【ダカールラリー2023】四輪総合優勝はアルアティア、トヨタとともに初連覇達成
サウジアラビアで開催されていた「ダカールラリー2023年大会」が現地1月15日に競技終了を迎え、トヨタのナッサー・アルアティアが四輪総合2連覇を飾った。アルアティアは5度目、トヨタは3度目のダカール制覇で、連覇はともに初めて。
◆四輪総合で最初のサウジ2勝目を成したアルアティア
四輪総合の優勝争いは前半戦で首位の座を確固たるものにしたナッサー・アルアティア(TOYOTA GAZOO Racing=TGR、マシンはGRダカールハイラックスT1+)が独走のままフィニッシュを果たした。現地9日の休息日以降はステージ勝利がなかったが、アルアティアはそれを必要としておらず、コ・ドライバーのマシュー・ボーメルと一緒にしっかりラリーをまとめあげて栄冠を手中に、という盤石の流れだった。
ダカールラリーは2020年大会からサウジアラビアでの開催が続いており、今回が4回目。過去3回のサウジ開催戦での四輪総合優勝はカルロス・サインツ(20年)、ステファン・ペテランセル(21年)、そしてアルアティア(22年)とダカールの“ビッグ3”が分け合っていたが、アルアティアが最初のサウジ2勝目達成者となった(20年サインツと21年ペテランセルはMINIでの優勝。両者とも現在はアウディ所属)。
トヨタは南米最後の大会となった2019年の四輪総合初制覇(アルアティア&ボーメル)以降、今回が3度目の優勝で、連覇は初めて。アルアティアのダカール四輪総合優勝は5度目で、連覇はやはり初めてだ(ボーメルは4勝目、連覇は初)。アルアティア、ボーメル、トヨタの“組み合わせ”でのダカール制覇は2年連続3度目ということになる。
ナッサー・アルアティアのコメント
「最高の気分だ! ともに戦ってきた全てのチームメンバーを含め、多くの人に感謝したい。タフな2週間だったが、またダカールを戦い、こうして勝つことができたのは素晴らしい。GRダカールハイラックスT1+を誇りに思う。TGR(トヨタ)とともに3勝目を飾れたことは本当に格別だ」
今回の四輪総合上位はトヨタ勢が1-3-4-5を占める結果となっている(3位はOVERDRIVE RACINGのルーカス・モラエス、4-5位はTGR)。
◆ローブがステージ6連勝で総合2位。アウディ勢は苦闘
総合優勝争いの逆転は遠い状況ながら、後半戦、魅せたのはセバスチャン・ローブ(BAHRAIN RAID XTREME=BRX、マシンはプロドライブ製のハンター)だった。
前半戦最後の8日から、休息日(9日)を挟んでゴール前日の14日までローブは6日連続のステージ勝利を果たし(ゴール日はステージ6位)、前半戦終了時の総合4番手から2ポジションアップ、自己最高タイの総合2位に入っている(優勝アルアティアとは1時間20分49秒差)。
ローブのダカール四輪総合2位は2年連続3度目。2004~12年に世界ラリー選手権(WRC)を9連覇したローブにとって、ダカール初制覇はいよいよ悲願の色を濃くしつつある。ステージ6連勝は新記録ともいわれており、今度こそ総合優勝を、との思いはさらに強まったことだろう。
電動ドライブマシンでのファクトリー参戦2年目のアウディ勢(Team Audi Sport、今回参戦車はRS Q e-tron E2)は、サインツとペテランセルが戦線離脱、マティアス・エクストロームが四輪総合14位。速さは示しつつも、厳しい結果に甘んじている。
ダカールおなじみの存在、トヨタ車体(TEAM LAND CRUISER / TOYOTA AUTO BODY)は参戦車をランドクルーザー300へと移行して最初の参戦で、四輪総合107位(ロナルド・バソ&ジャン・ミッシェル・ポラト)と108位(三浦昂&ローラン・リシトロイシター)だった。市販車部門1-2で同部門10連覇としている。同じくダカール常連である日野(HINO TEAM SUGAWARA)、菅原照仁組はトラック総合10位。
◆接戦の二輪はケビン・ベナビデスが最終日逆転V
二輪の総合優勝争いは後半戦も接戦が続いた。最終日を前にしても、トップ2はわずか12秒差、3番手も首位から1分31秒差という戦況だった。
この激戦を制したのは、ケビン・ベナビデス(以前の表記がベナバイズの場合等あり)。総合2番手で最終日を迎え、首位だったトビー・プライスを逆転、最終的に43秒差で頂点に立っている。2位はプライスで、Red Bull KTM FACTORY RACINGは1-2フィニッシュ。ベナビデスは2年ぶり2度目のダカール二輪総合優勝だ(初優勝はホンダで達成)。
前半戦首位、最終日を前にして3番手だったスカイラー・ハウズ(HUSQVARNA FACTORY RACING)がそのまま総合3位に入っている。総合4-5位はMonster Energy Honda Team勢だった(4位パブロ・キンタニラ、5位エイドリアン・ヴァン・ベバレン)。
サウジ開催4年目のダカールラリーは観客死亡事故という悲しい状況もあったりしたため、万事順調に、とは表現しかねるところもあるが、約半月にわたる戦いの幕を閉じた。今大会には355台が出走(20世紀のダカール車が出走する「ダカール・クラシック」を除く)、完走は235台であったとされる。
完走率約66%という数字からは、あまり過酷さが感じられなくもあるが、現在はダカールにもWRCの“デイリタイア”のような仕組みがあり、ステージ走破ならずともラリー続行(再出走)が可能なケース等も存在するため、単純計算の完走率で語れる部分は多くないだろう。
今回のルートには完走率の数字以上の過酷さがあった、と考えてよさそうに思える。特に前半戦がタフで、四輪総合の有力マシンにパンクやアクシデントが頻発した印象が強かった。サウジ開催になってから最も厳しい大会だったといえるかもしれない。
*本稿の内容は日本時間1月16日午後6時の段階の情報等に基づく。
◆四輪総合で最初のサウジ2勝目を成したアルアティア
四輪総合の優勝争いは前半戦で首位の座を確固たるものにしたナッサー・アルアティア(TOYOTA GAZOO Racing=TGR、マシンはGRダカールハイラックスT1+)が独走のままフィニッシュを果たした。現地9日の休息日以降はステージ勝利がなかったが、アルアティアはそれを必要としておらず、コ・ドライバーのマシュー・ボーメルと一緒にしっかりラリーをまとめあげて栄冠を手中に、という盤石の流れだった。
ダカールラリーは2020年大会からサウジアラビアでの開催が続いており、今回が4回目。過去3回のサウジ開催戦での四輪総合優勝はカルロス・サインツ(20年)、ステファン・ペテランセル(21年)、そしてアルアティア(22年)とダカールの“ビッグ3”が分け合っていたが、アルアティアが最初のサウジ2勝目達成者となった(20年サインツと21年ペテランセルはMINIでの優勝。両者とも現在はアウディ所属)。
トヨタは南米最後の大会となった2019年の四輪総合初制覇(アルアティア&ボーメル)以降、今回が3度目の優勝で、連覇は初めて。アルアティアのダカール四輪総合優勝は5度目で、連覇はやはり初めてだ(ボーメルは4勝目、連覇は初)。アルアティア、ボーメル、トヨタの“組み合わせ”でのダカール制覇は2年連続3度目ということになる。
ナッサー・アルアティアのコメント
「最高の気分だ! ともに戦ってきた全てのチームメンバーを含め、多くの人に感謝したい。タフな2週間だったが、またダカールを戦い、こうして勝つことができたのは素晴らしい。GRダカールハイラックスT1+を誇りに思う。TGR(トヨタ)とともに3勝目を飾れたことは本当に格別だ」
今回の四輪総合上位はトヨタ勢が1-3-4-5を占める結果となっている(3位はOVERDRIVE RACINGのルーカス・モラエス、4-5位はTGR)。
◆ローブがステージ6連勝で総合2位。アウディ勢は苦闘
総合優勝争いの逆転は遠い状況ながら、後半戦、魅せたのはセバスチャン・ローブ(BAHRAIN RAID XTREME=BRX、マシンはプロドライブ製のハンター)だった。
前半戦最後の8日から、休息日(9日)を挟んでゴール前日の14日までローブは6日連続のステージ勝利を果たし(ゴール日はステージ6位)、前半戦終了時の総合4番手から2ポジションアップ、自己最高タイの総合2位に入っている(優勝アルアティアとは1時間20分49秒差)。
ローブのダカール四輪総合2位は2年連続3度目。2004~12年に世界ラリー選手権(WRC)を9連覇したローブにとって、ダカール初制覇はいよいよ悲願の色を濃くしつつある。ステージ6連勝は新記録ともいわれており、今度こそ総合優勝を、との思いはさらに強まったことだろう。
電動ドライブマシンでのファクトリー参戦2年目のアウディ勢(Team Audi Sport、今回参戦車はRS Q e-tron E2)は、サインツとペテランセルが戦線離脱、マティアス・エクストロームが四輪総合14位。速さは示しつつも、厳しい結果に甘んじている。
ダカールおなじみの存在、トヨタ車体(TEAM LAND CRUISER / TOYOTA AUTO BODY)は参戦車をランドクルーザー300へと移行して最初の参戦で、四輪総合107位(ロナルド・バソ&ジャン・ミッシェル・ポラト)と108位(三浦昂&ローラン・リシトロイシター)だった。市販車部門1-2で同部門10連覇としている。同じくダカール常連である日野(HINO TEAM SUGAWARA)、菅原照仁組はトラック総合10位。
◆接戦の二輪はケビン・ベナビデスが最終日逆転V
二輪の総合優勝争いは後半戦も接戦が続いた。最終日を前にしても、トップ2はわずか12秒差、3番手も首位から1分31秒差という戦況だった。
この激戦を制したのは、ケビン・ベナビデス(以前の表記がベナバイズの場合等あり)。総合2番手で最終日を迎え、首位だったトビー・プライスを逆転、最終的に43秒差で頂点に立っている。2位はプライスで、Red Bull KTM FACTORY RACINGは1-2フィニッシュ。ベナビデスは2年ぶり2度目のダカール二輪総合優勝だ(初優勝はホンダで達成)。
前半戦首位、最終日を前にして3番手だったスカイラー・ハウズ(HUSQVARNA FACTORY RACING)がそのまま総合3位に入っている。総合4-5位はMonster Energy Honda Team勢だった(4位パブロ・キンタニラ、5位エイドリアン・ヴァン・ベバレン)。
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