WRCのV4王者にして名将でもあるトミ・マキネン、2021年はトヨタのモータースポーツ・アドバイザーに…クルマづくりにも助言
現役第一線の時代には世界ラリー選手権(WRC)を三菱車で4連覇するなどし、近年はトヨタのWRC参戦陣営を率いているトミ・マキネンが、2021年1月からトヨタのモータースポーツ・アドバイザーを務めることになった。クルマ(市販車)づくりも含め、広範に活動するという。
トヨタが22日に発表した内容によれば、マキネンとは来年1月からの上記職就任の契約に基本合意したとのこと。マキネンが短期間でトヨタのWRC活動を好成績に導くなどした知見を、GR車両開発やモータースポーツ戦略の計画、運転技術指導等を通じての人材育成といったことにも活かしてもらうための“人事”で、トヨタの「もっといいクルマづくり」の一層の促進が主目的とされる。
トミ・マキネンはフィンランド出身の56歳(1964年6月26日生まれ)。WRC現役期は三菱、スバルなどで活躍し、三菱時代には1996~99年に“ランエボ”で4年連続ドライバーズチャンピオンとなった実績を有する。WRC通算24勝のレジェンドだ。近年は2017年に復活したトヨタのWRCワークス参戦に準備段階から深く関与し、2年目の18年にマニュファクチャラーズタイトル獲得、3年目の19年にもドライバーズタイトル獲得といった結果を“指揮官”としてもたらしている。
なお、マキネンのアドバイザー就任に伴って、現在トミ・マキネン・レーシング(TMR)を中心に展開されているトヨタのWRCワークスチーム(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)のオペレーションは、TOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E)へと移管される。
TGR-Eは今年4月にTMGから社名変更された、トヨタの欧州におけるモータースポーツ活動の中核拠点。TGR-Eの本拠はドイツのケルンにあり、WRCに関しては元来、エンジン面が担当とされていた。TMRで培われた世界最高レベルの車両開発ノウハウを学び、具体的な事業展開につなげていく予定だという(移管後も既存のTMRの人材や一部施設を活用し、これまで同様にフィンランドとエストニアにて活動する予定とのこと)。
トミ・マキネンのコメント
「トヨタのWRCプロジェクトの目標は効率的にラリー事業を再開することでした。そのためには小さな会社(である自分たちTMR)だからこそ発揮できる組織の柔軟性が必要でした。 この目標が達成された今、私はトヨタと新たな挑戦を始める時だと言えます」
「豊田章男さんにはこのプロジェクトで私を信頼していただき、私たちが一緒に設定した目標を達成するために全面的に支援していただいたことに感謝したいと思います。これからも引き続き、モータースポーツにおけるトヨタの未来を彼と一緒につくっていけることを楽しみにしています」
「また、トヨタがこれまで共に築き上げてきたWRC事業を引き継いでくれること、そしてTMRの従業員にTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamとして安心して働けるチームと未来を提供してくれることをたいへん嬉しく思います。加えて、TGR-Eの傘下に入っても引き続きフィンランドとエストニアにオペレーションが残るということも嬉しく思います」
トヨタの豊田章男社長は、盟友であり「私の運転の先生」でもあるマキネンの新たな役割について、「今までのような勝つためのアドバイスはもちろん、トヨタが進めるもっといいクルマづくりにも広くアドバイスをもらえることを期待しています」とコメントしている。
トヨタのWRCワークス活動における“母体”が来季に向けて変わる(TMRからTGR-Eへ)、これはそれなり以上に大きな動きといえよう。あくまで推測だが、コロナ禍による急激かつ甚大な影響が多方面に及ぶなか、より良いかたちでの活動存続を意識したトヨタ全体としての調整の一環、というような側面もあるのかもしれない。いずれにせよ、ワークス活動再開5年目となる2021年もトヨタには“変わらぬ活躍”が期待される。
また一方、トヨタのクルマ(市販車)づくりにも広く関わることになるというWRCチャンピオン、マキネンの活動にも注目したい。
(レスポンス 遠藤俊幸)
トヨタが22日に発表した内容によれば、マキネンとは来年1月からの上記職就任の契約に基本合意したとのこと。マキネンが短期間でトヨタのWRC活動を好成績に導くなどした知見を、GR車両開発やモータースポーツ戦略の計画、運転技術指導等を通じての人材育成といったことにも活かしてもらうための“人事”で、トヨタの「もっといいクルマづくり」の一層の促進が主目的とされる。
トミ・マキネンはフィンランド出身の56歳(1964年6月26日生まれ)。WRC現役期は三菱、スバルなどで活躍し、三菱時代には1996~99年に“ランエボ”で4年連続ドライバーズチャンピオンとなった実績を有する。WRC通算24勝のレジェンドだ。近年は2017年に復活したトヨタのWRCワークス参戦に準備段階から深く関与し、2年目の18年にマニュファクチャラーズタイトル獲得、3年目の19年にもドライバーズタイトル獲得といった結果を“指揮官”としてもたらしている。
なお、マキネンのアドバイザー就任に伴って、現在トミ・マキネン・レーシング(TMR)を中心に展開されているトヨタのWRCワークスチーム(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)のオペレーションは、TOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E)へと移管される。
TGR-Eは今年4月にTMGから社名変更された、トヨタの欧州におけるモータースポーツ活動の中核拠点。TGR-Eの本拠はドイツのケルンにあり、WRCに関しては元来、エンジン面が担当とされていた。TMRで培われた世界最高レベルの車両開発ノウハウを学び、具体的な事業展開につなげていく予定だという(移管後も既存のTMRの人材や一部施設を活用し、これまで同様にフィンランドとエストニアにて活動する予定とのこと)。
トミ・マキネンのコメント
「トヨタのWRCプロジェクトの目標は効率的にラリー事業を再開することでした。そのためには小さな会社(である自分たちTMR)だからこそ発揮できる組織の柔軟性が必要でした。 この目標が達成された今、私はトヨタと新たな挑戦を始める時だと言えます」
「豊田章男さんにはこのプロジェクトで私を信頼していただき、私たちが一緒に設定した目標を達成するために全面的に支援していただいたことに感謝したいと思います。これからも引き続き、モータースポーツにおけるトヨタの未来を彼と一緒につくっていけることを楽しみにしています」
「また、トヨタがこれまで共に築き上げてきたWRC事業を引き継いでくれること、そしてTMRの従業員にTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamとして安心して働けるチームと未来を提供してくれることをたいへん嬉しく思います。加えて、TGR-Eの傘下に入っても引き続きフィンランドとエストニアにオペレーションが残るということも嬉しく思います」
トヨタの豊田章男社長は、盟友であり「私の運転の先生」でもあるマキネンの新たな役割について、「今までのような勝つためのアドバイスはもちろん、トヨタが進めるもっといいクルマづくりにも広くアドバイスをもらえることを期待しています」とコメントしている。
トヨタのWRCワークス活動における“母体”が来季に向けて変わる(TMRからTGR-Eへ)、これはそれなり以上に大きな動きといえよう。あくまで推測だが、コロナ禍による急激かつ甚大な影響が多方面に及ぶなか、より良いかたちでの活動存続を意識したトヨタ全体としての調整の一環、というような側面もあるのかもしれない。いずれにせよ、ワークス活動再開5年目となる2021年もトヨタには“変わらぬ活躍”が期待される。
また一方、トヨタのクルマ(市販車)づくりにも広く関わることになるというWRCチャンピオン、マキネンの活動にも注目したい。
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