“いじり倒し活動”で鍛え上げられたトヨタ プリウス、7年連続の大賞に…いいクルマアワード2024
自動車の整備板金や用品・部品販売、クルマ買い取り・中古車販売、ロードサービスなど、いわゆるアフターマーケットの現場で働く人々がプロの視点で選ぶ「いいクルマアワード2024」の各賞が、オートアフターマーケット連絡協議会によって3月5日に発表された。
選考はオンラインのアンケートで「コスパ」「トラブルレス」「リセールバリュー」「EV」のそれぞれの部門で際立った一台を選ぶというもの。アンケート期間は2023年12月1日から2024年1月31日。投票総数は4832票。8回目となる今年のアワードは3賞が用意され、大賞はトヨタ『プリウス』(新型)、特別賞はスズキ『スイフト』、そしてEV賞は日産『サクラ』が受賞した。
大賞に輝いたトヨタプリウスは、7年連続の大賞受賞となった。選考理由について選考委員会は、「新型になっても変わらない高いレベルの燃費と故障の少なさ、そして高いリセールバリューに加えて、洗練されたスタイリッシュなデザインへの評価も高く、クルマの『格』と経済性のバランスが高く評価されたことが伝わってきました」と講評した。
新型プリウスの開発を担当したトヨタ自動車 Toyota Compact Car Company TC製品企画 ZF 主幹の菅野伸介氏に話を聞いた。
◆「このままでは埋没してしまう」という危機感
プリウスは今回から新型の60シリーズが選考対象となったものの、その牙城は崩れることなく7年連続の大賞受賞となった。このことについて菅野氏は、『カローラ』との作り分けがポイントだったと話す。
「新型プリウスの開発の肝になったポイントとして、今回はカローラのチーフエンジニアがプリウスも担当することになったので、同じCセグメントの中でしっかりと企画を住み分けたということがあります。カローラに似たプリウスではなくて、始めから違うものとしてクルマ作りを進めたのですが、それを今回もまた受け入れていただいたということで、すごく嬉しく感じています」
新型プリウスは、これまでとは大きく路線変更し、スポーティーなデザインで話題になった。このような大胆なイメージチェンジについて、作り手として戸惑いはなかったのだろうか。
「5代目となる新型プリウスの開発にあたっては、どんな車にするかという最初のところを、本当に心底悩みました。ただ、これだけハイブリッド車が広く普及した社会では、このままでいっても埋没してしまうという危機感があって、やはり5代目はしっかり尖った存在にしようということで開発しました」
歴代プリウスのアイコニックな特徴のひとつにワンモーションフォルムがある。この伝統を受け継ぎながら、新型プリウスでは思い切ってスポーティーな解釈に振って大胆なイメージチェンジを成功させた。
「ワンモーションフォルムにものすごくこだわって磨き込みました。クレイモデルを本当に何度も削って盛って、また削ってを繰り返しました。特に、サイドシルエットと前方斜め45度からのシルエットにはこだわっています。今回のプリウスは、最初のスケッチのあのサイドシルエットを見た時に、みんながこのデザインでいこうと決めたところから始まっていますから、むしろスケッチを形にできるように車両の企画を変えたと言ってもいいくらいです。それくらいサイドシルエットを重要視して開発しました」
◆“いじり倒し活動”で品質向上
プリウスに対する投票のコメントを見ると、壊れにくいという点でも非常に高い評価を得ていることがわかる。これは新型に限らず、連続受賞の7年間を通してずっと高く評価されているプリウスの特徴だ。
菅野氏は、壊れにくさを実現するには、なんと言っても作り込みが重要だと語る。
「壊れにくい車にするためには、作り込みが一番重要です。今回の開発の中では、いじり倒し活動ということをやりました。車がいったん完成した後で、一般のお客さん目線になってみんなで使い倒して不具合の元を洗い出す、という活動です。想定された評価項目以外のシチュエーションで、例えば一般道で走ってみて不具合が出るのかどうか、そこで得られる気づきもありますので、開発スケジュールにあらかじめその期間を設けて作り込みました」
◆中古車の概念を変える“アップグレード”
新型プリウスから導入された新たな概念として、「アップグレード」がある。ソフトウェアだけでなくハードウェアも含めて、購入した後に新しい機能を追加できるという仕組みだ。現在トヨタのサブスク「KINTO」向けに提供されているプリウス専用グレード「U」において利用することができる。
「例えばBSM*のような安全装置を後から追加できるようにするという施策です。これまでの車両では、新しい部品を組み付けようとしてもワイヤーハーネスが無いので装着できなかったんです。そこで、あらかじめワイヤーハーネスを埋め込んでおいて、後から欲しくなったときにポン付けができるようにしています」
*BSM:ブラインドスポットモニター。後側方を検知するセンサーで後方からの接近車両を検知し、車線変更時の判断を支援するシステム
このようなアップグレードによって、中古車になってからも新しい機能を上乗せできる仕組みを採り入れ、価値を向上させる工夫を怠らないプリウスは、今後も「いいクルマ」としての存在を高めていくことだろう。
選考はオンラインのアンケートで「コスパ」「トラブルレス」「リセールバリュー」「EV」のそれぞれの部門で際立った一台を選ぶというもの。アンケート期間は2023年12月1日から2024年1月31日。投票総数は4832票。8回目となる今年のアワードは3賞が用意され、大賞はトヨタ『プリウス』(新型)、特別賞はスズキ『スイフト』、そしてEV賞は日産『サクラ』が受賞した。
大賞に輝いたトヨタプリウスは、7年連続の大賞受賞となった。選考理由について選考委員会は、「新型になっても変わらない高いレベルの燃費と故障の少なさ、そして高いリセールバリューに加えて、洗練されたスタイリッシュなデザインへの評価も高く、クルマの『格』と経済性のバランスが高く評価されたことが伝わってきました」と講評した。
新型プリウスの開発を担当したトヨタ自動車 Toyota Compact Car Company TC製品企画 ZF 主幹の菅野伸介氏に話を聞いた。
◆「このままでは埋没してしまう」という危機感
プリウスは今回から新型の60シリーズが選考対象となったものの、その牙城は崩れることなく7年連続の大賞受賞となった。このことについて菅野氏は、『カローラ』との作り分けがポイントだったと話す。
「新型プリウスの開発の肝になったポイントとして、今回はカローラのチーフエンジニアがプリウスも担当することになったので、同じCセグメントの中でしっかりと企画を住み分けたということがあります。カローラに似たプリウスではなくて、始めから違うものとしてクルマ作りを進めたのですが、それを今回もまた受け入れていただいたということで、すごく嬉しく感じています」
新型プリウスは、これまでとは大きく路線変更し、スポーティーなデザインで話題になった。このような大胆なイメージチェンジについて、作り手として戸惑いはなかったのだろうか。
「5代目となる新型プリウスの開発にあたっては、どんな車にするかという最初のところを、本当に心底悩みました。ただ、これだけハイブリッド車が広く普及した社会では、このままでいっても埋没してしまうという危機感があって、やはり5代目はしっかり尖った存在にしようということで開発しました」
歴代プリウスのアイコニックな特徴のひとつにワンモーションフォルムがある。この伝統を受け継ぎながら、新型プリウスでは思い切ってスポーティーな解釈に振って大胆なイメージチェンジを成功させた。
「ワンモーションフォルムにものすごくこだわって磨き込みました。クレイモデルを本当に何度も削って盛って、また削ってを繰り返しました。特に、サイドシルエットと前方斜め45度からのシルエットにはこだわっています。今回のプリウスは、最初のスケッチのあのサイドシルエットを見た時に、みんながこのデザインでいこうと決めたところから始まっていますから、むしろスケッチを形にできるように車両の企画を変えたと言ってもいいくらいです。それくらいサイドシルエットを重要視して開発しました」
◆“いじり倒し活動”で品質向上
プリウスに対する投票のコメントを見ると、壊れにくいという点でも非常に高い評価を得ていることがわかる。これは新型に限らず、連続受賞の7年間を通してずっと高く評価されているプリウスの特徴だ。
菅野氏は、壊れにくさを実現するには、なんと言っても作り込みが重要だと語る。
「壊れにくい車にするためには、作り込みが一番重要です。今回の開発の中では、いじり倒し活動ということをやりました。車がいったん完成した後で、一般のお客さん目線になってみんなで使い倒して不具合の元を洗い出す、という活動です。想定された評価項目以外のシチュエーションで、例えば一般道で走ってみて不具合が出るのかどうか、そこで得られる気づきもありますので、開発スケジュールにあらかじめその期間を設けて作り込みました」
◆中古車の概念を変える“アップグレード”
新型プリウスから導入された新たな概念として、「アップグレード」がある。ソフトウェアだけでなくハードウェアも含めて、購入した後に新しい機能を追加できるという仕組みだ。現在トヨタのサブスク「KINTO」向けに提供されているプリウス専用グレード「U」において利用することができる。
「例えばBSM*のような安全装置を後から追加できるようにするという施策です。これまでの車両では、新しい部品を組み付けようとしてもワイヤーハーネスが無いので装着できなかったんです。そこで、あらかじめワイヤーハーネスを埋め込んでおいて、後から欲しくなったときにポン付けができるようにしています」
*BSM:ブラインドスポットモニター。後側方を検知するセンサーで後方からの接近車両を検知し、車線変更時の判断を支援するシステム
このようなアップグレードによって、中古車になってからも新しい機能を上乗せできる仕組みを採り入れ、価値を向上させる工夫を怠らないプリウスは、今後も「いいクルマ」としての存在を高めていくことだろう。
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