自工会 豊田会長「リーマン時は中国が回復下支えしたが」…定例会見で初のネット中継も

豊田章男自工会会長(参考写真)
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は3月19日、都内で定例記者会見を開いた。新型コロナウィルスの感染防止対策として会見場への参加者は少数に限定し、初めてネット中継も行った。

豊田会長は冒頭、新型コロナウィルスの感染拡大について「人とモノの動きの停滞が経済に大きな影響を及ぼしている」との認識を示した。自動車の生産、販売にも世界で影響が及んでおり、「生産現場では部品を別の仕入先で造ってもらうなど、みんなで力を合わせて生産の継続、挽回に取り組んでいる。しかし、多くのお客様への納車が遅れており、ご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げる」と陳謝した。

豊田会長は、今回の新型肺炎がもたらす景気悪化と2008年秋のリーマン・ショックとの相異については「リーマン・ショックの時は住宅バブルによってリスク資産が多額になり、金融機関の財務体質が非常に脆弱だった。今回の肺炎ショックでは金融システムは比較的健全だ」と指摘した。

一方で、リーマン・ショック時には「中国の新車販売の伸びが大きく、グローバルの市場を下支えした。今回は全世界に影響が行っているので、そこが読み切れない」と述べ、回復へのけん引役が不在となる状況に懸念を表明した。また、部品のサプライチェーンについては11年の東日本大震災以降、「できるだけ売れるところで生産し、調達するように取り組んでおり、一歩進んでいると思う」との認識を示した。

また、収束への展望が見えづらいことに関し、豊田会長は「コントロールできない話を深刻に考えると人はネガティブになってしまう。ネガティブの連鎖は物事を悪くするばかりなので、まずはコントロールできる範囲のことを真剣にやっていけばいい」と述べた。そのうえで「道徳の授業のようだが、深刻にならず、真剣にみんなで助け合って感謝し合う。これをやっていくしかない」と強調した。

(レスポンス 池原照雄)

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