【WRC 開幕戦】9冠vs8冠の“古王”対決を制し、セバスチャン・ローブが最多更新の通算80勝目
2022年世界ラリー選手権(WRC)開幕戦「ラリーモンテカルロ」が現地23日にフィニッシュを迎え、2004~12年に9年連続でWRC王者となったセバスチャン・ローブが2018年以来の通算80勝目を達成した。
トップカテゴリーが「ラリー1(Rally 1)」という新規定のマシンで争われる時代に入った2022年シーズンの開幕戦、優勝争いは今季のフル参戦予定をもたない2人の“古王”によって展開された。2004~12年に9連覇を成したセバスチャン・ローブと、2013~18、20~21年に計8冠を得たセバスチャン・オジェ。フランスのダブル・セバスチャン(Sebastien)による決闘である。
昨季王者のオジェを古王と呼ぶのには違和感もあるところだが、今季はフル参戦しない意向の彼だけに、表現としては妥当だろう。トヨタの「GRヤリス ラリー1」を駆る#1 オジェ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)と、Mスポーツ・フォードの「プーマ ラリー1」をドライブする#19 ローブ(M-SPORT FORD World Rally Team)。雪や凍結の影響も受けつつのターマック(舗装路)バトルは、ほぼ真っ向勝負の形勢で続いていった。
最後の決着を大きく左右したのは、最終日(23日)、ラスト前のSS(スペシャルステージ=競技区間)であるSS16で#1 オジェが左前輪にダメージを負ってしまい(*参照)、大きくタイムロスしたこと。#19 ローブが首位に浮上し、9.5秒リードで最終SS(選手権ポイントのボーナスが付与されるパワーステージ)のSS17へ。
*オジェはSS16で喫したパンクとみられる左前輪のダメージについて、こうコメントしている。「1本目の走行(SS14のこと。SS16はSS14の再走になる)では(コーナーでの)インカットを避けていたが、2本目(SS16)でそれは不可能だった。路面は非常にダーティーで、他のドライバーの走行ラインをフォローするしかなく、どうしようもなかったことだと思っている」。
最後のSS17では#1 オジェがSSトップのタイムをマークするが、ジャンプスタートで10秒のペナルティを科される(オジェのSS17のステージ順位は最終的に5位)。SS17を終えての最終的なラリー総合のタイム差10.5秒で、9冠vs8冠の古王対決は#19 ローブに軍配が上がった。
1974年2月26日生まれ、現在47歳のセバスチャン・ローブは2004~12年にシトロエンのマシンで9連覇を達成したあとも断続的にWRCに参戦しており、今回の勝利は2018年のスペイン戦以来。通算80勝目で自身のもつ歴代最多記録を更新するとともに、WRC最年長ウイニングドライバーにもなっている(従来の記録は故人である B.ワルデガルドの46歳約5カ月とされる)。
「ここに来た時点では、そんなに多くを期待してはいなかったんだけどね。素晴らしい戦いだったよ。オジェは本当に速かったし、昨日(土曜)や今朝も自分はちょっと苦労した」と語る勝者ローブ。新時代の初戦を9冠王の彼が制し、最後まで競った相手(2位)が8冠王のオジェであったという事実は、あらためて2人の偉大さをクローズアップすることになった。
3位の#42 クレイグ・ブリーン(M-SPORT FORD World Rally Team)でも、優勝のローブから約100秒差。フル参戦でないがゆえの思い切りの良さという利点がふたりのセバスチャンにあったとしても、厳しい見方をすれば3位以降のトップカテゴリーの面々にとってこの差は言い訳できないもののようにも思えてくる、そんなハイブリッド時代の幕開けであった。
昨季のドライバーズランキング2位、トヨタの#33 エルフィン・エバンス(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)は土曜に手痛いコースアウトがあり、上位戦線から脱落、最終結果21位。今季もトップカテゴリーにトヨタのマシンでレギュラー参戦する日本の#18 勝田貴元(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generation)も土曜にコーナーでスライドしてスタックする場面があって後退、最終結果は8位だった(ラリー1車両では7位)。
さて、トヨタ(GRヤリス ラリー1)、ヒュンダイ(i20 N ラリー1)、Mスポーツ・フォード(プーマ ラリー1)というトップカテゴリー参戦3陣営の戦いという面では、Mスポーツ・フォードが開幕戦1-3-5位と大躍進し、近年の勢力図を変化させそうな勢いを感じさせた。昨季に続くドライバー、コ・ドライバー、マニュファクチャラーの全部門王座獲得を目指すトヨタ(今回2-4位)にとって、最大のライバルはヒュンダイからMスポーツ・フォードにかわる可能性も?
ヒュンダイ勢は#11 ティエリー・ヌービル(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)の6位が今回の最高成績(i20 N ラリー1で唯一の完走)、内容的にも苦戦の印象が強かった。次戦スウェーデン(開催予定:2月24~27日)以降、巻き返してくるか。
今季のWRCは全13戦の予定。11月10~13日には、待望のラリージャパン(12年ぶりの日本開催、愛知・岐阜での初開催)が最終戦として実施される予定になっている。
(※本稿における順位、内容等は日本時間24日午前4時の段階の掲示等に基づく)
トップカテゴリーが「ラリー1(Rally 1)」という新規定のマシンで争われる時代に入った2022年シーズンの開幕戦、優勝争いは今季のフル参戦予定をもたない2人の“古王”によって展開された。2004~12年に9連覇を成したセバスチャン・ローブと、2013~18、20~21年に計8冠を得たセバスチャン・オジェ。フランスのダブル・セバスチャン(Sebastien)による決闘である。
昨季王者のオジェを古王と呼ぶのには違和感もあるところだが、今季はフル参戦しない意向の彼だけに、表現としては妥当だろう。トヨタの「GRヤリス ラリー1」を駆る#1 オジェ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)と、Mスポーツ・フォードの「プーマ ラリー1」をドライブする#19 ローブ(M-SPORT FORD World Rally Team)。雪や凍結の影響も受けつつのターマック(舗装路)バトルは、ほぼ真っ向勝負の形勢で続いていった。
最後の決着を大きく左右したのは、最終日(23日)、ラスト前のSS(スペシャルステージ=競技区間)であるSS16で#1 オジェが左前輪にダメージを負ってしまい(*参照)、大きくタイムロスしたこと。#19 ローブが首位に浮上し、9.5秒リードで最終SS(選手権ポイントのボーナスが付与されるパワーステージ)のSS17へ。
*オジェはSS16で喫したパンクとみられる左前輪のダメージについて、こうコメントしている。「1本目の走行(SS14のこと。SS16はSS14の再走になる)では(コーナーでの)インカットを避けていたが、2本目(SS16)でそれは不可能だった。路面は非常にダーティーで、他のドライバーの走行ラインをフォローするしかなく、どうしようもなかったことだと思っている」。
最後のSS17では#1 オジェがSSトップのタイムをマークするが、ジャンプスタートで10秒のペナルティを科される(オジェのSS17のステージ順位は最終的に5位)。SS17を終えての最終的なラリー総合のタイム差10.5秒で、9冠vs8冠の古王対決は#19 ローブに軍配が上がった。
1974年2月26日生まれ、現在47歳のセバスチャン・ローブは2004~12年にシトロエンのマシンで9連覇を達成したあとも断続的にWRCに参戦しており、今回の勝利は2018年のスペイン戦以来。通算80勝目で自身のもつ歴代最多記録を更新するとともに、WRC最年長ウイニングドライバーにもなっている(従来の記録は故人である B.ワルデガルドの46歳約5カ月とされる)。
「ここに来た時点では、そんなに多くを期待してはいなかったんだけどね。素晴らしい戦いだったよ。オジェは本当に速かったし、昨日(土曜)や今朝も自分はちょっと苦労した」と語る勝者ローブ。新時代の初戦を9冠王の彼が制し、最後まで競った相手(2位)が8冠王のオジェであったという事実は、あらためて2人の偉大さをクローズアップすることになった。
3位の#42 クレイグ・ブリーン(M-SPORT FORD World Rally Team)でも、優勝のローブから約100秒差。フル参戦でないがゆえの思い切りの良さという利点がふたりのセバスチャンにあったとしても、厳しい見方をすれば3位以降のトップカテゴリーの面々にとってこの差は言い訳できないもののようにも思えてくる、そんなハイブリッド時代の幕開けであった。
昨季のドライバーズランキング2位、トヨタの#33 エルフィン・エバンス(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)は土曜に手痛いコースアウトがあり、上位戦線から脱落、最終結果21位。今季もトップカテゴリーにトヨタのマシンでレギュラー参戦する日本の#18 勝田貴元(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generation)も土曜にコーナーでスライドしてスタックする場面があって後退、最終結果は8位だった(ラリー1車両では7位)。
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