「ウーブン・プラネット・グループ」って結局なに?…次世代自動車ビジネスの事業基盤をになう
トヨタは2020年夏に、自動運転やモビリティビジネスのR&Dおよび事業開発を行うTRI-ADを、持ち株会社のもと分社化する体制を発表した。29日、その新事業体のお披露目となるプレスカンファレンスを開催した。
新事業体は、ウーブン・プラネット・ホールディングスを持ち株会社とし、ウーブン・コア、ウーブン・アルファ・ウーブン・キャピタルの3社、計4社でスタートする。「コア」は自動運転技術の開発実装、「アルファ」はウーブン・シティや開発プラットフォーム(Arena:後述)など非製造業的な事業、「キャピタル」は10年8億ドルの関連分野への投資、インキュベーションなどを担当する。
そもそもトヨタの「ウーブン」は2019年CESで発表された「ウーブンシティ」というスマートシティプロジェクトから始まったものだ。スケールが壮大すぎて実体が見えにくいものだったが、トヨタのモビリティ革命への意気込みや変革意識は十分に感じられた。前後して、モビリティカンパニーへの移行の取り組みとして「MONET」(ソフトバンクとの協業、のちにMONETテクノロジーズに)やトヨタモビリティサービス・MSPFの発表、Uber、Grabといったサービス事業者との提携などを矢継ぎ早の戦略展開も注目された。
これらの動きは、従来型の自動車産業モデルとそうでない部分という分け方をするとすっきりするかもしれない。トヨタは、モビリティカンパニーへの転換にあたって、既存部分ではない新しい事業や取り組みを行う主体としてTRI-ADを作った。しかし、これはデンソー、アイシン精機とともにCASE車両の技術開発のグループ連携を強化するような意味合いが強かった。
しかし、状況は刻々と変わり、自動車産業におけるソフトウェアの役割や価値も変化する。単に先端車両技術の開発だけではモビリティの課題には対応できなくなってきた。交通行政、インフラ整備、エネルギー政策、サービスビジネス、さらにニューノーマルのような新しい消費形態にも対応する必要がある。TRI-ADがウーブン・プラネットに再編された背景は、R&D色の強い企業体から包括的なモビリティ課題(=都市課題・社会課題)、そして、100年に一度と言われる自動車産業の構造改革に対応するという目的がある。
ウーブン・シティのインパクトが大きかったため、ウーブン・プラネットもスマートシティの事業主体のようなイメージを持ちやすいが、ウーブン・シティはウーブン・プラネットの事業の実証の場であり、いわばショーケース的な意味合いを持つ。もともとは別々のプロジェクトで、どちらの構想が先だったかは検証が難しいが、プラネットはスマートシティ事業を行う会社ではない。事業のひとつとしてスマートシティ実装をビジネス展開する可能性はあるが、狙いはもう少し現実的だ。
発表では、各社の役割や事業内容がメインだったが、製品、またはアウトプットと呼べる発表は「Advanced Drive」「TRI-AP」「Arene」の3つだ。ウーブン・シティもプラネットが掲げる製品と見ることも可能だが、詳細が未定・未発表だ(2月23日の鍬入れ式ではもう少し具体的な発表がされるだろう)。
Advanced Driveは同社のモビリティチームコンセプトという車両制御とドライバーが対等の立場で運転制御を行う自動運転機能だ。昨年レクサスで発表されたADAS機能のことだが、予定どおり年内に市場投入される。TRI-APはさらに高度な自動運転をめざし、無人でも自律走行が可能なオートパイロットのような機能の路上実験を行う予定があるとした。
Arenaは次世代車両のソフトウェア開発プラットフォームとのアナウンスで、一般に言われる「ビークルOS」に相当するものと思われるが、まだ製品としてローンチまたは発表されていないので、詳細は不明だ。
ビークルOS自体、明確な定義があるわけではない。いずれにせよ、今後の車両開発は、まず車両アーキテクチャを設計し、必要なソフトウェア、ハードウェアを適用する形が広がると言われている。ソフトウェアは、ECUの構成要素(=サプライヤーがコンポーネントとセットで開発)ではなく、商品設計の段階から、開発に必要なソフトウェア、機能の実現に必要なソフトウェア、サービスやユーザー体験に必要なソフトウェアを組み込んだプロセスにする必要がある。Arene(アリーン)は、クラウドアプリケーションからADAS機能、自動運転機能といったソフトウェアレイヤを横断的に設計するための基盤(プラットフォーム)と見ればいいだろう。
Areneについては、外販やライセンス提供の可能性もある。テスラは元から統合アーキテクチャでクルマを設計しているため、自動運転システムであるFSDが実質的なビークルOSとなり、テスラもFSDやEV車両のライセンスに意欲を示している。トヨタは、すでにTHS-II(ハイブリッドシステム)のOEM供給やグループへの展開を進めているが、既存車両は統合アーキテクチャで設計されていない。トヨタ(ウーブン・プラネット)がAreneに期待するのは、CASE機能のプラットフォームである。そして、車両開発のハードとソフトを押さえることだ。WindowsやiOS、Androidのようなオープンプラットフォームまでいかなくても、グループ内の共通アーキテクチャのプラットフォームになるだけでも、開発効率、開発の柔軟性が改善される。フォルクスワーゲンや他社がビークルOSを目指すのも同じ目的だ。
新事業体は、ウーブン・プラネット・ホールディングスを持ち株会社とし、ウーブン・コア、ウーブン・アルファ・ウーブン・キャピタルの3社、計4社でスタートする。「コア」は自動運転技術の開発実装、「アルファ」はウーブン・シティや開発プラットフォーム(Arena:後述)など非製造業的な事業、「キャピタル」は10年8億ドルの関連分野への投資、インキュベーションなどを担当する。
そもそもトヨタの「ウーブン」は2019年CESで発表された「ウーブンシティ」というスマートシティプロジェクトから始まったものだ。スケールが壮大すぎて実体が見えにくいものだったが、トヨタのモビリティ革命への意気込みや変革意識は十分に感じられた。前後して、モビリティカンパニーへの移行の取り組みとして「MONET」(ソフトバンクとの協業、のちにMONETテクノロジーズに)やトヨタモビリティサービス・MSPFの発表、Uber、Grabといったサービス事業者との提携などを矢継ぎ早の戦略展開も注目された。
これらの動きは、従来型の自動車産業モデルとそうでない部分という分け方をするとすっきりするかもしれない。トヨタは、モビリティカンパニーへの転換にあたって、既存部分ではない新しい事業や取り組みを行う主体としてTRI-ADを作った。しかし、これはデンソー、アイシン精機とともにCASE車両の技術開発のグループ連携を強化するような意味合いが強かった。
しかし、状況は刻々と変わり、自動車産業におけるソフトウェアの役割や価値も変化する。単に先端車両技術の開発だけではモビリティの課題には対応できなくなってきた。交通行政、インフラ整備、エネルギー政策、サービスビジネス、さらにニューノーマルのような新しい消費形態にも対応する必要がある。TRI-ADがウーブン・プラネットに再編された背景は、R&D色の強い企業体から包括的なモビリティ課題(=都市課題・社会課題)、そして、100年に一度と言われる自動車産業の構造改革に対応するという目的がある。
ウーブン・シティのインパクトが大きかったため、ウーブン・プラネットもスマートシティの事業主体のようなイメージを持ちやすいが、ウーブン・シティはウーブン・プラネットの事業の実証の場であり、いわばショーケース的な意味合いを持つ。もともとは別々のプロジェクトで、どちらの構想が先だったかは検証が難しいが、プラネットはスマートシティ事業を行う会社ではない。事業のひとつとしてスマートシティ実装をビジネス展開する可能性はあるが、狙いはもう少し現実的だ。
発表では、各社の役割や事業内容がメインだったが、製品、またはアウトプットと呼べる発表は「Advanced Drive」「TRI-AP」「Arene」の3つだ。ウーブン・シティもプラネットが掲げる製品と見ることも可能だが、詳細が未定・未発表だ(2月23日の鍬入れ式ではもう少し具体的な発表がされるだろう)。
Advanced Driveは同社のモビリティチームコンセプトという車両制御とドライバーが対等の立場で運転制御を行う自動運転機能だ。昨年レクサスで発表されたADAS機能のことだが、予定どおり年内に市場投入される。TRI-APはさらに高度な自動運転をめざし、無人でも自律走行が可能なオートパイロットのような機能の路上実験を行う予定があるとした。
Arenaは次世代車両のソフトウェア開発プラットフォームとのアナウンスで、一般に言われる「ビークルOS」に相当するものと思われるが、まだ製品としてローンチまたは発表されていないので、詳細は不明だ。
ビークルOS自体、明確な定義があるわけではない。いずれにせよ、今後の車両開発は、まず車両アーキテクチャを設計し、必要なソフトウェア、ハードウェアを適用する形が広がると言われている。ソフトウェアは、ECUの構成要素(=サプライヤーがコンポーネントとセットで開発)ではなく、商品設計の段階から、開発に必要なソフトウェア、機能の実現に必要なソフトウェア、サービスやユーザー体験に必要なソフトウェアを組み込んだプロセスにする必要がある。Arene(アリーン)は、クラウドアプリケーションからADAS機能、自動運転機能といったソフトウェアレイヤを横断的に設計するための基盤(プラットフォーム)と見ればいいだろう。
Areneについては、外販やライセンス提供の可能性もある。テスラは元から統合アーキテクチャでクルマを設計しているため、自動運転システムであるFSDが実質的なビークルOSとなり、テスラもFSDやEV車両のライセンスに意欲を示している。トヨタは、すでにTHS-II(ハイブリッドシステム)のOEM供給やグループへの展開を進めているが、既存車両は統合アーキテクチャで設計されていない。トヨタ(ウーブン・プラネット)がAreneに期待するのは、CASE機能のプラットフォームである。そして、車両開発のハードとソフトを押さえることだ。WindowsやiOS、Androidのようなオープンプラットフォームまでいかなくても、グループ内の共通アーキテクチャのプラットフォームになるだけでも、開発効率、開発の柔軟性が改善される。フォルクスワーゲンや他社がビークルOSを目指すのも同じ目的だ。
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