【ルマン24時間】2年連続優勝、世界王座獲得のトヨタ中嶋一貴…「可夢偉組との切磋琢磨を誇りに思う」
15~16日に決勝が実施された第87回ルマン24時間レース。2年連続の総合1-2フィニッシュを決めたトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)陣営からレース後のコメント等があがってきている。
まず、残り約1時間で7号車トヨタTS050(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ-マリア・ロペス)が首位から陥落することとなった連続緊急ピットインとその間のスローダウンの状況についてだが、原因は「パンクを感知したため」。一度ピットインした直後のスローダウンと再度のピットインは、ドライバーのロペスが車両に異常を感じたためだったという。
GAZOO Racingカンパニーのプレジデント、友山茂樹氏の談話には「タイヤセンサーのトラブルも重なり」とあるので、実際の状況がどうであったかには難解なところもまだ残るのだろうか。村田久武チーム代表は「近日中に今回起きたことの真の要因を突き止め、再発防止を図ります」としている。
友山氏、村田氏とも、勝利を喜び誇りを感じつつも、「喜んでばかりはいられません。『まだまだクルマもオペレーションも改善が足りない!』と、ルマンの女神が言っているのだと思います」(友山氏)、「優勝に値する活躍をした7号車のドライバーたちには大変申し訳ないことをしました。ルマン連覇を達成できましたが、気持ちは複雑です」(村田氏)と、微妙な心境を吐露している。
とはいえ、日本メーカーとして初めての2年連続ルマン総合優勝(2勝目も初)、しかも連続1-2でそれを達成したことは間違いない。8号車トヨタTS050の3選手、中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミは2年連続でルマン総合優勝クルーとなり、2018/2019シーズンの世界耐久選手権(WEC)LMPドライバーズチャンピオンにも輝いている。
#8 中嶋一貴のコメント
「今年、ルマンの(8号車の)勝利は実力というよりも運によって決まったと思っています。とても厳しいレースで、7号車に起きたことはとても信じられません。我々(トヨタ)は2016年のルマンでよく似た状況に遭遇しただけに、チームメイトの彼らがどんな気持ちなのかよく分かります。我々がルマンで勝利をあげられたこと、そして世界チャンピオンになれたのは、チームメイトである7号車と互いにしのぎを削ってきたおかげですし、彼らとスーパーシーズン(2018/2019シーズン)の長きにわたって切磋琢磨してきたことを本当に誇りに思います」
#8 フェルナンド・アロンソのコメント
「自身2度目のルマンでも勝利をあげられて最高の気分ですが、この勝利は全く予測していませんでした。今回、我々は7号車に対して勝てる速さは持っていませんでした。今回の結果は運が大きく影響しましたし、それはモータースポーツの一面でもあります。私は彼らチームメイトをチームメイト以上の友人と感じています。彼らは勝利に相応しかったですが、勝利の女神は我々を選びました。我々の(今季の)目標は世界チャンピオン獲得であり、それを達成できたことを本当に誇りに思います」
#8 セバスチャン・ブエミのコメント
「我々にとっては、世界チャンピオンがかかっているという意味でも重要なレースでした。レースのスタート時は7号車について行こうと思っていましたが、わずか5周したところでそれは無理だと分かりました。我々は諦めずに力強く戦い続けましたが、(今回は)最後まで7号車の方が速かったことは誰の目にも明らかでした。我々は2位でフィニッシュしても満足できたと思いますが、7号車に起こってしまったことは本当に残酷です。彼らは本当に素晴らしいレースをしました」
2年連続2位となった#7 小林可夢偉は「23時間まではとてもうまくいっていましたが、結果は厳しいものでした。ルマンで勝つことがどんなに難しく厳しいかを見せつけられました。これまで(自分はトヨタでルマンに)4回チャレンジしましたが、来年こそは(自身の初勝利を)実現できるように頑張り続けます」と語り、僚機8号車の勝利を讃えてもいる。
豊田章男トヨタ社長は、WRC第8戦イタリアについてのコメントのなかで、「追伸」というかたちで以下の内容を語った。
「追伸 :一貴、ゴール後に涙しながらコメントをする君の姿を(映像で)見ました。チームメイトを想う君の気持ちに感動した。ありがとう。WECのチームは本当に良いチームになってくれたなと思ったよ。可夢偉君には、また悔しい想いをさせてしまった。自分のことのように悔しい…。一貴、可夢偉、2人の気持ちをしっかりと受け止めて、もっと強いチーム、もっといいクルマを目指すことを誓う。 セブ、フェルナンド、一貴、マイク、ホセ、可夢偉、6人は本当に素晴らしいチームだったと思う。みんな、2年連続の1-2フィニッシュをありがとう!」
第87回ルマン24時間レースは61台出走、完走は49台。総合とLMP1クラスの3位はSMPレーシングの#11 BRエンジニアリングBR1-AER(V.ペトロフ/M.アレシン/S.バンドーン)だった。クラス優勝は下記の通り。
LMP2クラス:#36 アルピーヌA470-ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)
LMGTE-Proクラス:#51 フェラーリ488GTE EVO(A.ピエール-グイディ/J.カラド/D.セッラ)
LMGTE-Amクラス:#85 フォードGT(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)
(*今回のルマンでの使用タイヤはLMP2クラスがミシュランとダンロップの競合で、他のクラスはすべてミシュラン。LMP2の優勝車はミシュラン)
なお、2018/2019シーズンのWEC GTEマニュファクチャラーズタイトルはポルシェが獲得している(ルマン前に決定)。また、今回のルマンにはLMGTE-Amクラスに4名の日本勢が参戦しており、木村武史とケイ・コッツォリーノ(#57 フェラーリ)、そして石川資章(#70 フェラーリ)が完走を果たしている。星野敏が乗った#88 ポルシェはリタイア。
(*上記はレース終了後の暫定リザルトによるもの。WEC戦やルマンの結果は正式発表後にも長い時間を経て変更が加わる場合がある)
来年2020年6月の第88回ルマン24時間レースを最終戦とする、WECの2019/2020シーズンは今年9月1日決勝の英国シルバーストン戦で開幕する。なお、グッドイヤーがこのシーズンからのWEC参入を発表しており、WECはタイヤの面で新たな局面を迎えることになりそうだ。
(レスポンス 遠藤俊幸)
まず、残り約1時間で7号車トヨタTS050(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ-マリア・ロペス)が首位から陥落することとなった連続緊急ピットインとその間のスローダウンの状況についてだが、原因は「パンクを感知したため」。一度ピットインした直後のスローダウンと再度のピットインは、ドライバーのロペスが車両に異常を感じたためだったという。
GAZOO Racingカンパニーのプレジデント、友山茂樹氏の談話には「タイヤセンサーのトラブルも重なり」とあるので、実際の状況がどうであったかには難解なところもまだ残るのだろうか。村田久武チーム代表は「近日中に今回起きたことの真の要因を突き止め、再発防止を図ります」としている。
友山氏、村田氏とも、勝利を喜び誇りを感じつつも、「喜んでばかりはいられません。『まだまだクルマもオペレーションも改善が足りない!』と、ルマンの女神が言っているのだと思います」(友山氏)、「優勝に値する活躍をした7号車のドライバーたちには大変申し訳ないことをしました。ルマン連覇を達成できましたが、気持ちは複雑です」(村田氏)と、微妙な心境を吐露している。
とはいえ、日本メーカーとして初めての2年連続ルマン総合優勝(2勝目も初)、しかも連続1-2でそれを達成したことは間違いない。8号車トヨタTS050の3選手、中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミは2年連続でルマン総合優勝クルーとなり、2018/2019シーズンの世界耐久選手権(WEC)LMPドライバーズチャンピオンにも輝いている。
#8 中嶋一貴のコメント
「今年、ルマンの(8号車の)勝利は実力というよりも運によって決まったと思っています。とても厳しいレースで、7号車に起きたことはとても信じられません。我々(トヨタ)は2016年のルマンでよく似た状況に遭遇しただけに、チームメイトの彼らがどんな気持ちなのかよく分かります。我々がルマンで勝利をあげられたこと、そして世界チャンピオンになれたのは、チームメイトである7号車と互いにしのぎを削ってきたおかげですし、彼らとスーパーシーズン(2018/2019シーズン)の長きにわたって切磋琢磨してきたことを本当に誇りに思います」
#8 フェルナンド・アロンソのコメント
「自身2度目のルマンでも勝利をあげられて最高の気分ですが、この勝利は全く予測していませんでした。今回、我々は7号車に対して勝てる速さは持っていませんでした。今回の結果は運が大きく影響しましたし、それはモータースポーツの一面でもあります。私は彼らチームメイトをチームメイト以上の友人と感じています。彼らは勝利に相応しかったですが、勝利の女神は我々を選びました。我々の(今季の)目標は世界チャンピオン獲得であり、それを達成できたことを本当に誇りに思います」
#8 セバスチャン・ブエミのコメント
「我々にとっては、世界チャンピオンがかかっているという意味でも重要なレースでした。レースのスタート時は7号車について行こうと思っていましたが、わずか5周したところでそれは無理だと分かりました。我々は諦めずに力強く戦い続けましたが、(今回は)最後まで7号車の方が速かったことは誰の目にも明らかでした。我々は2位でフィニッシュしても満足できたと思いますが、7号車に起こってしまったことは本当に残酷です。彼らは本当に素晴らしいレースをしました」
2年連続2位となった#7 小林可夢偉は「23時間まではとてもうまくいっていましたが、結果は厳しいものでした。ルマンで勝つことがどんなに難しく厳しいかを見せつけられました。これまで(自分はトヨタでルマンに)4回チャレンジしましたが、来年こそは(自身の初勝利を)実現できるように頑張り続けます」と語り、僚機8号車の勝利を讃えてもいる。
豊田章男トヨタ社長は、WRC第8戦イタリアについてのコメントのなかで、「追伸」というかたちで以下の内容を語った。
「追伸 :一貴、ゴール後に涙しながらコメントをする君の姿を(映像で)見ました。チームメイトを想う君の気持ちに感動した。ありがとう。WECのチームは本当に良いチームになってくれたなと思ったよ。可夢偉君には、また悔しい想いをさせてしまった。自分のことのように悔しい…。一貴、可夢偉、2人の気持ちをしっかりと受け止めて、もっと強いチーム、もっといいクルマを目指すことを誓う。 セブ、フェルナンド、一貴、マイク、ホセ、可夢偉、6人は本当に素晴らしいチームだったと思う。みんな、2年連続の1-2フィニッシュをありがとう!」
第87回ルマン24時間レースは61台出走、完走は49台。総合とLMP1クラスの3位はSMPレーシングの#11 BRエンジニアリングBR1-AER(V.ペトロフ/M.アレシン/S.バンドーン)だった。クラス優勝は下記の通り。
LMP2クラス:#36 アルピーヌA470-ギブソン(N.ラピエール/A.ネグラオ/P.ティリエ)
LMGTE-Proクラス:#51 フェラーリ488GTE EVO(A.ピエール-グイディ/J.カラド/D.セッラ)
LMGTE-Amクラス:#85 フォードGT(B.キーティング/J.ブリークモレン/F.フラガ)
(*今回のルマンでの使用タイヤはLMP2クラスがミシュランとダンロップの競合で、他のクラスはすべてミシュラン。LMP2の優勝車はミシュラン)
なお、2018/2019シーズンのWEC GTEマニュファクチャラーズタイトルはポルシェが獲得している(ルマン前に決定)。また、今回のルマンにはLMGTE-Amクラスに4名の日本勢が参戦しており、木村武史とケイ・コッツォリーノ(#57 フェラーリ)、そして石川資章(#70 フェラーリ)が完走を果たしている。星野敏が乗った#88 ポルシェはリタイア。
(*上記はレース終了後の暫定リザルトによるもの。WEC戦やルマンの結果は正式発表後にも長い時間を経て変更が加わる場合がある)
来年2020年6月の第88回ルマン24時間レースを最終戦とする、WECの2019/2020シーズンは今年9月1日決勝の英国シルバーストン戦で開幕する。なお、グッドイヤーがこのシーズンからのWEC参入を発表しており、WECはタイヤの面で新たな局面を迎えることになりそうだ。
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