トヨタ ハリアー 新型 話題の「録画機能付きデジタルインナーミラー」を体験
トヨタは新型ハリアーに同社としては初めて、走行中の映像をマイクロSDカードに記録保存できる「デジタルインターミラー(前後方録画機能付)」を搭載した。ここでは、ほぼドラレコに近い使い方ができるこの機能の使い勝手や撮影した映像についてレポートする。
◆従来の「デジタルインナーミラー」とほぼ同サイズに録画機能を追加
試乗したのは新型ハリアー「Z」。本革仕様の「Leather Package」ではないがグレード的にはトップに位置する。「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付)」はこのZとその下の「G」グレードに標準装備され、最廉価グレードの「S」にオプション設定される。デジタルインナーミラー自体は従来のタイプと見た目はほとんど変わらないが、よく見ると録画データ保存用のマイクロSDカード用挿入スロットが追加装備されている。付属しているカードは16GB。ここに約2時間の記録ができるという。
トヨタ自動車のコクピット電子システム開発部の木村有伸さんによれば、開発では録画機能の回路を収め、マイクロSDカード用スロットを組み込むのに苦労したと話す。液晶パネルはもともとバックライトによる発熱があるが、そこに機能が増えれば当然ながら熱量は増える。そこでこのデジタルインナーミラーには小型の電動ファンを追加して対策したという。とはいえ、試乗中でその音はまったく気付くことはなかった。
一方、フロントのカメラ部はADASを司る「Toyota Safety Sense」と並んで設置されているが、機能面では完全に切り分けて装備された。新型ハリアーは、北米市場向けに販売される新型『ヴェンザ』と一卵性双生児として販売されるが、試乗会会場で関係者に聞いたところでは、今のところ展開されるのはデジタルインナーミラーだけで、「前後方録画機能付」となるのは日本市場のみということだ。
前後方録画機能付きデジタルインナーミラーで組み合わされたカメラのスペックは、フロントが記録フレームレート27.5fps、120万画素のセンサーに水平画角55度×垂直画角41度、リアは同30fps、51万画素のセンサーに水平49度×垂直10度となっている。フロントは4:3だが、リアは超横長の映像であることがわかる。いずれも衝撃があるとデータは自動的に上書きされない保護フォルダに保存され、その他、手動録画や静止画記録にも対応する。一方で駐車時の録画や音声記録、スマホ連携には非対応で、録画した映像をデジタルインナーミラーで再生することはできない。
◆古いデータは順に上書き。イベント録画は上書きされない別枠に保存
エンジンをかけるとデジタルインナーミラーは即座に立ち上がる。ドラレコのように起動するまでミラー部がブラックアウトするようなことはない。録画中は「REC」のアイコンが表示され、録画中であることが確認できる。画面にタッチすると操作メニューが現れ、それに対応したミラー下のボタンで各種設定を行う。また、デジタルインナーミラーでは液晶表示と一般的な光学式ミラーをレバー操作で簡単に切り替えられるが、REC表示はどちら側でも表示される。
ミラーに表示される映像は後方のみで、デジタルインナーミラーらしく一定の範囲内で表示範囲を上下左右に変化させられ、傾きも調整できる。また、ズームアップすることも可能だ。この調整は走行中でもできるが、安全上、操作は停止して行うことをお勧めする。車内の積載状況に影響されず後方がフルに見通せるのはデジタルインナーミラーならではのメリットだ。しかし、デジタルインナーミラーでは、前方からミラーに視点を移すと焦点を合わせる必要がある。それが煩わしいと感じた場合は必要に応じて光学式ミラーに切り替えるといいだろう。
エンジンがONとなっている間は常時記録を続けるが、容量がいっぱいになると古いデータから上書きされていくのはドラレコと同じだ。試乗中は体験できなかったが、仮に衝撃が加わると上書きされない別フォルダに保存される仕組み。任意に保存したい場合はミラー下のボタンを押せばいい。どちらもその瞬間を境に約12秒前、後ろ約8秒の計約20 秒間の映像が保存される。
ただ、別ファイルとして保存できるのは前方映像と後方映像それぞれ20ファイルまで。それを超えると上書きされてしまうので、大事な映像ならその都度PCなどに保存しておいた方がいい。静止画記録は最大500枚まで記録可能。ミラー下のボタンを押し続けて静止画のアイコンが表示され、そこで押して離すと静止画記録する。
◆記録画質はスペック以上の高いクォリティを実感
録画データのファイル形式は一般的なMP4/JPEGなので、PCのWindows Media Playerなどで簡単に再生できる。記録した前方の映像を見ると、スペックから想像するほど狭い感じはない。
確かに交差点を左折した際はもう少し広ければ歩行者や自転車の動きも捉えられるのに……、とは思ったが、真っ直ぐ走っている分には、それほど狭いという印象はなかったのだ。画角を無理して広げていない分だけ周辺部の歪みもほぼ発生しない。LED信号のフリッカーにも同期することはなく、無信号状態になることはなかった。ただ、解像度はもう少し高くても良かったかも知れない。少し離れるとナンバーが不鮮明になるのだ。
後方の映像はルームミラーに反映されるような超ワイドな映像で、その表示のマジックによりスペック以上に広範囲で映し出されているように見える。センサーが51万画素というスペック以上の鮮明さを感じさせるもので、近づいてきた後続車のナンバーも十分に読み取れる。記録するフレームレートは30fpsということだが、基本的には後方は無信号になっても実害はない。それでも再生してみて無信号状態になることは、ほとんどなかった。画質を含め、スペックを超えるクォリティだったと言えるだろう。
新型ハリアーに搭載するにあたっては、デジタルインナーミラーを使っているユーザーから録画機能の追加要望が強かったことが背景にあるという。トヨタとしても搭載することでユーザーの安心感を届けたいという気持ちがあったようだ。
ただ、既にドラレコは普及段階にあるわけで、その中で少なくとも再生機能がないのは、仮にアクシデントが発生した際に現場で役に立たないことにもなり得る。解像度ももう少し上げて欲しいところだ。一方でトヨタはT-Connect会員向けに自動車保険サービスも用意しており、このサービスと連携するような形も望まれていくだろう。今後は自動車メーカーならではの発展をこの機能に期待したい。
(レスポンス 会田肇)
◆従来の「デジタルインナーミラー」とほぼ同サイズに録画機能を追加
試乗したのは新型ハリアー「Z」。本革仕様の「Leather Package」ではないがグレード的にはトップに位置する。「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付)」はこのZとその下の「G」グレードに標準装備され、最廉価グレードの「S」にオプション設定される。デジタルインナーミラー自体は従来のタイプと見た目はほとんど変わらないが、よく見ると録画データ保存用のマイクロSDカード用挿入スロットが追加装備されている。付属しているカードは16GB。ここに約2時間の記録ができるという。
トヨタ自動車のコクピット電子システム開発部の木村有伸さんによれば、開発では録画機能の回路を収め、マイクロSDカード用スロットを組み込むのに苦労したと話す。液晶パネルはもともとバックライトによる発熱があるが、そこに機能が増えれば当然ながら熱量は増える。そこでこのデジタルインナーミラーには小型の電動ファンを追加して対策したという。とはいえ、試乗中でその音はまったく気付くことはなかった。
一方、フロントのカメラ部はADASを司る「Toyota Safety Sense」と並んで設置されているが、機能面では完全に切り分けて装備された。新型ハリアーは、北米市場向けに販売される新型『ヴェンザ』と一卵性双生児として販売されるが、試乗会会場で関係者に聞いたところでは、今のところ展開されるのはデジタルインナーミラーだけで、「前後方録画機能付」となるのは日本市場のみということだ。
前後方録画機能付きデジタルインナーミラーで組み合わされたカメラのスペックは、フロントが記録フレームレート27.5fps、120万画素のセンサーに水平画角55度×垂直画角41度、リアは同30fps、51万画素のセンサーに水平49度×垂直10度となっている。フロントは4:3だが、リアは超横長の映像であることがわかる。いずれも衝撃があるとデータは自動的に上書きされない保護フォルダに保存され、その他、手動録画や静止画記録にも対応する。一方で駐車時の録画や音声記録、スマホ連携には非対応で、録画した映像をデジタルインナーミラーで再生することはできない。
◆古いデータは順に上書き。イベント録画は上書きされない別枠に保存
エンジンをかけるとデジタルインナーミラーは即座に立ち上がる。ドラレコのように起動するまでミラー部がブラックアウトするようなことはない。録画中は「REC」のアイコンが表示され、録画中であることが確認できる。画面にタッチすると操作メニューが現れ、それに対応したミラー下のボタンで各種設定を行う。また、デジタルインナーミラーでは液晶表示と一般的な光学式ミラーをレバー操作で簡単に切り替えられるが、REC表示はどちら側でも表示される。
ミラーに表示される映像は後方のみで、デジタルインナーミラーらしく一定の範囲内で表示範囲を上下左右に変化させられ、傾きも調整できる。また、ズームアップすることも可能だ。この調整は走行中でもできるが、安全上、操作は停止して行うことをお勧めする。車内の積載状況に影響されず後方がフルに見通せるのはデジタルインナーミラーならではのメリットだ。しかし、デジタルインナーミラーでは、前方からミラーに視点を移すと焦点を合わせる必要がある。それが煩わしいと感じた場合は必要に応じて光学式ミラーに切り替えるといいだろう。
エンジンがONとなっている間は常時記録を続けるが、容量がいっぱいになると古いデータから上書きされていくのはドラレコと同じだ。試乗中は体験できなかったが、仮に衝撃が加わると上書きされない別フォルダに保存される仕組み。任意に保存したい場合はミラー下のボタンを押せばいい。どちらもその瞬間を境に約12秒前、後ろ約8秒の計約20 秒間の映像が保存される。
ただ、別ファイルとして保存できるのは前方映像と後方映像それぞれ20ファイルまで。それを超えると上書きされてしまうので、大事な映像ならその都度PCなどに保存しておいた方がいい。静止画記録は最大500枚まで記録可能。ミラー下のボタンを押し続けて静止画のアイコンが表示され、そこで押して離すと静止画記録する。
◆記録画質はスペック以上の高いクォリティを実感
録画データのファイル形式は一般的なMP4/JPEGなので、PCのWindows Media Playerなどで簡単に再生できる。記録した前方の映像を見ると、スペックから想像するほど狭い感じはない。
確かに交差点を左折した際はもう少し広ければ歩行者や自転車の動きも捉えられるのに……、とは思ったが、真っ直ぐ走っている分には、それほど狭いという印象はなかったのだ。画角を無理して広げていない分だけ周辺部の歪みもほぼ発生しない。LED信号のフリッカーにも同期することはなく、無信号状態になることはなかった。ただ、解像度はもう少し高くても良かったかも知れない。少し離れるとナンバーが不鮮明になるのだ。
後方の映像はルームミラーに反映されるような超ワイドな映像で、その表示のマジックによりスペック以上に広範囲で映し出されているように見える。センサーが51万画素というスペック以上の鮮明さを感じさせるもので、近づいてきた後続車のナンバーも十分に読み取れる。記録するフレームレートは30fpsということだが、基本的には後方は無信号になっても実害はない。それでも再生してみて無信号状態になることは、ほとんどなかった。画質を含め、スペックを超えるクォリティだったと言えるだろう。
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