初めてドラレコがライン装着される新型クラウン、そのメリットとは【岩貞るみこの人道車医】
初めてドラレコがライン装着される新型クラウン
新型『クラウン』の登場には度肝を抜かれた。ビフォーアフターの違いに、頭のなかではサザエさんの声で「なんということでしょう!」と響きわたったほどだ。
色っぽい。艶っぽい。いわゆるフェロモンがほとばしっている。こうなると乗り手にも覚悟がいる。少なくとも、私服はゴルフウェアしか持ってない、などというおっさんが乗っていたら幻滅だ。新型クラウンにあやまれ。
新型クラウンでは、ドライブレコーダー(以下ドラレコ)が工場での組み立て時に装着されることになった。いわゆるライン装着である(工場の生産ラインでするする動く間に組付けられるのでこう呼ばれる)。カーナビは、ライン装着と車両が完成してからディーラーで装着するディーラー装着、量販店で買って自分(量販店や整備工場を含む)で取り付けるタイプがあるが、ドラレコがライン装着されるのは初めてのことである。
ライン装着されることにより、ごちゃごちゃとした配線がなくなり(ディーラー装着でも上手に隠してくれるところもある)、美しいのだが、それより私が気になったのは、ライン装着=車両の一部として、扱ってくれるのか? ということである。
ドラレコは「整備対象外」だから自己管理で
今やドラレコは、事故やあおり運転の証拠として重宝されている。登場した当時は、データが改ざんされるとか、LEDの信号機の色を記録できないとか、役立たず扱いされたけれど、今や警察も損保会社も頼りにしている。以前、雪の東北自動車道で多重衝突事故が起きたときに損保会社の知人に尋ねたところ、「まずドラレコの画像を解析して、どのような順番でぶつかっていったかを調べる」と言っていた。
ところが、以前もこのコラムで書いたとおり、マイクロSDカードを入れる向きを間違っていたり、無理やり入れて壊したり、マイクロSDカード自体にもう記録する機能がなくなっていたりして、いざというときに記録できていないケースが多発している。高級タイプ以外の多くのドラレコには、故障ランプなどがついていない。つまり、記録できていないことを知らずに、使い続けてしまうのである。
いち早く、記録できていないことを知らせるため、ドラレコの取扱説明書には、「ちょいちょい、マイクロSDカードを抜いてパソコンで確認せよ」とあるけれど(ちょいちょいとは書いていないが)、そんなことやっている人、います??? ちなみに私が使っているドラレコは、Windowsにしか対応しておらず、Macしかない人や、パソコンを持っていない人はどうしているんだろうと思ってしまう。
常々思うのは、この確認作業を車検時の点検や12か月点検で、ディーラーがやってくれればいいのにということだ。追加料金をとってでもいいので、オプション設定してくれればなと。少なくとも某ディーラーで尋ねたところ、ドラレコは整備対象外なのでご自身で、という対応だった。
録画データがECUに記録されるメリット
さて、新型クラウンに話をもどそう。ライン装着で組付けられるドラレコとなれば、これはもはや、クルマの一部と言えるではないか。だとすれば、車検や12か月点検の対象として扱ってくれるのではないか?と期待が膨らんだのである。
そこでトヨタに確認すると、
「ドラレコの管理は、ユーザーご自身で行っていただいています」という回答が返ってきた。ライン装着されたとしても、ドラレコが法定点検等の対象外であることに、変わりはないのである。
やはり、自分でやるのか。ただ、朗報もある。
新型クラウンの場合は、トラブルを誘発しやすいマイクロSDカードではなく、ECUに記録するため、マイクロSDカードの特色である向きの間違いや、無理やり入れて壊すということが発生しないうえ、何度も上書き録画されているうちにあっという間に劣化するということが起きにくいのだ。
さらに、「万が一、故障して録画ができない状態になった場合は、マルチメディア上に故障の通知を出し、点検をうながす」ということだった。つまり、定期的にパソコンで確認する必要はないし、使えない状態を知らずに使い続けるということもなくなる。そして、ユーザーは通知が出たときにだけ、ディーラーに相談すればいいのである。
今後、ドラレコはどちらの道を進むのか。新型クラウンを皮切りに、ライン装着されてECUに録画されるようになるのか、それとも、後付け部品としてマイクロSDカードタイプが、勢力を伸ばしたまま維持されるのか。
もし、後者だとしたら、いや、少数派になったとしても、せめてディーラーでマイクロSDカードを確認してくれるシステムを構築してもらえないものだろうかと、しつこく切に願っている。
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
新型『クラウン』の登場には度肝を抜かれた。ビフォーアフターの違いに、頭のなかではサザエさんの声で「なんということでしょう!」と響きわたったほどだ。
色っぽい。艶っぽい。いわゆるフェロモンがほとばしっている。こうなると乗り手にも覚悟がいる。少なくとも、私服はゴルフウェアしか持ってない、などというおっさんが乗っていたら幻滅だ。新型クラウンにあやまれ。
新型クラウンでは、ドライブレコーダー(以下ドラレコ)が工場での組み立て時に装着されることになった。いわゆるライン装着である(工場の生産ラインでするする動く間に組付けられるのでこう呼ばれる)。カーナビは、ライン装着と車両が完成してからディーラーで装着するディーラー装着、量販店で買って自分(量販店や整備工場を含む)で取り付けるタイプがあるが、ドラレコがライン装着されるのは初めてのことである。
ライン装着されることにより、ごちゃごちゃとした配線がなくなり(ディーラー装着でも上手に隠してくれるところもある)、美しいのだが、それより私が気になったのは、ライン装着=車両の一部として、扱ってくれるのか? ということである。
ドラレコは「整備対象外」だから自己管理で
今やドラレコは、事故やあおり運転の証拠として重宝されている。登場した当時は、データが改ざんされるとか、LEDの信号機の色を記録できないとか、役立たず扱いされたけれど、今や警察も損保会社も頼りにしている。以前、雪の東北自動車道で多重衝突事故が起きたときに損保会社の知人に尋ねたところ、「まずドラレコの画像を解析して、どのような順番でぶつかっていったかを調べる」と言っていた。
ところが、以前もこのコラムで書いたとおり、マイクロSDカードを入れる向きを間違っていたり、無理やり入れて壊したり、マイクロSDカード自体にもう記録する機能がなくなっていたりして、いざというときに記録できていないケースが多発している。高級タイプ以外の多くのドラレコには、故障ランプなどがついていない。つまり、記録できていないことを知らずに、使い続けてしまうのである。
いち早く、記録できていないことを知らせるため、ドラレコの取扱説明書には、「ちょいちょい、マイクロSDカードを抜いてパソコンで確認せよ」とあるけれど(ちょいちょいとは書いていないが)、そんなことやっている人、います??? ちなみに私が使っているドラレコは、Windowsにしか対応しておらず、Macしかない人や、パソコンを持っていない人はどうしているんだろうと思ってしまう。
常々思うのは、この確認作業を車検時の点検や12か月点検で、ディーラーがやってくれればいいのにということだ。追加料金をとってでもいいので、オプション設定してくれればなと。少なくとも某ディーラーで尋ねたところ、ドラレコは整備対象外なのでご自身で、という対応だった。
録画データがECUに記録されるメリット
さて、新型クラウンに話をもどそう。ライン装着で組付けられるドラレコとなれば、これはもはや、クルマの一部と言えるではないか。だとすれば、車検や12か月点検の対象として扱ってくれるのではないか?と期待が膨らんだのである。
そこでトヨタに確認すると、
「ドラレコの管理は、ユーザーご自身で行っていただいています」という回答が返ってきた。ライン装着されたとしても、ドラレコが法定点検等の対象外であることに、変わりはないのである。
やはり、自分でやるのか。ただ、朗報もある。
新型クラウンの場合は、トラブルを誘発しやすいマイクロSDカードではなく、ECUに記録するため、マイクロSDカードの特色である向きの間違いや、無理やり入れて壊すということが発生しないうえ、何度も上書き録画されているうちにあっという間に劣化するということが起きにくいのだ。
さらに、「万が一、故障して録画ができない状態になった場合は、マルチメディア上に故障の通知を出し、点検をうながす」ということだった。つまり、定期的にパソコンで確認する必要はないし、使えない状態を知らずに使い続けるということもなくなる。そして、ユーザーは通知が出たときにだけ、ディーラーに相談すればいいのである。
今後、ドラレコはどちらの道を進むのか。新型クラウンを皮切りに、ライン装着されてECUに録画されるようになるのか、それとも、後付け部品としてマイクロSDカードタイプが、勢力を伸ばしたまま維持されるのか。
もし、後者だとしたら、いや、少数派になったとしても、せめてディーラーでマイクロSDカードを確認してくれるシステムを構築してもらえないものだろうかと、しつこく切に願っている。
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
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