トヨタ、「世界から日本橋に人材を」…自動運転ソフト開発のTRI-ADが開所セレモニー

TRI-ADのジェームズ・カフナーCEO
トヨタ自動車の自動運転車のソフトウェア開発を担うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)は12月17日、東京都中央区にある本社の開所セレモニーを開き、報道陣に公開した。

TRI-ADはトヨタが90%、アイシンとデンソーが各5%を出資し、2018年3月に資本金5000万円で設立した。トヨタが16年に米国に設立した自動運転など先進分野の研究開発会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)の研究成果をソフトウェアにつなげ、実用化する前線の開発会社として活動している。

CEOはグーグルの元ロボティクス部門長でTRIのCTO(最高技術責任者)を務めるジェームズ・カフナ―氏、トヨタのフェローの鯉渕健氏がCTO 、さらに虫上広志氏がCOOという経営体制で臨んでいる。また、豊田章男トヨタ社長の長男である豊田大輔氏が上級副社長(シニアバイスプレジデント)に就いている。

オフィスは日本橋室町三井タワーの3フロアを占め、数人程度で開発チームをつくるため、オフィスのレイアウトをハチの巣のような「ハニカム式」としたり、堀りごたつを模したミーティングルームを設置するなどユニークな空間としている。フロアをパーソナルモビリティーなどで移動できる室内周回路も設備している。

従業員は現在、200人の契約社員を含めて650人。450人の正社員のうち350人はトヨタなど出資会社からの人材で、残り100人を新規に雇用した。100人のうちの半数は外国人で占められる。オフィスのキャパシティーは1200人規模で、従業員は近い将来に1000人体制を目指している。 

カフナーCEOは、同社のミッションを「自動運転技術によって世界でもっとも安全なクルマをつくること」としたうえで、「世界中からこの日本橋に優秀な人材を集め、技術開発をスピードをもってけん引する。世界ではまだ(安全な自動運転技術の)解は出ておらず、全力を尽くしてパートナーとテクノロジーをつくっていきたい」と、抱負を述べた。

また、鯉渕CTOは「2020年から市販するオーナーカー向けと、レベル4の自動運転技術によるMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)向けの開発を進めている。後者は20年に東京のお台場地区で披露する」と、同社がソフト開発を担うトヨタの自動運転車の展開を説明した。

オーナーカーは、これまでも公表してきた高速道路の入り口から出口までを自動運転するレベル2の技術搭載車であり、鯉渕氏は「来年の製品化の目標は変更しない」と指摘した。また、これらのソフトは複雑で搭載量も急増するが、TRI-ADによって「画期的に速いスピードで開発してきたい」と強調した。

(レスポンス 池原照雄)

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