【WRC】最終戦中止を受けて、トヨタの豊田章男チーム総代表がコメント…「全冠獲得の喜びは来年、日本で」

戦わずしての終幕、トヨタはマニュファクチャラーズタイトル連覇ならず(写真は今季第13戦スペイン。#8 トヨタのO.タナク&M.ヤルヴェオヤ)。
森林火災の影響で世界ラリー選手権(WRC)最終戦オーストラリアが中止されたことを受けて、マニュファクチャラーズタイトル連覇ならずという状況になったトヨタのチーム総代表、豊田章男トヨタ社長が14日にコメントを発表した。

トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)はドライバーズタイトルをオット・タナクが、コ・ドライバー部門タイトルをタナクの相棒マルティン・ヤルヴェオヤが、それぞれ既に第13戦スペインで戴冠を決めている。マニュファクチャラーズタイトルについても最終第14戦オーストラリアで首位ヒュンダイを逆転しての2連覇、今季“全冠制覇”を狙っていた。

しかし、開催地域であるオーストラリア東部には大規模な森林火災が発生しており、14~17日に開催が予定されていたWRC最終戦オーストラリアは12日に中止が決定。これにより、ヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAM)のマニュファクチャラーズタイトル初獲得が決定したことになる。

サービスパーク設定地のコフスハーバーでは既に様々な準備も進められていた段階での中止決定と見られるが、現地入りしていたトヨタ陣営のメンバーはラリー期間中のために用意していた食材を地元の人々に提供するなどの活動を、現場の判断で展開したという。

豊田社長はオーストラリアを見舞う気持ちとチームの活動への敬意・感謝を示したうえで、最終戦が日本で開催される来季への決意を語っている。

豊田章男チーム総代表のコメントは以下の通り(原文のまま)。

「オーストラリア東部で発生中の森林火災の被害に遭われている皆さまにお見舞い申しあげます。また、この瞬間も、猛火と戦っている地元消防の方々に感謝すると共に、いち早い鎮火が実現できるよう祈念いたしております」

「スペインでのドライバー/コ・ドライバータイトル獲得後、もうひとつのタイトルをオーストラリアで獲得しようと、チームは最大限の努力を続けてくれていました。 本当であれば、週末に、それを果たし、その喜びの中で、チームのみんなに感謝の気持ちを伝えたいと思っておりましたが、ラリー・オーストラリアがキャンセルとなり、それを実現することはできません」

「この場を借りて、今年、一緒に戦ってくれたチーム全員に私からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのみんな、一年間、ヤリスを強くし続けてくれて、ありがとう。全タイトルを獲って喜ぶという目標は、一年後に日本で叶えたいと思いますので、気持ちを切り替えて、また次の一年もみんなで頑張っていきましょう」

「現地にいるチームのみんなは、オーストラリアの地でも、すぐに気持ちを切り替えてくれていました。このことについても、お礼を言いたいと思います」

「チームのみんなは、ラリー期間中のために用意していた食材を地元に提供したり、消防署に行って激励をしてくれたり、地元で困っている人たちのために、率先して動いてくれました。私もSNSで、その様子を知りました。現場の判断で、すぐに動いてくれたのだと思います。 トヨタを代表するメンバーが、こうして率先して行動してくれたこと、本当に嬉しく、そして誇らしく思います。チームのみんなに、本当に感謝します。ありがとう」

「この素晴らしいメンバーと来年も戦っていけること本当に楽しみです。来年、ラリージャパンでは、みんなのそばに居ながら、一緒に戦えると思います。今年味わえなかった喜びを、なんとしてもみんなで味わいましょう」

「最後になりましたが、応援いただいたファンの皆さま、熱い声援を1年間ありがとうございました。皆さまが、もっともっと応援したくなるようなチームになれるよう、我々も努力を続けてまいりますので、引き続き、応援いただければ嬉しく思います。皆さま、引き続き、よろしくお願いいたします」

なお、悲願の初王座獲得が“現場”ではないところで決まるイレギュラーなかたちになったヒュンダイチーム側からも、まずはなによりオーストラリアを見舞う気持ちを表したうえで、シーズンを通しての成果であるタイトル獲得を喜ぶコメントが伝わってきている。

来季2020年のWRCは1月にモンテカルロ戦で開幕、11月の第14戦ジャパン(開催地は愛知・岐阜)が最終戦となる。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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