[WEC 19/20第6戦]シーズン再開のスパ・フランコルシャン戦、トヨタが1-2で制す…優勝は7号車の小林可夢偉組

優勝した#7 トヨタの(左から)ロペス、可夢偉、コンウェイ。
世界耐久選手権(WEC)の2019/2020シーズン第6戦がベルギーのスパ・フランコルシャンで開催された。現地15日の決勝6時間レース、LMP1クラスはトヨタTS050の1-2フィニッシュとなり、トヨタはシーズン4勝目。小林可夢偉組の7号車が3勝目をあげている。

コロナ禍での約半年のシーズン中断を経て、WECが原則無観客での再開初戦を迎えた。トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)の「TS050 HYBRID」2台が参戦するLMP1クラスは、今回ノンハイブリッド勢の参戦が2台で、合計4台の戦いに。唯一の“ハイブリッド参戦メーカー”という立ち位置のトヨタだが、今季はサクセスハンデキャップという新制度の影響等もあり、必ずしも独壇場のシーズン展開とはなっていない。ここまでは5戦3勝という成績(9月のルマン24時間ではサクセスハンデは適用されない予定)。

トヨタが敗れた2戦、そこでチャンスをきっちり射止める実力を示し2勝をマークしているのが、レベリオン・レーシングの#1 レベリオンR13・ギブソン(B.セナ/G.メネゼス/N.ナト)である。今回のスパ・フランコルシャンでも彼らはポールポジションを獲得、4戦連続で予選最速の座を占めた。トヨタ勢は#8 トヨタTS050(中嶋一貴/S.ブエミ/B.ハートレー)が予選2位、#7 トヨタTS050(小林可夢偉/M.コンウェイ/J-M.ロペス)は同3位。

ちなみに#8 トヨタのブエミは13日までフォーミュラEのドイツ・ベルリン6連戦に日産のドライバーとして参戦していた。WECスパ戦の走行初日でもあった13日(フリー走行1回目)については#8 トヨタはブエミ抜きで走行し、翌14日からブエミが合流するかたちになっている。また、トヨタTS050は今回、次戦のルマン24時間を睨んだローダウンフォース仕様での臨戦とされる。

決勝6時間レースはスパ・フランコルシャンらしくと言うべきか、天候変化の影響を受けつつ進むことに。レース前に強い雨が降り、スタートする頃にはあがっていたようだが、ウエット路面でのセーフティカー(SC)先導ランからレースは始まる。約13分後に実質的な戦闘開始を迎えると、トヨタ勢2台がすぐに#1 レベリオンをパスして1-2態勢へ。優勝争いはトヨタ同門対決となってゆく。

レース残り1時間を切ったところで、その20分くらい前から導入されていたSCが撤収し、トヨタの2台は約5秒差の1-2で最後の戦いへと入っていった。#7 トヨタが先行、#8 トヨタが追う。レース中盤にも強い雨はあったが、路面はほぼドライアップしたといえる状況、航続距離を考えるとお互いあと1回のピットインは必要と見られた。

残り約40分で2番手#8 トヨタが先にピットイン、給油とタイヤ交換、一貴からブエミに代わってコースに戻る。そして翌周には先頭の#7 トヨタがピットへ、やはり給油とタイヤ交換、ロペスからコンウェイへのドライバーチェンジを行なった。

残り約35分、コース上の序列は変わらず、#7 トヨタが#8 トヨタを約6秒リード。この差は一旦開き、再び詰まってくる。しかし残り4分、#8 トヨタがスプラッシュの給油にピットインし、ここで差は大きく広がることに。#7 トヨタはそのままゴールして今季3勝目を飾った。トヨタとしてはシーズン4勝目。2位に#8 トヨタで、トヨタはシーズン4回目の1-2フィニッシュとなった(3位は#1 レベリオン=1周遅れ)。

#8 トヨタはレース開始から約1時間後に、微妙なタイミングにおけるタイヤ選択の面で僚機より1回多くピットインすることになる局面があった。ここで後手を踏むかたちになったことが最終的な勝敗につながったとも思える同門対決だった(最終的なピット回数は優勝の#7 トヨタが6回、#8 トヨタは最後のスプラッシュもあり、計2回多い8回)。

優勝した#7 トヨタ 小林可夢偉のコメント
「この結果にはとても満足しています。このレースウイーク、チーム全員がミスなく素晴らしい仕事をしてくれました。自分のスティントは降雨のために視界がわるく、コース上に留まっているのが大変なほどの非常に難しいコンディションでしたが、8号車との争いでプッシュを続けなくてはなりませんでした。我々7号車にとっては、ルマンの直前という絶好のタイミングで完璧な週末となりました。この勢いのままルマンに臨みます」

2位 #8 トヨタ 中嶋一貴のコメント
「長いインターバル明けには厳しい、変わりやすい天候に翻弄された難しいレースでした。それだけに、2位に入ってTOYOTA GAZOO Racing 1-2フィニッシュの一端を担えたことには満足しています。自分のスティントではセーフティカー明けから7号車との非常に接近したバトルとなりましたが、逆転には及びませんでした。7号車は本当に速く、勝利にふさわしい走りでした」

これでLMP部門ドライバーズポイントランキングでは、#7 トヨタの3人が僚友(#8 トヨタの3人)に対するリードを12点へと広げた(137対125、ランク3位の#1 レベリオンは109点)。今季のトヨタ勢対決、ここまで優勝回数では#7 トヨタが3勝で#8 トヨタが1勝、レースでの“対戦成績”は3勝3敗となっている。

WECの2019/2020シーズンは現状、残り2戦がラインアップされている。次戦第7戦は、9月19~20日を決勝日とする第88回ルマン24時間レースの予定だ(最近、ルマンも無観客開催となることが発表されている)。

(レスポンス 遠藤俊幸)

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