【WEC 19/20開幕戦】トヨタが1-2フィニッシュで新季の船出を飾る…優勝は可夢偉組 7号車TS050
世界耐久選手権(WEC)2019/2020シーズンの開幕戦決勝レースが、現地1日に英国シルバーストンで実施された。LMP1クラスの「トヨタTS050 HYBRID」が1-2フィニッシュ、小林可夢偉らの7号車が優勝を飾っている。
6月のルマン24時間レースで、都合1年半に及ぶ2018/2019シーズンが終わってから2カ月半。WECは早くも新シーズンの開幕を迎えた。現行WECの「シーズン8」となる2019/2020シーズンは“期間1年”、来年(20年)6月のルマンが最終戦である(全8戦の予定)。
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)がワークス参戦する最高峰クラスが「LMP1」規定であるのは今季が最後。次季となる2020/2021シーズンからはいわゆる“ハイパーカー”規定へと移行するためだ。トヨタは今季仕様となった「TS050 HYBRID」2台でLMP1最終シーズンを戦う。
#7 トヨタTS050は昨季に引き続き小林可夢偉、M.コンウェイ、J-M.ロペスのトリオがドライブ。昨季の“王車”である#8 トヨタTS050の方はF.アロンソの離脱によりB.ハートレーが加入、彼と中嶋一貴、S.ブエミという編成になった(ハートレーはかつてポルシェLMP1チーム時代に2度のWEC王座獲得経験あり)。
昨季まではルマンなど一部のレースを除き、大半のラウンドが6時間戦というフォーマットで開催されていたWECだが、今季はバリエーションが増え、開幕戦シルバーストンは決勝4時間戦に。その開幕戦へのエントリーは全4クラス合計で31台あるものの、LMP1クラスは今季もハイブリッドマシンで戦う自動車メーカーワークスがトヨタのみで、ノンハイブリッド勢を含めても出走全6台と寂しさは否めないところだ。
ハイブリッドとノンハイブリッドがなるべく近い総合戦闘力で戦えるようにするシリーズ側の調整(技術均衡化)も引き続き講じられているが、そのなかでもトヨタが予選1-2を獲得。ポールをゲットしたのは#7 可夢偉組だった。#7は予選前日の練習走行でモノコックにダメージを負い、シャシー交換して臨んだ予選日だったという。
決勝レースは中盤、一時的な雨に見舞われるシーンがあり、そこでのピットタイミング等の兼ね合いでトヨタ勢が先頭を譲る状況も見られた。序盤のフルコースイエローの際にもタイミング的に恵まれず先頭を明け渡したことはあるなどしたが、トヨタ1-2支配の構図が根本的に崩れる流れはなかったといえよう。129周を走破した#7 可夢偉組がポール・トゥ・ウインを飾り、1.9秒差の2位に#8 一貴組が続いた。
3位はレベリオン・レーシングの#3 レベリオンR13・ギブソン(N.ベルトン & P.デラーニ & L.デュバル)。トヨタに先行する場面もあった#3 レベリオンだが、ペナルティもあるなどして最終的には1周遅れだった。
優勝した#7 トヨタ 小林可夢偉のコメント
「この結果は本当に嬉しいです。完璧なシーズンスタートを切ることができました。自分自身のスティントは雨に見舞われて大変でした。降雨の時間は短いのではないかと考えてスリックタイヤのまま走り続けましたが、予想以上に雨が激しく、かつ長く降ることとなり、ピットインせざるを得ませんでしたね。8号車とは接近戦ながらフェアなバトルができましたし、チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました。この週末を通してTS050は最高の仕上がりでしたし、ペースも良かったので、次戦の富士も楽しみです」
諸事情鑑みた場合、昨季ほどのトヨタ2台による完全圧倒にまではならないという見方もある今季だが、世界王座頂上決戦に関しては、やはり7号車と8号車のトヨタ同門一騎打ちの構図となる公算が高い。そして両車はやはり昨季同様、リタイアを誘発しない範囲で真剣勝負を演じていくことになるのだろう。雪辱に燃える7号車トリオがまずは先制勝利を得た。
なお、今季のWECにはトヨタ系の新進気鋭でスーパーフォーミュラやSUPER GTで活躍中の山下健太(24歳)がLMP2クラスに参戦というトピックもある。
近い将来、ハイパーカー規定時代の最高峰クラス参戦が期待される山下が今シーズン乗り組むのはハイクラスレーシングの#33 オレカ07・ギブソン。僚友はM.パターソンとA.フィヨルドバッハで、タイヤはグッドイヤーだ(開幕戦エントリーに見る今季のWECタイヤ事情は、LMP2クラスのうちの3台がグッドイヤー、その他はミシュラン)。山下は自身のWEC初戦をLMP2クラス8台中7位(完走7台)という順位で終えている。
LMGTE-Amクラスでは、日本勢の石川資章とケイ・コッツォリーノが乗るMRレーシングの#70 フェラーリ488 GTE EVO(もうひとりのドライバーはO.ベレッタ)が3位に入った。
2019/2020シーズンの第2戦は日本の富士スピードウェイが舞台。今季のLMP1には新たな「サクセスハンデキャップ」制度が次戦以降、ルマンを除き適用されることになっているため、今回1-2のトヨタにとっては“それ”との戦いも始まることになる。トヨタ同門対決に関しても、開幕戦で勝った7号車は、2位だった8号車よりも厳しいハンデでの富士臨戦になり、このあたりも興味深い要素となりそうだ。
WEC 2019/2020シーズン第2戦富士は2019年10月4~6日に開催される(決勝は従来同様の6時間戦)。
(レスポンス 遠藤俊幸)
6月のルマン24時間レースで、都合1年半に及ぶ2018/2019シーズンが終わってから2カ月半。WECは早くも新シーズンの開幕を迎えた。現行WECの「シーズン8」となる2019/2020シーズンは“期間1年”、来年(20年)6月のルマンが最終戦である(全8戦の予定)。
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)がワークス参戦する最高峰クラスが「LMP1」規定であるのは今季が最後。次季となる2020/2021シーズンからはいわゆる“ハイパーカー”規定へと移行するためだ。トヨタは今季仕様となった「TS050 HYBRID」2台でLMP1最終シーズンを戦う。
#7 トヨタTS050は昨季に引き続き小林可夢偉、M.コンウェイ、J-M.ロペスのトリオがドライブ。昨季の“王車”である#8 トヨタTS050の方はF.アロンソの離脱によりB.ハートレーが加入、彼と中嶋一貴、S.ブエミという編成になった(ハートレーはかつてポルシェLMP1チーム時代に2度のWEC王座獲得経験あり)。
昨季まではルマンなど一部のレースを除き、大半のラウンドが6時間戦というフォーマットで開催されていたWECだが、今季はバリエーションが増え、開幕戦シルバーストンは決勝4時間戦に。その開幕戦へのエントリーは全4クラス合計で31台あるものの、LMP1クラスは今季もハイブリッドマシンで戦う自動車メーカーワークスがトヨタのみで、ノンハイブリッド勢を含めても出走全6台と寂しさは否めないところだ。
ハイブリッドとノンハイブリッドがなるべく近い総合戦闘力で戦えるようにするシリーズ側の調整(技術均衡化)も引き続き講じられているが、そのなかでもトヨタが予選1-2を獲得。ポールをゲットしたのは#7 可夢偉組だった。#7は予選前日の練習走行でモノコックにダメージを負い、シャシー交換して臨んだ予選日だったという。
決勝レースは中盤、一時的な雨に見舞われるシーンがあり、そこでのピットタイミング等の兼ね合いでトヨタ勢が先頭を譲る状況も見られた。序盤のフルコースイエローの際にもタイミング的に恵まれず先頭を明け渡したことはあるなどしたが、トヨタ1-2支配の構図が根本的に崩れる流れはなかったといえよう。129周を走破した#7 可夢偉組がポール・トゥ・ウインを飾り、1.9秒差の2位に#8 一貴組が続いた。
3位はレベリオン・レーシングの#3 レベリオンR13・ギブソン(N.ベルトン & P.デラーニ & L.デュバル)。トヨタに先行する場面もあった#3 レベリオンだが、ペナルティもあるなどして最終的には1周遅れだった。
優勝した#7 トヨタ 小林可夢偉のコメント
「この結果は本当に嬉しいです。完璧なシーズンスタートを切ることができました。自分自身のスティントは雨に見舞われて大変でした。降雨の時間は短いのではないかと考えてスリックタイヤのまま走り続けましたが、予想以上に雨が激しく、かつ長く降ることとなり、ピットインせざるを得ませんでしたね。8号車とは接近戦ながらフェアなバトルができましたし、チーム全員が素晴らしい仕事をしてくれました。この週末を通してTS050は最高の仕上がりでしたし、ペースも良かったので、次戦の富士も楽しみです」
諸事情鑑みた場合、昨季ほどのトヨタ2台による完全圧倒にまではならないという見方もある今季だが、世界王座頂上決戦に関しては、やはり7号車と8号車のトヨタ同門一騎打ちの構図となる公算が高い。そして両車はやはり昨季同様、リタイアを誘発しない範囲で真剣勝負を演じていくことになるのだろう。雪辱に燃える7号車トリオがまずは先制勝利を得た。
なお、今季のWECにはトヨタ系の新進気鋭でスーパーフォーミュラやSUPER GTで活躍中の山下健太(24歳)がLMP2クラスに参戦というトピックもある。
近い将来、ハイパーカー規定時代の最高峰クラス参戦が期待される山下が今シーズン乗り組むのはハイクラスレーシングの#33 オレカ07・ギブソン。僚友はM.パターソンとA.フィヨルドバッハで、タイヤはグッドイヤーだ(開幕戦エントリーに見る今季のWECタイヤ事情は、LMP2クラスのうちの3台がグッドイヤー、その他はミシュラン)。山下は自身のWEC初戦をLMP2クラス8台中7位(完走7台)という順位で終えている。
LMGTE-Amクラスでは、日本勢の石川資章とケイ・コッツォリーノが乗るMRレーシングの#70 フェラーリ488 GTE EVO(もうひとりのドライバーはO.ベレッタ)が3位に入った。
2019/2020シーズンの第2戦は日本の富士スピードウェイが舞台。今季のLMP1には新たな「サクセスハンデキャップ」制度が次戦以降、ルマンを除き適用されることになっているため、今回1-2のトヨタにとっては“それ”との戦いも始まることになる。トヨタ同門対決に関しても、開幕戦で勝った7号車は、2位だった8号車よりも厳しいハンデでの富士臨戦になり、このあたりも興味深い要素となりそうだ。
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