム、ドライバーの両部門タイトル獲得をルマン前に決めていたが、やはり同門対決の状況だったLMPドライバーズチャンピオンの座も8号車トリオが獲得することとなった(7号車ルマン優勝の場合でも8号車の戴冠が濃厚だった)。一貴とアロンソはこのタイトルの獲得は初、ブエミは2014年シーズン以来2度目。
FIA(世界自動車連盟)の名が冠された、実車のサーキットレースシリーズの世界選手権タイトルを日本人選手が獲得したのは一貴が初めてと見られる。ラリーでは新井敏弘が2005年と2007年に当時の「プロダクションカー世界ラリー選手権」(PWRC)のタイトルを獲得しているが、PWRCはWRCのクラスタイトル的な位置付けにあったので、カテゴリー最高位のFIA世界タイトル獲得という意味でも、一貴は日本勢初ということになるだろう。
トヨタ勢の公式コメント等は追って掲載する。
(レスポンス 遠藤俊幸)
(*本稿はすべてゴール時の順位、状況、手元計算等に基づくもの。のちに発表される正式リザルトとは異なる点が生じる可能性もある)
第87回ルマン24時間レースの決勝(現地午後3時にスタート/ゴール)は、夜を迎える前に一時的な雨が降る場面もあったが、ほぼドライコンディションに恵まれ続ける流れとなった。LMP1クラスで戦うトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)の「TS050 HYBRID」2台は、24時間レースという尺度で見ればトラブルらしいトラブルやアクシデントがないまま、約23時間経過まで戦っていた。
予選でタイム的に接近してきたLMP1クラスのノンハイブリッド勢に背後を脅かされることもなかったトヨタ勢は、同門でルマン総合優勝を争った。7号車の小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ-マリア・ロペス組と8号車の中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミ組の戦いは、セーフティカー導入やフルコースイエロー等の外乱要素による運、不運で差が縮まったり開いたり、それが首位交代につながったり、あるいはコース上で順位が入れかわることもありはしたが、概ね7号車が主導権を握っての推移に。
レース終盤、ジリジリとトップ2の差が開いていく。ほぼ2分以内だった8号車の遅れが、残り4~3時間頃には2分以上になる。勝負あったかと思われた。しかし、残り1時間前後のところで、トップ7号車に悲劇が起きる。
7号車(ロペス)は予定外と見られる早いタイミングでピットイン、スローパンクチャーでもあったのだろうか、右前だけタイヤ交換してコース復帰する。しかし翌周、スローダウンしてしまうことに。もう一度ピットへと向かう7号車を、ピットロード入口近くで8号車(一貴)がパスして首位に立つ。
7号車は今度は4輪交換したと見られる模様、そしてコース復帰する。この段階でトップ8号車との差は約1分。その後は7号車も通常のペースで走り、さらにはロペスがスパートに転じて8号車を追うが、勝利の栄光は2年連続で8号車の頭上に輝くこととなった(残り30~20分の最終ルーティンピットを8号車が先に行なったため、7号車が見た目の首位になる場面はあったが、残り約1時間での出来事以降、実質のトップは常に8号車だった)。
7号車を襲った状況の詳細は現段階で不明だが、トヨタ陣営にとっては2年連続1-2なのに、どこか喜びきれないゴールになってしまったことだろう。なにより、可夢偉、コンウェイ、ロペスには辛い結果(2年連続2位)である。
ちなみにフランスのルマンで7号車が悲劇に直面したのは日本時間の16日21時前後だが、その少し前にはイタリアのサルディニア島で開催されていた世界ラリー選手権(WRC)第8戦で、優勝目前だったトヨタのオット・タナクが最終ステージでスロー走行、ラリーの総合順位を5位まで落としてフィニッシュするという逸勝劇が起きていた。トヨタにとっては国際的な規模での悪夢の数十分間であった(ルマンの1-2は逃していないが……)。
トヨタは昨年の初制覇に続く2年連続のルマン総合優勝、2年連続の1-2達成。今年のルマンは世界耐久選手権(WEC)の2018/2019シーズン最終戦でもあり、トヨタはチーム、ドライバーの両部門タイトル獲得をルマン前に決めていたが、やはり同門対決の状況だったLMPドライバーズチャンピオンの座も8号車トリオが獲得することとなった(7号車ルマン優勝の場合でも8号車の戴冠が濃厚だった)。一貴とアロンソはこのタイトルの獲得は初、ブエミは2014年シーズン以来2度目。
FIA(世界自動車連盟)の名が冠された、実車のサーキットレースシリーズの世界選手権タイトルを日本人選手が獲得したのは一貴が初めてと見られる。ラリーでは新井敏弘が2005年と2007年に当時の「プロダクションカー世界ラリー選手権」(PWRC)のタイトルを獲得しているが、PWRCはWRCのクラスタイトル的な位置付けにあったので、カテゴリー最高位のFIA世界タイトル獲得という意味でも、一貴は日本勢初ということになるだろう。
トヨタ勢の公式コメント等は追って掲載する。
(レスポンス 遠藤俊幸)
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