レクサス初のEV『UX300e』、静粛性を向上させる最新技術を導入…欧州で2020年内に発売

レクサス UX 300e(欧州仕様)
レクサスの欧州部門は6月15日、2020年内に欧州市場で発売されるブランド初の市販EVの『UX300e』(Lexus UX 300e)に、静粛性を向上させる最新技術を導入した、と発表した。

同車は、レクサス最小のSUVの『UX』をベースに、EVパワートレインを搭載したモデルだ。レクサスは30年以上にわたり、静粛性を全モデルの中心的な柱に位置付けてきた。1989年に発表された初代『LS 400』(日本名:トヨタ『セルシオ』)の開発では、100km/hでの巡航時にキャビン内の騒音レベルが58dBを超えないようにすることを目標に掲げ、欧州のライバルを凌駕する静粛性を実現した。この目標は、4000人の設計者、エンジニア、技術者を擁するレクサスのDNAの重要な部分となり、UX 300eでは新たな「サイレント革命」が生まれたという。

◆クラス最高のNVHレベルを追求

レクサスは競合他社のEVの騒音パターンを調査し、車内の騒音を低減するための対策に取り組んだ。レクサスは、NVH(ノイズ、振動、ハーシュネス)の最小化に重点を置いた。床下のバッテリーに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションの音がないことに起因する風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮した。目標は、クラス最高のNVHレベルの実現だ。

また、床下カバーとフェンダーライナーを追加した。新開発の「PCU(パワー・コントロール・ユニット)」は、エンジンルームのメインクロスメンバーに取り付けられており、騒音と振動を低減する。

風切り音も抑えられた。下側のフロントグリルには、アクティブシャッターが装備されており、バッテリーの状態に応じて自動的に開閉し、車両の抗力係数を0.33から0.31に低減する。また、ノイズを抑えるために、バッテリーの底面を滑らかな形状とし、車両の床下カバーが拡大されて、空力性能の高いアンダーボディ構造を作り出した。

18インチタイヤは、静粛性と操縦安定性を重視して設計された。一方、17インチタイヤは、同クラスのタイヤの中で最も低い転がり抵抗を実現するという。

高周波数の風切り音を抑えるアコースティックガラスを装備した。EVパワートレインの音とロードノイズの両方を低減するフォーム材や制振材も採用する。これには、カーペット下に追加された断熱材が含まれている。ダッシュボードのサイレンサーが、室内の騒音レベルをさらに低減させる。

その一方で、走行中のサウンドにこだわった。アクティブサウンドコントロール(ASC)を採用することで、車両の走行状況を感じられる快適なドライビング環境を追求した。ドライバーや同乗者に心地良いサウンドをもたらすという。

◆モーターは最大出力204ps

UX 300eでは、「GA-C」プラットフォームのフロントに、最大出力204ps、最大トルク30.6kgmを発生するモーターを搭載する。パワフルなモーターにより、0~100km/h加速は7.5秒の性能を発揮する。最高速は160km/hに抑えられる。

EVでも、UXのガソリン車やハイブリッド車と同じく、ドライバーの意図に忠実な滑らかな加速フィーリングを追求した。ドライブモードセレクトによって、ペダル操作に対して、瞬時にトルクが立ち上がるEVならではの力強い加速フィーリングを味わうことも可能という。

また、パドルシフトによって、減速度を4段階から選択できる。ガソリン車のエンジンブレーキと同じように減速操作ができ、EVの特性を最大限生かしながら自然な操作性を実現することを目指した。

◆1回の充電での航続は最大400km

大容量のリチウムイオンバッテリーは、床下に搭載される。蓄電容量は54.3kWhとした。ハイブリッド車で培ったモーター、インバーター、ギア、バッテリーといった主要装備の効率を最大化し、システム全体としての性能向上を図った。1回の充電での航続は、最大で400km(NEDC:新欧州サイクル)を確保している。

低温や高温下でも正常に動作するよう、バッテリーには温度調整機能を備える。過充電防止システムや、多重監視のセーフネットにより、高い信頼性を追求した。

バッテリーの充電は、普通充電(AC)の場合、最大6.6kWの出力で充電できる。急速充電(DC)の場合、最大充電出力は50kWとした。

最新のコネクティッド技術を採用する。専用アプリによるスマートフォンとの連携で、バッテリー残量や航続、充電の必要があるかどうかを確認できる。また、充電完了までの時間を把握したり、出発時刻に合わせて充電が完了するようタイマーを設定したりすることも可能だ。エアコンやシートヒーター、デフロスターなどを車外から遠隔操作することも可能、としている。

(レスポンス 森脇稔)

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