【WRC 第8戦】トヨタのタナク、最終ステージのステア系トラブルで3連勝を逃す…ヒュンダイのソルドが優勝
世界ラリー選手権(WRC)第8戦イタリアが現地16日に終了、3連勝目前だったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が最終ステージでステアリング系トラブルに見舞われ失速、5位に終わる波乱の幕切れとなった。勝ったのはヒュンダイのダニ・ソルドで、自身6年ぶりの優勝。
サルディニア島でのグラベル(未舗装路)ラリーは、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)の#8 オット・タナクが土曜(15日)に全スペシャルステージ首位タイムで総合トップに浮上。そして競技最終日(16日の日曜)、トップの座をほぼ確固たるものにして最終ステージに向かったのだが、そこにまさかの展開が待っていた。
#8 タナクのマシンはステアリング系トラブルを発症し、スロー走行に陥る。ステージ首位が5分弱で走ったところを、#8 タナクは7分以上かかって走破、ラリー総合の順位は5位まで落ちることに。目前の3連勝、シーズン4勝目が雲散霧消する暗転の結末に、フィニッシュ直後、タナクはコクピットでうなだれるしかなかった。
#8 オット・タナクのコメント
「最終ステージをスタートしてすぐ、ステアリングに違和感を覚え、動きが硬くなる感じがした。そして走っている最中に固まり、ステアリング操作が難しくなった。それでもなんとか走り続けたが、大きくタイムを失い、勝利も逃し……」
「とてもフラストレーションを感じたが、悲しい気持ちはチームのメンバーと変わらない。全員がこのラリーのために努力をしていた。このような結果になってしまったのは本当に残念だ。チームは必ず問題を解決してくれると確信しているし、これからも戦い続ける」
チームのトミ・マキネン代表は「ラリーウイークを通して(タナクの)マシンにはパフォーマンスと信頼性がありましたが、悲しいことに最後のステージで問題が起きてしまいました。何が原因なのか、現在調査を進めています。我々は必ず復活してみせます」とコメントしている。ラリー期間中、別のヤリスにもステアリング系とされる問題が出ていたので、関連性とその対策状況がどうだったかは気になるところだが、いずれにせよ実に痛いトラブル発生だった。
チーム総代表である豊田章男トヨタ社長も、敗戦時には異例といえる公式コメントを現地発で発表している。
豊田章男社長のコメント(抜粋)
「WRC第8戦イタリアは最後の最後でとても悔しい結末を迎えてしまいました。 タナク選手と(コ・ドライバーのマルティン)ヤルヴェオヤ選手が私を再び表彰台に連れていってくれようとしていた気持ちを感じていただけに、最後のステージでのスローダウンに私も言葉を失いました」
「しかし、一番辛い思いをしているのはドライバーとコ・ドライバーだと思います。最後まで走り切らせてあげられなかったこと本当に申し訳なく思います。そして、戦いを見守っていただいたファンのみなさまにも申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「彼(タナク)がクルマから降りてきた時のやりきれなさそうな表情は忘れられません。しかしその後、彼はメカニックひとりひとりと抱き合い、チームのみんなの悔しさと向き合ってくれました。その姿に心を打たれました」
「なんとしてもオット(タナク)を、そして8号車の仲間たちをチャンピオンにしてあげたいと心の底から思いました。私に今できることは、ヤリスを“もっと強いクルマ”、そして“もっと安心して走らせ続けられるクルマ”にすることです。トミ(マキネン代表)とともに、なんとしてもやり遂げます」
今回はドライバーズポイントリーダーだった#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC)がデイリタイアを喫するなどして最終結果41位、彼の得点がパワーステージ(最終スペシャルステージ)での4点のみにとどまったため、#8 タナクはラリー総合の5位で得た10点により#1 オジェを逆転し4点差でシリーズ首位の座を得ている(タナク150点、オジェ146点)。
ただ、あのまま勝てていれば#8 タナクはもっと大きいリードで首位に立っていたので、“奪首”とはいえ、やはり手痛い敗戦の雰囲気が濃い。マニュファクチャラーズタイトル争いの面でも、ヒュンダイ勢が優勝と3位を得ることにつながってしまったわけで、トヨタにとっては本当に痛恨のトラブルだった。ヒュンダイがマニュファク部門シリーズ首位としてのリードを44点に広げている(ヒュンダイ242点、トヨタ198点)。
優勝は#6 ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペ WRC)。ソルドにとっては6年ぶり2度目のWRC優勝となった。3位にも#89 アンドレアス・ミケルセンが入り、ヒュンダイはダブル表彰台を獲得。2位は#3 テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)だった。ドライバーズタイトル争い上位の一角、ヒュンダイの#11 ティエリー・ヌービルは今回6位。ヌービルはドライバーズポイント143点で、首位タナクから7点差のランク3番手につけている。
#8 タナク以外のトヨタ勢は、#5 クリス・ミークが8位、デイリタイアがあった#10 ヤリ-マティ・ラトバラは19位でイタリア戦を終えた。また、今回はトミ・マキネン・レーシングからのエントリーで#69 ユホ・ハンニネンもヤリスWRCをドライブして参戦した(完走しておらず)。
このあと、WRCは1カ月半ほど実戦間隔を開け、次戦第9戦フィンランドは8月1~4日の開催となる。全14戦中、残すは6戦だが、ここからが実質的な意味での後半戦ということになるだろう。タイトル争いも佳境へと向かう。
なお、WRCも2022年にはハイブリッド導入実現を目指す方向性が、最近のFIAワールド・モータースポーツ・カウンシルで示されている。来年の復活初回開催を目指しているラリージャパンを含め、WRCに関しては近い将来から中長期的なところまで、様々な動きがこれから出てきそうだ。
(レスポンス 遠藤俊幸)
サルディニア島でのグラベル(未舗装路)ラリーは、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)の#8 オット・タナクが土曜(15日)に全スペシャルステージ首位タイムで総合トップに浮上。そして競技最終日(16日の日曜)、トップの座をほぼ確固たるものにして最終ステージに向かったのだが、そこにまさかの展開が待っていた。
#8 タナクのマシンはステアリング系トラブルを発症し、スロー走行に陥る。ステージ首位が5分弱で走ったところを、#8 タナクは7分以上かかって走破、ラリー総合の順位は5位まで落ちることに。目前の3連勝、シーズン4勝目が雲散霧消する暗転の結末に、フィニッシュ直後、タナクはコクピットでうなだれるしかなかった。
#8 オット・タナクのコメント
「最終ステージをスタートしてすぐ、ステアリングに違和感を覚え、動きが硬くなる感じがした。そして走っている最中に固まり、ステアリング操作が難しくなった。それでもなんとか走り続けたが、大きくタイムを失い、勝利も逃し……」
「とてもフラストレーションを感じたが、悲しい気持ちはチームのメンバーと変わらない。全員がこのラリーのために努力をしていた。このような結果になってしまったのは本当に残念だ。チームは必ず問題を解決してくれると確信しているし、これからも戦い続ける」
チームのトミ・マキネン代表は「ラリーウイークを通して(タナクの)マシンにはパフォーマンスと信頼性がありましたが、悲しいことに最後のステージで問題が起きてしまいました。何が原因なのか、現在調査を進めています。我々は必ず復活してみせます」とコメントしている。ラリー期間中、別のヤリスにもステアリング系とされる問題が出ていたので、関連性とその対策状況がどうだったかは気になるところだが、いずれにせよ実に痛いトラブル発生だった。
チーム総代表である豊田章男トヨタ社長も、敗戦時には異例といえる公式コメントを現地発で発表している。
豊田章男社長のコメント(抜粋)
「WRC第8戦イタリアは最後の最後でとても悔しい結末を迎えてしまいました。 タナク選手と(コ・ドライバーのマルティン)ヤルヴェオヤ選手が私を再び表彰台に連れていってくれようとしていた気持ちを感じていただけに、最後のステージでのスローダウンに私も言葉を失いました」
「しかし、一番辛い思いをしているのはドライバーとコ・ドライバーだと思います。最後まで走り切らせてあげられなかったこと本当に申し訳なく思います。そして、戦いを見守っていただいたファンのみなさまにも申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「彼(タナク)がクルマから降りてきた時のやりきれなさそうな表情は忘れられません。しかしその後、彼はメカニックひとりひとりと抱き合い、チームのみんなの悔しさと向き合ってくれました。その姿に心を打たれました」
「なんとしてもオット(タナク)を、そして8号車の仲間たちをチャンピオンにしてあげたいと心の底から思いました。私に今できることは、ヤリスを“もっと強いクルマ”、そして“もっと安心して走らせ続けられるクルマ”にすることです。トミ(マキネン代表)とともに、なんとしてもやり遂げます」
今回はドライバーズポイントリーダーだった#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC)がデイリタイアを喫するなどして最終結果41位、彼の得点がパワーステージ(最終スペシャルステージ)での4点のみにとどまったため、#8 タナクはラリー総合の5位で得た10点により#1 オジェを逆転し4点差でシリーズ首位の座を得ている(タナク150点、オジェ146点)。
ただ、あのまま勝てていれば#8 タナクはもっと大きいリードで首位に立っていたので、“奪首”とはいえ、やはり手痛い敗戦の雰囲気が濃い。マニュファクチャラーズタイトル争いの面でも、ヒュンダイ勢が優勝と3位を得ることにつながってしまったわけで、トヨタにとっては本当に痛恨のトラブルだった。ヒュンダイがマニュファク部門シリーズ首位としてのリードを44点に広げている(ヒュンダイ242点、トヨタ198点)。
優勝は#6 ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペ WRC)。ソルドにとっては6年ぶり2度目のWRC優勝となった。3位にも#89 アンドレアス・ミケルセンが入り、ヒュンダイはダブル表彰台を獲得。2位は#3 テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)だった。ドライバーズタイトル争い上位の一角、ヒュンダイの#11 ティエリー・ヌービルは今回6位。ヌービルはドライバーズポイント143点で、首位タナクから7点差のランク3番手につけている。
#8 タナク以外のトヨタ勢は、#5 クリス・ミークが8位、デイリタイアがあった#10 ヤリ-マティ・ラトバラは19位でイタリア戦を終えた。また、今回はトミ・マキネン・レーシングからのエントリーで#69 ユホ・ハンニネンもヤリスWRCをドライブして参戦した(完走しておらず)。
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