【WRC 第13戦】ヌービルが勝利も、タナクの戴冠が決定…ヒュンダイ対トヨタのメーカータイトル争いは最終戦決着へ
世界ラリー選手権(WRC)第13戦スペインが現地27日に終了し、ヒュンダイのT.ヌービルが優勝を飾った。しかし、トヨタのO.タナクがドライバーズタイトル獲得を決定。そしてヒュンダイとトヨタのマニュファクチャラーズ王座争いは最終戦決着へと向かうことになった。
スペイン戦は金曜がグラベル(非舗装路)中心、土曜~日曜はターマック(舗装路)での戦いとなる“ミックスサーフェス”イベント。金曜は「ヒュンダイ i20クーペWRC」勢が1-2-3を形成するが、土曜になって「トヨタ・ヤリスWRC」勢のエース、#8 オット・タナクがここに食い込んでゆく。
土曜終了時点で、首位はヒュンダイの#11 ティエリー・ヌービルが20秒以上のリードで少し抜け出た印象になったものの、2~4位は#6 ダニ・ソルド(ヒュンダイ)、#8 タナク、#19 セバスチャン・ローブ(ヒュンダイ)が3.7秒の僅差にひしめいていた。
ドライバーズチャンピオン争いは#8 タナク(ポイントランク1位=240点)と#11ヌービル(同3位=199点)、そして6連覇中の#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC/同2位=212点)の 3人により展開されているが、#1 オジェは今回、金曜にパワステ関連のトラブルで大きく遅れてしまい、既に7連覇の可能性をほぼ絶たれる状況に置かれていた(最終的に今回のラリーは8位。オジェは連覇ストップが確定し、かつてローブが成した9連覇への挑戦権が途切れた。また、ランク3位に後退)。
最終日の日曜、#11 ヌービルは逃げ切ってこのラリーの優勝(25点獲得)を飾る。自身8戦ぶりの今季3勝目。一方の#8 タナクは最終パワーステージ(PS)でラリー総合の順位を3位から2位(18点)に上げてフィニッシュ、なおかつPSの1位でドライバーズポイントボーナスの最大5点をゲットした。
#11 ヌービルはPS3位(3点)で、今回の両者の得点は#11 ヌービルが28点、#8 タナクが23点。シーズン総得点はヌービル227、タナク263へと変化し、残り1戦での逆転が不可能な差となって、タナクの初王座獲得が決定した。
2019年WRC王者オット・タナクのコメント
「今の気持ちを言葉にすることは簡単ではない。この週末に感じたプレッシャーは、これまでとは違うレベルのものだったよ。世界チャンピオンになることは、自分の人生の目標だった。ミスをすることは許されず、しかしタイトルを決めるためには良い結果が必要だったので、とても大きなプレッシャーを感じたし、スタート直後はいつものように走れなかった」
「しかし、最終的にはリラックスすることができたし、普段通りに運転できるようになったよ。今朝(最終日の朝)はクルマのフィーリングが良く、いいリズムで走れた。そして全力で攻めたことで、結果という面でも報われたね。これまで、いくつもの試練を乗り越えてきた。ついにタイトルを獲得できて、本当に嬉しく思う。素晴らしい仕事で支えてくれたチームに感謝したい」
オット・タナク(オィット・タナックなどとも表記される)は10月15日で32歳になったエストニア籍ラリースト。WRC初優勝は2017年で、翌18年からトヨタのWRCワークスチーム(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)に移籍した。トヨタ勢のドライバーズチャンピオンとしては、1990年と92年のカルロス・サインツ、93年ユハ・カンクネン、94年ディディエ・オリオールに続く歴代4人目かつ5回目で、25年ぶりとなる。トヨタにとっては2017年のワークス復帰後、初の王者輩出。
なお、マニュファクチャラーズタイトル争いは最終戦まで決着がもつれることとなった。
権利を残すのは初戴冠を狙うヒュンダイと、2連覇を目指し追いかけるトヨタで、得点状況は380対362。こちらの部門にはPSボーナスがなく、1戦あたりの最大得点は43だ。18点差は自力逆転圏外の差だが、逆転の現実味が残る差ではあり、両陣営の熾烈かつ緻密な戦いが今から楽しみである。ドライバーズチャンピオンが決まっているだけに、まさしく全員が(いい意味での)駒となった団体戦が展開されるものと予想される。
トヨタのチーム総代表でもある豊田章男トヨタ社長は、タナクと彼のコ・ドライバーであるマルティン・ヤルヴェオヤ双方の母国エストニアへの感謝と祝意を伝えつつ、「オット、マルティン、3週間後にマニュファクチャラーズチャンピオンも獲って、もう一度、君たちと一緒に喜びたいと思っています。(最終戦の)オーストラリアも絶対に勝とう!」とコメントしている。
今回のスペイン戦のラリー総合3~4位はヒュンダイの#6ソルドと#19 ローブ。5位はトヨタの#10 ヤリ-マティ・ラトバラだった。同じくトヨタの#5 クリス・ミークは29位。また、今回のラリーにはトヨタの若手育成選手である#17 勝田貴元が自身2度目となるヤリスWRCでのWRC出走を果たしている。土曜にトラブルがあって後退、39位でのフィニッシュだった。
2019年WRC最終戦(第14戦)オーストラリアは、11月14~17日に開催される。
(レスポンス 遠藤俊幸)
スペイン戦は金曜がグラベル(非舗装路)中心、土曜~日曜はターマック(舗装路)での戦いとなる“ミックスサーフェス”イベント。金曜は「ヒュンダイ i20クーペWRC」勢が1-2-3を形成するが、土曜になって「トヨタ・ヤリスWRC」勢のエース、#8 オット・タナクがここに食い込んでゆく。
土曜終了時点で、首位はヒュンダイの#11 ティエリー・ヌービルが20秒以上のリードで少し抜け出た印象になったものの、2~4位は#6 ダニ・ソルド(ヒュンダイ)、#8 タナク、#19 セバスチャン・ローブ(ヒュンダイ)が3.7秒の僅差にひしめいていた。
ドライバーズチャンピオン争いは#8 タナク(ポイントランク1位=240点)と#11ヌービル(同3位=199点)、そして6連覇中の#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC/同2位=212点)の 3人により展開されているが、#1 オジェは今回、金曜にパワステ関連のトラブルで大きく遅れてしまい、既に7連覇の可能性をほぼ絶たれる状況に置かれていた(最終的に今回のラリーは8位。オジェは連覇ストップが確定し、かつてローブが成した9連覇への挑戦権が途切れた。また、ランク3位に後退)。
最終日の日曜、#11 ヌービルは逃げ切ってこのラリーの優勝(25点獲得)を飾る。自身8戦ぶりの今季3勝目。一方の#8 タナクは最終パワーステージ(PS)でラリー総合の順位を3位から2位(18点)に上げてフィニッシュ、なおかつPSの1位でドライバーズポイントボーナスの最大5点をゲットした。
#11 ヌービルはPS3位(3点)で、今回の両者の得点は#11 ヌービルが28点、#8 タナクが23点。シーズン総得点はヌービル227、タナク263へと変化し、残り1戦での逆転が不可能な差となって、タナクの初王座獲得が決定した。
2019年WRC王者オット・タナクのコメント
「今の気持ちを言葉にすることは簡単ではない。この週末に感じたプレッシャーは、これまでとは違うレベルのものだったよ。世界チャンピオンになることは、自分の人生の目標だった。ミスをすることは許されず、しかしタイトルを決めるためには良い結果が必要だったので、とても大きなプレッシャーを感じたし、スタート直後はいつものように走れなかった」
「しかし、最終的にはリラックスすることができたし、普段通りに運転できるようになったよ。今朝(最終日の朝)はクルマのフィーリングが良く、いいリズムで走れた。そして全力で攻めたことで、結果という面でも報われたね。これまで、いくつもの試練を乗り越えてきた。ついにタイトルを獲得できて、本当に嬉しく思う。素晴らしい仕事で支えてくれたチームに感謝したい」
オット・タナク(オィット・タナックなどとも表記される)は10月15日で32歳になったエストニア籍ラリースト。WRC初優勝は2017年で、翌18年からトヨタのWRCワークスチーム(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)に移籍した。トヨタ勢のドライバーズチャンピオンとしては、1990年と92年のカルロス・サインツ、93年ユハ・カンクネン、94年ディディエ・オリオールに続く歴代4人目かつ5回目で、25年ぶりとなる。トヨタにとっては2017年のワークス復帰後、初の王者輩出。
なお、マニュファクチャラーズタイトル争いは最終戦まで決着がもつれることとなった。
権利を残すのは初戴冠を狙うヒュンダイと、2連覇を目指し追いかけるトヨタで、得点状況は380対362。こちらの部門にはPSボーナスがなく、1戦あたりの最大得点は43だ。18点差は自力逆転圏外の差だが、逆転の現実味が残る差ではあり、両陣営の熾烈かつ緻密な戦いが今から楽しみである。ドライバーズチャンピオンが決まっているだけに、まさしく全員が(いい意味での)駒となった団体戦が展開されるものと予想される。
トヨタのチーム総代表でもある豊田章男トヨタ社長は、タナクと彼のコ・ドライバーであるマルティン・ヤルヴェオヤ双方の母国エストニアへの感謝と祝意を伝えつつ、「オット、マルティン、3週間後にマニュファクチャラーズチャンピオンも獲って、もう一度、君たちと一緒に喜びたいと思っています。(最終戦の)オーストラリアも絶対に勝とう!」とコメントしている。
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